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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第五章 : 神代再編・枢復活編】

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第463話:溶岩の要塞、汚染されし精製核とハクの放つ大地の奇跡

闇の医療ギルドの魔の手により、要塞の心臓「大地の溶岩精製核」が完全汚染され、逃げ場のない「血熱の炎」が戦士たちの肉体を内側から焼き焦がす溶岩医療要塞。

超高熱の結界に阻まれ、ハクさんの新薬が届かない絶対絶命の窮地の中、一人の鍼灸師としてのプライドをかけた枢先生の白銀の銀鍼が、大地の暴走を鎮める奇跡の穿刺を敢行します。


「皆さん、よく耐えてくれました。ハクさん、その大地の結晶から紡ぎ出した特効薬、決して無駄にはさせません。周囲を囲む烈火の防壁がどれほど強固であろうとも、血脈の熱を冷ます水の通り道は、必ず人間の肉体と大地の奥底に存在します。リナさん、ガストン、シオン、戦士たちの命の盾となりなさい。一人の鍼灸師として、私の銀鍼が今、この燃え盛る大地に究極の消炎の盾を展開してみせましょう」


21時、水曜夜の更新。溶岩の要塞、汚染されし精製核とハクの放つ大地の奇跡。

赤黒いマグマが牙を剥く最深部で、白銀の聖鍼が、内臓の炎を劇的に冷却する至高の調律を敢行します。

 溶岩医療要塞の中央でドロドロと滾る「大地の溶岩精製核」は、ギルドの最高幹部が放った火生呪詛によって赤黒い熱毒の波動を放ち、周囲の空気を一瞬で気化させるほどの「絶対汚染熱膜」を強固に展開していた。

 近づく者すべての血液を沸騰させる、絶望の熱量パニック。

 ガストンが防護服の隙間から大量の冷や汗を流し、自身の腕の静脈が赤く腫れ上がっていくのを見て悲鳴を上げた。


「う、あぁっ……! 先生、熱い……、身体の中がまるでお湯に変わっちゃったみたいだ! 精製核の暴走が、僕たちの血液の循環を司る『しん』と『小腸しょうちょう』の経絡に熱毒を無理やり送り込んで、血管を破裂させようとしているんだよ……!」


 シオンもまた、急激な血熱の暴走によって顔面を真っ赤に充血させ、肺の奥が激しく炎症を起こしたかのように、乾いた激しい咳を何度も繰り返して床に倒れ込んだ。

ギルドのウイルスが引き起こした真の恐怖は、要塞の熱源を暴走させることで、人間の肉体内にあるすべての血液を内側から沸騰させ、強烈な消炎不全しょうえんふぜんによって五臓六腑を焼き尽くすという、極悪非道な血熱の術式だった。

リナが短槍の柄を真っ赤に加熱させながらも前線を死守する中、ハクが結晶調合室の爆風を突き破り、火傷だらけの腕で一本の燃えるような深紅の薬瓶を抱えて滑り込んできた。


「枢、息を止めてこれを聞け! 地殻の最深部に眠る冷却結晶を極限まで精製した、血熱の暴走をピタリと止める新薬――『地霊清解液ちれいせいかいえき』だ! ……だが、ダメだ、コアの周囲の輻射熱が強すぎて、これ以上は一歩も近づけない!」


 ハクの叫びが熱風に掻き消されそうになる中、枢だけは衣服の端が焦げるほどの超高熱空間の中を、驚くほど静かで冷涼な足取りのまま前へと進み出た。

彼は組織の権威も魔導の称号も持たない、ただ一人の誇り高き「鍼灸師しんきゅうし」としての絶対的なプライドをその白銀の瞳に燃やし、往診鞄から、極北の万年雪の如き冷気を纏う「清熱長銀鍼せいねつちょうぎんしん」を両手に一本ずつ、神速の動きで抜き放った。


「ハクさん、その命懸けの結晶薬、一滴たりとも無駄にはさせません。大地の炎がどれほど猛り狂おうとも、一人の鍼灸師として、その熱毒を劇的に冷却する『血脈の消炎ルート』を、今すぐこの手で開放してみせましょう。……皆さん、一瞬だけ、私に命の関門を委ねなさい」


 枢の身体が、真っ赤なマグマの火花が飛び散る隙間を完璧に見切り、暴走する精製核の流動が最も激しく充血している二つの要穴へと、電光石火の速度で肉薄した。

 ウイルスの放つ赤黒い熱線が枢の肌を焦がすが、彼は全く怯むことなく、左右の肘の周囲にある、熱を冷ますための最大の拠点へと完璧な穿刺を敢行した。


「まず、手少陰心経の合水穴、少海しょうかいを深く穿ちます。ここは火の経絡の中にあって、清らかなる『水の性質』を呼び覚ます絶対の関門であり、ウイルスの邪気によって心臓と血管へと異常に籠もりきっていた『血熱けつねつ』の暴走を、内側から優しく消し止めるための要の穴です」


 枢の銀鍼が、心経の少海のポイントへ完璧な角度で刺入された。

鍼先から極上の冷涼なる気が血脈へと直接注入された瞬間、バリバリと要塞を震わせていた絶対汚染熱膜の温度が、まるで氷水を浴びせられたかのように、みるみるうちに低下していくのが目に見えて分かった。

しかし枢は手を止めず、即座にそのわずか数センチ隣にある、もう一つの偉大なる清熱の泉へと、二の刺しを神速で穿ち込んだ。


「続けて、表裏関係にある手太陽小腸経の合土穴、もう一つの少海しょうかいを刺激します。心経の少海による消炎と、小腸経の少海による余剰な熱毒の劇的な排泄ルートを完璧に同期させることで、大地の核に溜まったウイルスの炎症を、一気に健やかな大地のエネルギーへと調律しなさい! ハクさん、今です、その薬液を大地の血脈へと叩き込みなさい!」


「いけぇぇっ! 大地の怒りを、今すぐ眠らせろ!」


 枢の鋭い号令と同時に飛び出したハクが、熱壁の消え去った精製核の核へと、地霊清解液を一気に叩きつけるようにして流し込んだ。

ダブルの少海という、東洋の医術における最高峰の清熱瀉火せいねつしゃかの連携が施された次の瞬間、暴走していた溶岩精製核は、ハクの結晶薬の成分を、干からびた喉が冷水を渇望するかのような驚異的な速度で内臓の奥底へと吸収していった。


まばゆいばかりの、琥珀色の穏やかな光が要塞の底から爆発的に放射される。

全空間を埋め尽くしていたドロドロの黒い毒マグマはみるみるうちに美しい黄金色の溶岩へと姿を変え、ガストンたちの肌を赤く腫れ上がらせていた急激な血熱の不快感は、一瞬にして完全に消失した。


「あ……、身体の熱がスーッと引いていく……! 血管のバクバクが止まって、胸の奥がすごく涼しい風で満たされていくみたいだ! 先生、大地の怒りが、静まっていくよ……!」


 ガストンが自分の腕を見つめながら歓喜の声を上げる中、要塞の全ての熱源が本来の健やかな大地の脈動を取り戻し、要塞の戦士たちの命の灯火が、力強く、そして美しく再点火されていく。

ハクが荒い息を整えながら自身の空の薬瓶を見つめ、プロの薬師として最高の驚きと敬意を隠すことなく、枢の前に立って深く頭を下げた。


「お前の銀鍼による清熱の術式、言葉もないな。鍼灸師・枢、お前が血脈の関門を開いてくれなければ、私の結晶薬は核に届く前に消滅していた。お前の言う『調和の医術』の底深さ、この身でしっかりと理解させてもらった。この先、どんな過酷な戦地が待っていようとも、お前の往診の旅の盾として、どこまでも同行させてくれ」


「おやおや、ハクさん。頭を上げてください。あなたの命を懸けた結晶薬がなければ、私もこの大地の炎症を治療することはできませんでした。プロの薬師の執念と、一人の鍼灸師の技が合わさったからこその、命の勝利です」


 二人が固い握手を交わしたその時、美しく蘇った精製核の光の向こうから、未知の北の大陸を支配する巨大な国際医療組織のエンブレムが、不気味な通信映像となって再び割り込んできた。

画面の向こうから響く、冷徹な支配者の笑い声。

この要塞の汚染すらも、世界を支配せんとする「闇の医療ギルド」の壮大な計画の一部に過ぎず、彼らの真の目的は、さらに北の最果てにある「凍てつく極寒の氷河医療城」を完全に隔離・閉鎖し、世界の医療の全ての利権を独占することだという、驚愕の事実が告げられたのだ。

溶岩の危機を乗り越えた枢先生たちの往診の旅は、ここからさらに、すべてを凍らせる吹雪と絶対零度の世界が渦巻く「極寒の氷河城編」という、世界の運命を懸けた新たなる激動の大長編へと、その舞台を移していくのである。


 つづく。


 5月27日(水)21:00、大地の調律。

 鍼灸師・枢。二つの少海の術式で溶岩精製核の血熱暴走を完全に防御し、ハクの特効薬と共に溶岩要塞を救い出す。

 次回、5月28日(木)12時、木曜昼の更新は、第464話「極寒の氷河城、凍りつく白銀の世界とギルドの包囲網」へと突入します!

第463話「溶岩の要塞、汚染されし精製核とハクの放つ大地の奇跡」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


 ギルドの呪詛によって逃げ場のない「血熱」の圧殺空間へと変えられた溶岩医療要塞を舞台に、体内の血液循環と水分ネットワークを同時に暴走させられるという、新章「溶岩の戦士と心火の清熱調律編」の最高潮のクライマックス描写、お楽しみいただけましたでしょうか!


 周囲の凶悪な輻射熱によって誰もが動けなくなる絶望的な烈火の最前線の中、微塵も怯むことなく真っ向から立ち向かい、銀鍼一本で大自然の血門と人間の肉体の通水路を完璧に死守してみせる枢先生の姿は、まさに一人の「鍼灸師」としての圧倒的な品格と凄みが最高潮に達した瞬間でしたね。


今回は、東洋医学において身体の深い部分に溜まった血液の熱(血熱)を劇的に解消し、内臓の異常な高熱を優しく冷却する、非常に高名な二つの経穴ツボの流れを解説させていただきます。


 まず、肘の内側にある心経の合水穴、少海しょうかいを穿つことで、恐怖と汚染によって完全に閉ざされ、暴走しきっていた精製核の「精神の防壁(血門の壁)」を内側から優しく開放し、外側からのハクさんの薬効を受け入れるための通り道を一瞬にして切り開きました。


さらに続けて、同じく肘の近くにある小腸経の合土穴、少海しょうかいを刺激し、東洋の医術において「滞った血液の熱を一気に外へと排泄し、全身へと爽快に巡らせる最大の関門」とされる場所を完璧に開放アースすることで、精製核の汚染によって今まさに爆発臨界点に達しようとしていた黒い毒マグマの異常な高圧力をその場で劇的に冷却・排泄し、ハクさんの地霊清解液の持つ薬効を爆発的な速度で熱脈の最深部へ行き渡らせてウイルスの根絶に成功しました。


この二つの「少海」の組み合わせは、現代における過度な精神的ストレスによる心臓のどきどきやのぼせ、腕のしびれ、首から肩にかけての重だるさの緩和などにも非常に効果的な素晴らしい経穴であり、病院の組織や派手な魔導の肩書に一切頼らず、ただ「鍼灸師」としての職人の指先だけで大自然の奇跡の薬効を完璧に導いてみせる枢先生のプロとしての美学には、本当に読んでいて深く感動いたしましたね。


 枢先生の圧倒的な通水術式によって溶岩のパンデミックを完全に見事解決した一行ですが、そんな彼らの前に現れたのは、極寒の氷河医療城を完全に封鎖せんとする「闇の医療ギルド」の新たなる陰謀という、これまた一日の終わりを迎える夜に相応しい息をもつかせぬ衝撃の新展開の引きとなりました。


次なる舞台は、真っ白な氷河が渦巻く極寒の氷河城。新しい往診チームが、世界を支配せんとする闇の巨悪に対し、どのような「命の治療劇」を魅せるのでしょうか。


次回の第464話は、明日【12:00】に更新予定です。

お昼休みのひとときに、さらに世界規模へとスケールアップしていく「聖鍼師・枢」の新たなる大長編の幕開けを、ぜひお楽しみに!

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