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平凡希望しかし現実苦し  作者: 澤木弘志
序章
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糸の木

朝日を浴びて起床!

久しぶりに熟睡した気がする。

ソファーで寝たんだけどまだクッションが無いからちょっと痛かった。

兎に角今日の作業を開始しよう。


っとその前に腹ごしらえだ。

果樹園からいくつか果実をもぎっ採ってきた。

桃とリンゴと何故かイチゴ。あれ?イチゴって木で成るんだけ?っと云うか私イチゴは造って無いはずなんだけど…まぁいいか。細かいことは気にしないでおこう。

どれもやっぱり実が大きくて甘かった。

いずれ果物以外の作物も造ろう。米とか小麦とか。


食事の後に軽く風呂に入る。

コレもどういう仕組みなのかさっぱりわかんないのだが水止めの栓を抜くとお湯が出てくるのだ。火を焚いてお湯をためなくてもいいのはありがたいがどうなってんだろう?

コレも想像力のなせる技?なのかな。



家の全ての建具を昨日の内に取り付けていたから後は家具と布の制作だ。

家具に至ってはもう最初から能力で形作ってもいいし後から加工できるように調整してもいい。

まぁ簡単に前記の方法で進めよう。同時に布製品に取り掛かるか。

布と云えば綿と麻だ。麻は分からんが綿は学校の授業でつくったことがあるから何となく分かる。

分かる分めんどくさいことを知っている。

綿花から綿を取って糸にするまでの工程にしても、糸から布にする工程にしても一日や二日で成せることではない。

それは家を造るのも同じことなんだが数分足らずで出来てしまったしなぁ

最初から糸や布っていうのは難しいよな。

色々と考えながらふと空を見上げる。青い空に緩やかに流れる白い雲。


「雲…くも?……っあ!!」


何気なく口に出して妙案を思い付いた。

蜘蛛の糸だ!

昔やったオンラインゲームで蜘蛛の糸が素材で出ていたことを思い出したのだ。

あのゲームでは蜘蛛の繭をよって糸にしていた。

そのことをヒントに蜘蛛を植物にしてはどうだろう。

あいにく私の能力では動物を生みだすことはできない。なら植物で代用すればいい。

今までは既存のイメージだけで発動させていたが、まるっきりオリジナルの植物だって生みだせるはず。


そこらへんに落ちていた枝を鉛筆代わりに地面に絵を描いてみる。

頭の中のイメージだけじゃうまくまとまらないため絵にしてみることにしたのだ。

あいにく私の絵心は中位でそれほどうまくなければ見られないほどの下手さじゃない。

さて、どういった植物が良いだろうか?

花が糸状になっていてその花が固まって実になると一片の布になるってどうかな?

それか葉と花が同じっていうのもいいかも。

木のフォルムはバオバブの木がイメージだ。この木は幹が太く枝も上部にあって背が高い。

でもここではさほど高さはいらないから130㎝~150㎝くらいでいいだろう。



地面に描いた絵を描き終えいざイメージしようとしたらその地面に描いていた絵がズズズと動きその後そこから芽が出て木に成長した。

高さや大きさはイメージ通りで形も絵の通りになった。

上部の枝の先から花が咲く。

中央が紫で段々と白になり形としては花のカラーにそっくりだ。

触ってみると花の形が繊維状に崩れる。

少し時間をおくと花が丸まりくるみの形をした黒い実が出来た。

その実を採ってみる。

固いのかと思ったが意外にも柔らかくヘタの部分からぱっくり割れ15㎝四方の白い布のような一片と小さな種が入っていた。

手触りは絹と綿の真ん中くらいだろうか、さらさらとしていてふんわりと柔らかい。

幾つかの布を繋げれば衣服や寝具になりそうだ。



その後色々検証してみた結果、種を潰すと泡が立ちコレは洗剤に使えそうなのが分かった。

葉も潰して茹でてみると染料が出来ることが分かり、柔らかい若葉だと緑色に少し硬くなると青色、枯れ葉になると赤くなった。これで三原色が出来ることもあり色のバリエーションも増える。


このオリジナルの木の名前を花の形状からそのまま『糸の木』と名付けた。





よし、布団つくろうかな。







あと二、三話で序章を終える予定です。

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