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平凡希望しかし現実苦し  作者: 澤木弘志
第一章 優しき愚者 ~朱ノ篇~
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最古の国


――名もない国に住む種族は主に八つに分けられた。

地を駆ける獣と人が混じった“獣人種”

体の一部に羽毛もしくは翼を持つ“翼族”

巨体と強靭な肉体を持つ“巨人族”

人と魚の特徴を持つ者又は水中に生きる者“人魚族”

古来より鉄を加工する技術に長けた山の民と呼ばれる“ドワーフ”

森の民とも呼ばれ、植物の声を聞き分ける能力がある“エルフ”

マナそのものを身に宿す“魔人”

知力、筋力など突起すべきものはないが、どの種族よりも繁殖能力が高い“普族”


八つの種族以外にもキーノ=デシェード外にも種族はいる。しかし、マナが充分に行き届かない特色ゆえマナに頼る生態の種族はどうしてもその場所に住むことはできなかった。


キーノ=デシェードの内と外、別れた境界線で今後の種の存続が決まってしまった。





キーノ=デシェードは前記のとおりマナの枯渇から始まり、充分に行きゆかぬ土地の特徴を持つ。

そのため、身の危険からは回避された者たちのその地での生活は豊かとは程遠いものだった。


マナとは世界の循環でもある。

土地の活性化にも一役買っているマナが枯渇しているため、植物はおろか水源さへ乏しい。

多少改善されたといへ未だキーノ=デシェードの三分の二は不毛地であり、砂漠だ。


けれど彼らにはそこしか生き場が無かった。

彼らは神に懇願する。


‘どうか、この地に緑を!どうかこの地に水を!’


飢えて斃れ行く同胞を見続けた人々の願いは時が経つにつれ強くなっていった。




神の怒りと精霊の呪いが生みだしたキーノ=デシェード

外敵による危機から逃げ出しその地に辿り着いた者たちが集まって出来た国が始まって十年…


彼らの願いはようやく届く。



手を差し伸べたのは神ではなく、生まれたての精霊だった。


慈愛の心を生まれながらに持つ稀な精霊は困窮していた人々に一本の木を授けた。

精霊の本体が宿るその木は阻害されて入りこめなかったマナを集め、キーノ=デシェード中に循環させ始めた。

みるみる変貌してゆく様に呆然とする人々。

木を中心に森が広がり、水が集まり川が生まれた。生まれ変わったキーノ=デシェードを見た人々はかつての姿を思い浮かぶようなそこ光景にただ涙し、救った精霊に感謝した。



呪いを生んだ古い精霊と同じ名を持つ精霊、キーノは宿り木と同化して人々と大地を見守ることにした。

人々は尊敬を持って国の名を『キーノ』と名付けた。




この『キーノ』は世界最古の国として歴史に刻まれる…――







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