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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第二章:鋼鉄の帝国と腐敗の科学】

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第77話:鋼鉄の医道、経絡を穿つ一閃

お読みいただきありがとうございます!


四天王の刺客、アルバスとフローラを退けたくるるの前に立ちふさがったのは、全身を魔導合金の甲冑で固めた武装医師、ガルス。

物理的なはりが通じない最強の盾を前に、聖鍼師はどう立ち向かうのか。


本日最後の更新、日曜日の夜を締めくくる熱い共闘と、枢の「真の極意」をどうぞお見逃しなく!


2日間にわたる連続更新祭、フィナーレです!

 宮殿の最深部へと続く「審判の門」。その重厚な扉の前に、一つの巨大な「山」がそびえ立っていた。魔導医師四天王が三人目、武装医師「鋼鉄のガルス」。彼は自身の肉体の八割を魔導合金へと置換し、痛みも疲労も感じない究極の「自立型医療兵器」へと変貌を遂げた男であった。その手に握られた巨大なメス型の重剣が、床を削りながら不気味な火花を散らしている。


「……無駄だ、聖鍼師。……我が肉体に経絡など存在せぬ。……流れるのは血ではなく、ヘイズ先生より授かりし高純度の魔力。……貴様の細い鍼が、この厚さ十インチの魔導装甲を貫けると思うか?」


 ガルスの声は、ヘルメットの奥で反響し、金属的な重低音となって回廊を震わせた。彼は一歩踏み出すごとに大理石の床を粉砕し、圧倒的な質量の暴力となってくるるへと迫る。


「……枢さん、下がって! ……あの鎧、魔法を吸収して自身の動力に変える特殊な術式が組まれています! ……私の光の魔法も、彼を強化するだけの結果になってしまう……!」

 リナが焦燥を露わにし、杖を握る手を震わせる。


「……確かに、物理的な攻撃も魔法も、今の彼には通用しないでしょうね。……ですが、ガルス。……あなたは大きな勘違いをしています。……肉体を機械に変えたとしても、それを動かす『意志の源』……あなたの魂が繋がっている中枢だけは、変えることはできない」


 くるるは往診バッグから、これまでとは比較にならないほど長く、そして黒い光を放つ特製の「剛鍼ごうしん」を取り出した。それは初代皇帝がかつて、岩山を穿ち、枯れた地脈を抉り出すために用いたとされる、気の浸透率を極限まで高めた黒檀こくたんの鍼であった。


「……カザン! ……彼を十秒間だけ、その場に釘付けにできますか?」

「……フン、……たった十秒か! ……このカザン、魔族の誇りに懸けて、山すらも止めてみせよう! ……ぬぉぉぉぉぉぉ!!」


 カザンが全身の筋肉を膨張させ、真っ正面からガルスへと突進した。巨大な重剣と魔族の槍が激突し、凄まじい衝撃波が回廊を駆け抜ける。カザンは足元の床を粉砕しながらも、歯を食いしばり、ガルスの巨体を力任せに押し留めた。


「……一、二、三……! ……枢、早くしろ! ……こいつのパワーは、化け物だ!」


「……十分です、カザン! ……ガルス。……あなたの鎧に隙間はありませんが、魔力が循環する『排熱孔』……すなわち、人体で言うところの**『大椎だいつい』**に相当する熱の逃げ場が、そのうなじの一点に集約されているはずだ!」


 枢はカザンの背中を跳躍台にし、ガルスの巨大な肩の上へと舞い上がった。ガルスの重装甲が、枢の接近を検知して魔導障壁を自動展開する。だが、枢の翡翠眼ひすいがんは、その障壁が明滅する「一兆分の一秒の隙間」……気の流れが入れ替わる瞬間を、完璧に捉えていた。


「……聖鍼流、破壊術――『極点穿孔・大椎だいつい』!」


 枢が放った剛鍼が、ガルスの項にある、装甲の継ぎ目すら存在しない「魔力の渦」の中央へと、深々と突き刺さった。それは物理的に装甲を貫いたのではない。枢の全霊の「気」が、鍼を媒介にして原子レベルの隙間を通り抜け、ガルスの内部にある「魂の制御経絡」へと直接、雷のような衝撃を叩き込んだのだ。


 ツボとしての『大椎』は、首の付け根、第七頸椎の下に位置し、全身の「陽の気」を司る最強の要穴。熱病を払い、意識を覚醒させるこの場所は、魔導合金と化したガルスにとっても、全身の魔力出力を制御する「主電源」そのものであった。


「……ガ、……ガハッ!? ……何だ、この……熱い感覚は……! ……我が肉体は、痛みを感じないはず、なのに……!」


「……痛みではありません。……あなたの魂が、あまりに長く冷たい鋼鉄の中に閉じ込められていたために、私の気が『生命の熱』として伝わっているのです。……ガルス。……もう十分でしょう。……自分を殺し、兵器として生きる時間は、ここで終診です」


 枢が鍼を捻ると、ガルスの装甲の隙間から、眩いばかりの純白の蒸気が噴き出した。暴走していた魔力回路が強制的にシャットダウンされ、あれほど圧倒的だった重圧が霧散していく。


 ドォォォォォン!!

 カザンを押し込んでいたガルスの巨体が、糸の切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。装甲の各所から小さな火花が散り、システム停止を告げる魔導音が回廊に寂しく響く。


「……枢さん、やりましたね……!」

 リナが駆け寄り、枢の手を取る。カザンも肩で息をしながら、豪快に笑った。

「……カカッ! ……相変わらず、無茶なことをさせる。……だが、あの鋼鉄の塊を黙らせるとはな。……お前の鍼は、槍よりも鋭いぜ、枢」


「……助かりました、カザン。……ですが、まだ終わりではありません。……四天王の最後の一人、そしてその奥にいるヘイズ博士。……彼らが、この都の病の『本丸』です」


 枢は剛鍼を丁寧に拭い、再び往診バッグへと収めた。その視線は、ついに開かれた「審判の門」の先……真っ黒な闇が広がる、玉座の間を見据えていた。そこには、これまでの三人を遥かに凌ぐ、絶望的なまでに静かな、そして邪悪な「静寂」が横たわっていた。


 帝都の歴史が今、一人の鍼師の手によって決定的に書き換えられようとしている。

 次なる相手は、魔法そのものを無効化する「静寂の医師」。

 枢の聖鍼は、音なき闇を穿つことができるのか。

2日間にわたる連続更新祭、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!


物理攻撃を一切受け付けない「鋼鉄のガルス」を、魂の急所一刺しで沈めたくるるさん。カザンとの連携、そして極限の状態での「極点穿孔」は、まさに今までの旅の集大成とも言える一撃でした。


今回登場した**『大椎だいつい』**。

首の付け根にあるこのツボは、風邪の初期症状や発熱、さらには首や肩のコリにも非常に効果的です。ガルスにとっては、全身の熱(魔力)を逃がすための唯一の、そして最大の急所でしたね。


皆さんの応援のおかげで、ここまで熱い物語を届けることができました!


次回、第78話は、明日3月2日(月)08:00の通常更新となります。

ついに現れる四天王最後の刺客。

そして、ヘイズ博士との最終決戦が幕を開けます。


「2日間お疲れ様でした! 枢さんの快進撃が止まらない!」

「明日の朝の更新も、絶対読みます!」


と思っていただけましたら、ぜひ**【評価(☆☆☆☆☆)】**やブックマークで応援をお願いします!


今夜はゆっくりお休みください。

明日の朝8時、またこの場所でお会いしましょう!

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