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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第二章:鋼鉄の帝国と腐敗の科学】

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第67話:招かれざる鉄靴、不屈の往診

お読みいただきありがとうございます!


里の地脈を浄化し、数百年ぶりの「太陽」を取り戻したくるる

魔族たちとの間に確かな絆が芽生え始めたその時、空を裂いて現れたのは帝国の「冷徹な執行者」でした。


本日から始まる土日の連続更新祭、2回目をお届けします。

【10:00 / 12:00 / 15:00 / 18:00 / 21:00】と、この後も怒涛の勢いで続きます!


聖鍼師vs帝国精鋭騎士団。

1,800文字を超える、手に汗握る死闘をお楽しみください。

 陽光が降り注ぎ、若草の匂いが満ち始めた魔族の里。

 数百年続いた「死の静寂」が嘘のように、里の者たちが互いの無事を確かめ合い、涙を流している。

 だが、その安らぎは、空を切り裂いて飛来した一本の「魔導槍」によって無残に砕かれた。


 ドォォォォン!!

 祭壇のすぐ傍に着弾した槍から、禍々しい紫色の放電が迸る。

「な、なんだ!? どこから撃ってきた!」

 カザンが槍を構え、空を仰ぐ。


 雲を割り、悠然と降下してきたのは、帝国が誇る飛行魔導艦「アルテミス」の先遣隊だった。

 艦の甲板から飛び降り、重厚な鉄靴を石畳に鳴らしたのは、全身を漆黒の魔導鎧フルプレートで固めた男。帝国第一騎士団副団長、ガリアスである。


「……やはりここか。ヘイズ博士が仰っていた『地脈の異変』。……まさか、廃棄物溜まりでしかないこの地が、これほど清浄な気を取り戻しているとはな」

 ガリアスは冷徹な眼差しで、跪く魔族たち、そして赤いマントを羽織ったくるるを見据えた。


「……帝都の法に基づき、この地の『再汚染』を命じられた。地脈を元に戻せ。さもなくば、この里を地図から消し去る」


「……再汚染、ですか」

 枢の声は、ガリアスの放つ威圧感の中でも揺るがなかった。彼は静かに往診バッグを傍らに置き、一本の極太な「銅鍼」を手に取った。


「……せっかく綺麗になった大地の血管を、わざわざ詰まらせろと言う。……それは医者に対して、健康な患者を殺せと言っているのと同じですよ」


「医者だと? 貴様が噂の『聖鍼師』か。……フン、針仕事の男が、帝国の剣に勝てると本気で思っているのか!」


 ガリアスが抜剣する。その剣身には、地脈から無理やり吸い上げた高濃度の魔力が纏い、周囲の大気を歪ませていた。

「……死ね、紛い物の救世主!」


 ガリアスの一振りが、真空の刃となって枢を襲う。

 キィィィィィィィン!!

 鋭い金属音が響いた。枢は避けるどころか、手にした銅鍼一点で、ガリアスの大剣の「腹」を正確に突いたのだ。


「な……!? 剣を弾いたのではない、威力を……逃がしたのか!?」

 ガリアスが驚愕に目を見開く。


「……あなたの剣筋は鋭い。……ですが、その力は無理やり魔導鎧から供給された『外付けの魔力』に頼りすぎている。……鎧と肉体の接点、あなたの背中にある**『肺兪はいゆ』**が、過負荷で悲鳴を上げていますよ」


 人体の『肺兪』は、呼吸器を司ると同時に、全身に気を行き渡らせる重要な中継点。枢の翡翠眼ひすいがんは、ガリアスの魔導鎧が、彼の背中から魔力を強制注入することで、逆に肉体を内側からボロボロにしていることを見抜いていた。


「……黙れ! 帝国の科学を侮辱するな!」

 ガリアスが再び跳躍し、空中で剣を旋回させる。魔導鎧が不気味に発光し、限界以上の出力を叩き出す。


「……リナ、下がっていなさい。……この患者は、少々『薬』が強すぎるようです。……強制的にデトックス(毒出し)をして差し上げましょう」


 枢の体が、残像を残してガリアスの懐へと潜り込んだ。

 あまりの速度に、帝国の精鋭であるガリアスですら、その動きを追いきれない。


「……聖鍼流、解体術・第二式――『鋼の脈動スチール・パルス』!」


 枢の銅鍼が、ガリアスの分厚い魔導鎧の隙間を縫い、背中の『肺兪』へと一閃された。

 バチィィィィィィッ!!

 ガリアスの鎧から、溜まっていた過剰な魔力が火花となって噴き出した。


「ガ、ハッ……!? 身体が……熱い、動か……な……」

 ガリアスは血を吐き、その場に崩れ落ちた。魔導鎧の出力は完全に停止し、ただの重たい鉄屑と化している。


「……『肺兪』は、気の巡りを整える要所。……そこを刺激し、鎧からの不正な魔力供給を遮断しました。……今のあなたは、ただの疲れ切った一人の男です。……数分もすれば、気絶するでしょう」


 枢は冷たく言い放つと、動揺する先遣隊の騎士たちを睨みつけた。

「……これ以上、私の往診を邪魔するなら……。次はあなたたちの『歩く自由』を奪いますよ」


 騎士たちが恐怖に一歩後退る。

 守護神を鎮め、大地の毒を払い、今度は帝国の精鋭をも一刺しで沈めた。

 魔族たちは、その圧倒的な光景に、再び静かな、しかし確かな歓声を上げた。


 しかし、枢の表情は晴れない。

「……長老。……空の上が、騒がしい。……どうやら、本番はここからのようですね」


 見上げれば、雲の向こうからさらに数隻の魔導艦が現れようとしていた。

 聖鍼師と帝国の、魔族領を舞台にした全面戦争。

 その幕が、今、完全に切って落とされた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


土日の12回更新、2回目をお届けしました!

帝国軍の襲来を、まさかの「一刺し」で返り討ちにするくるるさん。

魔導鎧という「最新兵器」さえも、人体の一部として治療(解体)してしまうその手腕、いかがでしたでしょうか。


今回登場した**『肺兪はいゆ』**。

背中にあるこのツボは、呼吸を楽にするだけでなく、全身の気血を整える非常に重要なポイントです。

枢さんはここを突くことで、無理やり力を引き出していた騎士の暴走を止めました。


次回、第68話は本日**【12:00】**に更新!

空を埋め尽くす魔導艦隊を相手に、枢が放つ「広域治療」とは!?

お昼休みの更新も、どうぞお見逃しなく!


「枢さんの一撃、格好良すぎて痺れた!」

「帝国の技術をあざ笑う医学、最高!」


と思っていただけましたら、ぜひ**【評価(☆☆☆☆☆)】**やブックマークをお願いします!

皆さんの応援が、1日6回更新のパワーになります!

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