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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第二章:鋼鉄の帝国と腐敗の科学】

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第66話:氷下の拍動、地脈の診断

お読みいただきありがとうございます!


ついに明らかになったヘイズ博士の正体。

魔族の長老ゼノスの呪いを解いたくるるですが、里の危機はまだ去っていません。


本日から土日の連続更新祭がスタート!

【08:00 / 10:00 / 12:00 / 15:00 / 18:00 / 21:00】の1日6回、全力でお届けします。


里の地下に眠る「真の病巣」とは。

土曜日の朝、1,800文字を超える熱い展開をお楽しみください!

 長老ゼノスの喉を縛っていた呪いを解き放ったくるるは、立ち上がり、未だに微かな震動を続ける足元の石畳を見据えた。

 守護結晶が放つ浄化の光は、表面的な闇を払ったに過ぎない。翡翠眼ひすいがんが捉えるのは、さらに深い……この里の地下数千メートルを流れる「地脈の主幹」に絡みつく、おぞましい魔力の網だった。


「……長老。あなたが自由になったことで、ヘイズの『監視』は一時的に途切れました。ですが、それは同時に、彼が異変に気づくまでのカウントダウンが始まったことを意味します」


 枢の声は、冷徹なまでに冷静だった。往診バッグから、今度は透明な輝きを放つクリスタルのような鍼を取り出す。

「……リナ。ここからは、里全体の『気』を整える作業に入ります。かなり広範囲に渡る処置になる。……私の気の波長に合わせて、増幅の補助サポートを」


「はい、枢さん! いつでもいけます!」

 リナが聖女の杖を構え、枢の背後に立つ。彼女の放つ聖なる気が、枢の集中力をさらに高めていく。


「……長老。この里の地下には、地脈のエネルギーが最も集中する『噴出口』がありますね? 人体で言えば、頭頂の**『百会ひゃくえ』**……天の気を受け取り、全身のバランスを統括する場所です」


 ゼノスは深く頷いた。

「……その通りだ。里の最深部、この祭壇の直下にある。だが、そこはヘイズが打ち込んだ『毒の杭』が最も深く刺さっている場所だ。生半可な者が近づけば、その魔力に魂を飲み込まれるぞ」


「……ならば、私がその杭を引き抜き、穴を塞ぎましょう。……カザン。あなたには、治療中の『邪気の逆流』から里の者たちを守ってもらいたい。かなりの悪臭と衝撃が予想されます」


「……心得た。聖鍼師殿の邪魔は、一寸たりともさせん!」

 カザンが槍を地面に突き立て、戦士たちと共に円陣を組む。魔族たちの間に、もはや人間への不信感はなかった。あるのは、この絶望的な地を本当に変えてくれるかもしれないという、熱烈な期待だ。


 枢は祭壇の中央に跪き、一本の透明な鍼を、石畳の僅かな亀裂へと突き刺した。

「……気の探査プロービング開始。……深さ三〇〇、五〇〇、八〇〇……。……見つけました。地脈の血管に食い込んでいる、黒いトゲを」


 枢の指先から翡翠色の気が地中へと送り込まれる。

 ドォォォォォン!!

 突然、里全体を揺るがすような激しい激震が走った。祭壇の亀裂から、粘り気のある漆黒の霧が噴き出し、枢を飲み込もうとする。


「枢さん!」

 リナが叫ぶが、枢は微動だにしない。

「……案ずることはありません。これは、溜まっていた膿が外へ出ようとしているだけです。……**『百会』**が開けば、すべての淀みは排出される」


 枢は鍼をさらに深く押し込み、自身の気を渦巻かせた。

「……人体の『百会』は、百の気が集まる場所。そこを刺激すれば、鬱滞した感情も、病の種も、すべてを昇華させることができる。……里よ、呼吸を思い出しなさい!」


 刹那――。

 黒い霧が浄化され、一筋の巨大な光の柱が祭壇から天空へと貫かれた。

 それは里全体を覆っていたどんよりとした雲を吹き飛ばし、数百年ぶりに、魔族の里に「真の太陽の光」を届けた。


 吹き抜ける風が、腐敗した臭いを一瞬で消し去る。

 里を流れる小川の水は澄み渡り、枯れていた冬の木々から、奇跡のように若芽が吹き出した。


「……あ、……ああ……。大地の脈動が、聴こえる……!」

 ゼノスが涙を流しながら、清浄な空気を胸いっぱいに吸い込む。


 枢は静かに立ち上がり、汗を拭った。

「……一次処置、完了です。地脈のメインルートは開通しました。……ですが、ヘイズが各地に隠した『副次的な病巣』がまだ残っている。……それをすべて診て回るのが、私の本当の『魔族領往診』です」


 枢は初代皇帝の赤いマントを翻し、里の者たちに微笑んだ。

「……さあ、次の患者(場所)へ行きましょうか。……リナ、往診バッグの整理を。まだまだ長い一日になりますよ」


 太陽の光を背に受ける枢の姿は、もはや伝説の英雄そのものだった。

 第2部・解決編、本格始動。

 聖鍼師による「世界の外科手術」は、ここからさらなる広がりを見せていく。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


本日から始まりました、土日の12回更新祭!

1回目は、魔族の里を救う「地脈の外科手術」をお届けしました。


今回登場したツボは、頭頂にある**『百会ひゃくえ』**。

「百(多種多様)の気があつまる」という名の通り、自律神経を整え、全身の不調に効果がある万能のツボです。

くるるさんの手によって里の『百会』が開かれたことで、物語はさらなる新局面へ!


次回、第67話は本日**【10:00】**に更新!

浄化された里に現れた、意外な「来客」とは……?


「枢さんの無双、何度見てもスカッとする!」

「ツボの知識が物語に深みを出していて面白い!」


と思っていただけましたら、ぜひ**【評価(☆☆☆☆☆)】**やブックマークをよろしくお願いします!

2時間後のおやつどきの更新も、どうぞお見逃しなく!

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