博士と立野くん 三部作
note用に書いたものです。こちらにもアップします
博士と立野くん
液体のり三部作
第一話 アラビックヤ○トを買い占めろ!
「立野くん! 立野くんはいないか!」
博士が研究室の奥から叫んだ。
立野くんは白衣についた猫の毛を取っていた。飼い猫のマルが、今朝も研究室じゅうを歩き回ったせいである。
「なんですか、博士」
「アラビックヤ○トじゃ!」
「はい?」
「買えるだけ買い占めてきたまえ!」
「また何かやらかす気ですか?」
「失礼な。科学の進歩に必要なのじゃ」
立野くんはしぶしぶ買い出しに行った。途中でスマホを見ると、液体のりの主成分PVAが、造血幹細胞の培養に役立つというニュースが出ていた。
「おお……博士、ついにまともな研究を……?」
立野くんは少し感動した。
研究所に戻ると、博士は液体のりを前に、腕まくりをしていた。
「博士、細胞培養ですか?」
「違う」
「違う?」
「マルの抜け毛を固める」
「やめてください!」
にゃーん。
マルはその日から、博士を見ると本棚の上に逃げるようになった。
第二話 立野くんの研究
液体のりのPVAが、今度はがん治療の研究で話題になった。
「博士、PVAが治療薬を患部に長くとどめる働きをするそうです」
「ほう。液体のりも出世したものじゃ」
「前にマルに塗ろうとした人が言うと、説得力がありませんね」
立野くんは真面目にノートを開いた。
PVA。治療薬。患部への定着。放射線治療。
「僕も、少し研究してみようかな」
博士は感心した顔をした。
「よい心がけじゃ。助手が研究成果を出すのも大事なことじゃ」
「博士も一緒にやりませんか?」
「わしは忙しい」
「何でですか?」
博士は分厚い大学ノートを取り出した。
中にはマルの写真がびっしり貼られていた。
「マル成長記録の整理じゃ」
「研究所ですよね、ここ」
立野くんはため息をついた。
それでも彼は調べた。ヨウ素、ホウ素、治療薬、放射線。
調べれば調べるほど、医療の研究は難しかった。動物実験のことを考えると胸が痛んだ。成果を出すには、仮説だけでは足りない。データがいる。共同研究もいる。
「僕は、研究者になれるんでしょうか」
立野くんがつぶやくと、マルが足元にすり寄ってきた。
「にゃあ」
「ありがとう、マル」
その瞬間、博士が戻ってきてスマホを構えた。
「よし、立野くんとマル、友情の一枚じゃ」
「博士、研究は?」
「写真も記録じゃ」
「そういう記録じゃありません」
第三話 塩で溶けるプラスチック
「博士、海で漂流したプラスチックが分解されるのに、四百年かかることもあるそうです」
立野くんはニュースを見ながら言った。
「その問題なら、研究が進んでおる。海で分解されるプラスチックじゃ」
「微生物を使うんですか? 他のものに影響が出ませんかね」
「今回は、塩水でほどける素材らしい」
「塩で溶けるんですか? じゃあ日常生活で使えないじゃないですか。塩せんべいの袋とか、汗とか」
「そこはそれ、頭を使うのじゃ」
博士は得意げに言った。
「塩で溶ける素材を、塩で溶けない膜で守る」
「なるほど。普通に使っている間は膜が守る。海に流れて、波や砂で表面が削れたら、中身が塩水に触れて分解する」
「そういうことじゃ」
「いろんなことを考える人がいるんですね」
立野くんは素直に感心した。
「うちの研究所でも研究しましょうか?」
「もうすでに、いろんなところで研究が進んでおる」
「完全に出遅れましたね」
「毎回このパターンじゃな」
立野くんは思った。
また博士が、誰かに研究を押しつけるパターンかもしれない。
その時、博士の目がきらりと光った。
「待てよ。表面の膜がはがれたら、中身が一気にほどける……」
「嫌な予感がします」
「この技術を使えば、マルの抜け毛だけを安全に」
「最初からブラッシングしてください」
にゃーん。
マルは立野くんの背中に隠れた。
博士は少しだけ寂しそうに言った。
「科学は、いつも猫に理解されんのう」
立野くんはマルを抱き上げた。
「猫の方が、博士より危機管理能力がありますからね」
本作は、作者の過去作品「博士と立野くん」シリーズをもとに、AIとの対話を通じて構成・文章を整えたものです。科学的内容はニュース等を参考にしたフィクションであり、正確な解説ではありません。




