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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第二章:鋼鉄の帝国と腐敗の科学】

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第64話:聖域の覚醒、神殺しの銀鍼

お読みいただきありがとうございます!


魔族の里を蝕んでいた「不浄の汚染」を、わずか二刺しで浄化したくるる

数百年、魔族が抗えなかった絶望を打ち砕いた人間に対し、里の者たちは畏怖の念を抱きます。


しかし、地脈が正常化したことで、予期せぬ「眠れる守護者」が目を覚ましてしまいます。

里の存亡を懸けた危機に、枢が再び金鍼を構える。


「……診察を邪魔するのは、神であろうと容赦しません」


聖鍼師の「解体術」、その真髄が今、解き放たれる!

1,900文字超の濃厚な物語をお楽しみください!

 浄化された守護結晶から放たれる純白の光が、里を包み込んでいた。

 長老ゼノスは膝をついたまま、震える手で自身の胸元を確かめている。

 数百年、自分たちを、そして一族を苛んできた「黒いよどみ」が、霧散している。


「……ありえん。……これほど清冽な魔力が、この地に満ちる日が来ようとは」

 ゼノスの声は、もはや枯れ果てた老人のものではなく、かつての魔族の長としての威厳を取り戻しつつあった。


 しかし、喜びも束の間だった。

 突如として、里の地下から、地鳴りのような咆哮が響き渡ったのだ。


 ズゥゥゥゥン!!

 激しい震動と共に、守護結晶の周囲の床が爆ぜ、そこから巨大な「蛇の姿をした石像」のようなものが這い出してきた。


「な……!? 『地脈の番人ガイア・ガーディアン』か!? 汚染が消えたことで、休眠状態だった守護システムが再起動したというのか!」

 カザンが驚愕し、槍を構える。


 だが、その番人の姿は異様だった。

 全身が結晶化しているが、その一部にはまだ黒い汚染が残っており、正気を失った獣のように荒れ狂っている。

 地脈の気が急激に回復したため、番人の自己修復機能が追いつかず、暴走状態オーバーロードに陥っているのだ。


「退け、カザン! ……今のあれに近寄れば、魂ごと砕かれるぞ!」

 ゼノスが制止するが、番人の巨大な尾が里の建物を薙ぎ払おうとする。

 その軌道上には、逃げ遅れた魔族の子供たちがいた。


「危ないっ!」

 リナが駆け出そうとしたその時。


 シュッ――!!

 一筋の風が、猛り狂う巨大な番人の鼻先を掠めた。


 くるるだった。

 彼はいつの間にか、番人の巨体の直下にまで肉薄していた。

 翡翠眼ひすいがんに映るのは、荒れ狂う石の巨体ではなく、その内部を巡る「光の奔流」の乱れだ。


「……リナ、下がっていなさい。……患者が暴れているときは、まず『鎮める』のが基本です」


 枢は往診バッグから、これまでとは違う、鈍色に光る特殊な鍼を取り出した。

 金鍼よりも硬く、冷たい気を纏った銀鍼だ。


「……巨大すぎるエネルギーが、一点に集中しすぎている。……首の付け根、人体の**『大椎だいつい』**に相当する場所に、魔力が滞留しているようですね」


「大椎は、全身の『陽の気』が集まる十字路。……そこが詰まれば、神であろうと狂うのは当然です」


 枢は番人が振り下ろした巨大な尾を、紙一重の動きで……まるで踊るようにかわした。


 そのまま跳躍し、空中で番人の背後を取る。

「……聖鍼師流、解体術。……第一式、『気門きもん開放』!」


 銀鍼が、番人の首筋にある、極小の「気の噴出口」を正確に貫いた。

 人体の『大椎』は、熱を冷まし、神経を鎮める急所。枢は地脈の化身である番人に対しても、そのセオリーを適用した。


 ドゴォォォォォン!!

 番人の巨体が、激しい蒸気を吹き出しながら、その場に崩れ落ちた。


「ば、馬鹿な……。里の守護神を一撃で無力化させただと……!?」

 カザンが絶句し、槍を落とす。


「……無力化したのではありません。……あまりに急激な浄化で、彼(番人)も驚いていたようですから、少し休ませてあげただけです」

 枢は着地し、平然と鍼を拭う。


 その姿は、もはや魔族たちにとって「救世主」を通り越し、世界を支配する「ことわり」そのものに見えていた。


 地脈の番人が静かに瞳を閉じ、穏やかな鼓動を再開する。

 里を覆っていた恐怖は、今、完全な「平穏」へと塗り替えられた。


「……聖鍼師殿。……いや、聖なる御方よ」

 長老ゼノスが、最も深い敬意を表す「魔族の礼」で頭を下げた。

 それを見た戦士たち、そして里の者たち全員が、次々とその場に跪いていく。


「……お前の医術、そしてその覚悟……。……我が一族、魂に刻んだ。……帝都との盟約、そしてヘイズという男の企み……。……すべてを話そう。……お前という男になら、この世界の運命を預ける価値がある」


 枢は初代皇帝のマントを翻し、跪く魔族たちの中心で静かに目を閉じた。

 第2部・中盤戦『不浄の盟約編』、完。


 しかし、これは終わりの始まりに過ぎない。

 枢の翡翠眼ひすいがんは、浄化された光の向こうに、さらなる巨大な「病巣」――帝都を支配する『真の闇』を見据えていた。


「……さあ、リナ。……次は、本丸の診断に行きましょうか」

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


魔族の守護神すらも「患者」として扱い、一瞬で寝かしつけてしまったくるるさん。

人間の身で「神を治療する」という、まさに異次元の領域に足を踏み入れました。


今回登場した**『大椎だいつい』**。

首の付け根にあり、全身の熱を調整する非常に重要なツボです。風邪の引き始めや、高熱が出たときにここを温めたり刺激したりするのは、医学的にも非常に理に適っています。

枢さんはこれを、巨大な守護者の暴走を鎮めるために応用しました。


全魔族がひれ伏す中、ついに語られる世界の真実……。


「神を黙らせる枢さん、マジで格好いい!」

「ツボの知識がこんな風に活かされるなんて……!」


と思っていただけましたら、ぜひ**【評価(☆☆☆☆☆)】**やブックマークをお願いします!

皆さんの応援のおかげで、18時更新も無事に走り抜けることができました。


次回、第65話は本日**2月27日 金曜日【21:00】**に更新!

ついに明らかになる「ヘイズ博士の正体」。帝都がひっくり返る衝撃の事実とは!?

夜の更新も、どうぞお見逃しなく!

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