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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第二章:鋼鉄の帝国と腐敗の科学】

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第90話:共鳴の鍼、黄金の鎧を砕く旋律

おはようございます!


ミダス王の号令により、一斉に襲いかかる「蛇の秤」の刺客たち。

黄金の鎧に身を包み、痛みすら忘れた不死身の兵士たちを前に、くるるたちは窮地に立たされます。


しかし、聖鍼師の眼は、その鉄壁の守りに隠された「致命的な共鳴」を見抜いていました。

木曜日の朝、黄金の殻を打ち砕く衝撃の一刺しをどうぞ!


本日も【09:00 / 12:00 / 18:00 / 21:00】の4回更新です!

 「太陽の玉座」の間は、黄金の輝きと殺気によって、呼吸すら困難なほどの重圧に包まれていた。ミダス王の命令に応じ、影から現れたのは、全身を隙間なく黄金の甲冑で固めた十二人の「金剛騎士団」。彼らはもはや人間としての意思を持たず、ミダスが操る魔力の糸によって動く、生きた黄金の自動人形ゴーレムと化していた。


「……枢さん、危ない! ……この人たち、……生命の鼓動が聞こえません! ……まるで、……巨大な金の塊が襲ってくるような……!」

 リナが悲鳴に近い声を上げ、聖なる盾を展開する。だが、先頭の騎士が振り下ろした黄金の大剣は、その光の盾を一撃で粉砕し、床の大理石を爆砕させた。


「……フン、……面白い。……斬っても手応えがねえなら、……粉々に砕いてやるまでだ! ……ぬぉぉぉぉぉぉ!」

 カザンが咆哮し、槍の連撃を繰り出す。だが、黄金の甲冑は驚異的な硬度を誇り、カザンの怪力をもってしても、表面に僅かな凹みを作るのが精一杯だった。逆に、攻撃を弾かれたカザンの腕に、金属特有の激しい痺れが走り、動きが鈍くなる。


「……カザン、下がってください! ……その鎧、普通に叩いても壊れません。……彼らの全身を覆う黄金は、ミダス王の魔力と同期し、一定の周波数で常に『硬化振動』を繰り返している。……無理に叩けば、その衝撃がそのまま自分に返ってきますよ」


 くるるは往診バッグから、これまでとは異なり、漆黒の鉱石で作られた「震動の長鍼」を取り出した。それは新大陸の深層で採掘される、音や気を吸収し、特定の点に増幅して解き放つ性質を持つ特殊な鍼。


「……リナ! ……カザンが弾かれた際の音を、私の鍼に集約させてください! ……音の反響さえあれば、……この鉄壁の鎧は、……ただの脆いガラス細工に変わる!」


「……わ、わかりました! ……聖なる響きよ、……枢さんの鍼に集いなさい!」

 リナが杖を振りかざすと、カザンの槍が黄金の鎧を叩いた際に生じた「キィィン」という高周波の残響が、枢の持つ黒い鍼へと吸い込まれていった。鍼が共鳴を始め、枢の指先を激しく震わせる。


「……見えました。……この鎧の、……唯一の継ぎ目。……黄金の気が最も激しく衝突し合っている、……共鳴のデッドスポット!」


 枢は黄金の騎士が振り下ろす大剣を、紙一重の差で回避しながら、その懐へと滑り込んだ。狙うのは、騎士の首の付け根、喉仏の真横に位置する**『人迎じんげい』**。


 ツボとしての『人迎』は、胃の経絡に属し、大きな動脈が走る場所だ。ここは全身の気の巡りを調整するだけでなく、外部からの衝撃や音の響きを脳へと伝える「音の関所」としての役割も持っている。


「……聖鍼流、破壊術――『人迎じんげい砕落さいらくの鐘』!」


 枢が黒い長鍼を騎士の『人迎』へと突き立てた瞬間、鍼に蓄積されていた「共鳴エネルギー」が一気に解放された。

 ガガガガガガガッ!!

 

 騎士の全身を包んでいた黄金の甲冑が、内側からの激しい振動に耐えきれず、まるで共鳴したワイングラスのように、一瞬にして粉々に砕け散った。鎧の中から現れたのは、ミダス王の呪縛から解き放たれ、意識を失って倒れる一人の若い兵士の姿だった。


「……な、……何だと……!? ……私の、……金剛騎士団の鎧が、……あんな細い針一本で……!?」

 玉座でミダス王が、信じられないものを見たという表情で立ち上がった。


「……ミダス王。……黄金は美しく、硬い。……しかし、……強すぎる輝きは脆さと背中合わせです。……あなたが作り出したこの共鳴は、……私にとっては、……どこを突けば崩れるかを示す『楽譜』のようなものですよ」


 枢の言葉に、残りの騎士たちが一斉に襲いかかる。だが、一度「正解」を見つけた枢の動きに、もはや迷いはなかった。彼はカザンの槍が鎧を弾くたびにその音を拾い、流れるような歩法で次々と騎士たちの『人迎』を突いていく。


 ガキィィン! パリンッ!

 次々と黄金の殻を脱ぎ捨て、人間に戻っていく兵士たち。

 カザンとリナも、枢が作った「隙」を見逃さず、兵士たちを安全な場所へと避難させていく。


「……チッ。……やっぱり、……ただの鍼師じゃないわね、……あなたは」

 影からサロメが巨大な注射器を構えて飛び出してきた。彼女の表情には、先ほどまでの余裕はなく、剥き出しの殺意が宿っている。

「……でも、……音を操るのが得意なら、……この『劇毒』の弾丸の音は……どうかしら!?」


 サロメが引き金を引こうとしたその時、玉座の奥から、さらなる巨大な「圧」が放たれた。

「……サロメ、退け。……この男の『鍼』……、どうやら私が直接、黄金に染めてやる必要があるようだ」


 ミダス王の背中から、黄金の翼を模した巨大な魔導兵器が展開される。

 新大陸編、最初の決戦は、都全体を巻き込む「最終形態」へと突入しようとしていた。


「……枢さん、……上から、……とてつもない魔力が降ってきます!」

「……ええ。……ですが、……どんなに巨大な魔力であっても、……そこに『命』がある限り、……必ずツボは存在します。……ミダス王。……あなたのその肥大化した傲慢さ、……すべて私が抜き去って差し上げましょう!」


 枢は再び神鍼を構え、天を突く黄金の翼を見据えた。

 聖鍼師の物語。

 黄金の都エルドラドに、真実の鼓動を取り戻すための戦いが、いよいよ佳境を迎える。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


黄金の騎士団との乱戦。硬い鎧を「音の共鳴」で粉砕するというくるるさんの機転、いかがだったでしょうか。

まさに「柔よく剛を制す」、聖鍼師の本領発揮といった一話でした。


今回登場した**『人迎じんげい』**。

喉の横にあるこのツボは、血圧の調整や喉の不調に効くだけでなく、実は自律神経のバランスを整える重要な場所です。枢さんはここに衝撃を打ち込むことで、鎧全体の「気の振動」を狂わせ、内側から破壊へと導きました。


しかし、ついにミダス王が自ら動き出します。

黄金の翼を広げた王に対し、枢はどう立ち向かうのか……!?


次回、第91話は本日**【12:00】**に更新予定です!


エルドラド上空を舞台にした決戦。

黄金病の「真の特効薬」を作るため、枢は命懸けの空中往診を試みます!


「黄金の鎧が砕ける描写、爽快感すごかった!」

「ミダス王、いよいよラスボス感が出てきた……」


と思っていただけましたら、ぜひ**【評価(☆☆☆☆☆)】**やブックマークをよろしくお願いします!

お昼の更新も、どうぞお見逃しなく!

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