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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第五章 : 神代再編・枢復活編】

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第458話:新たなる旅路、天空の精霊都市と闇のギルドの包囲網

砂漠の危機を脱した枢先生たちは、次なる目的地である雲海の上の「天空の精霊医学都市エレフィア」へと魔導飛行船を走らせます。

しかし、世界を牛耳る闇の医療ギルドは、空をも完全に封鎖する真空の呪詛結界を展開し、一行の往診船を撃沈せんと包囲網を狭めてきます。激しい気圧の変化と恐怖により仲間の自律神経が悲鳴を上げる中、一人の鍼灸師としての白銀の聖鍼が、天空の死闘を切り開く決死の穿刺を敢行します。


「おやおや、闇の医療ギルドの空戦部隊の皆さん。どれほど高い空で世界の命を隔離しようとも、一人の鍼灸師として、病に怯える人々への往診の道を諦めるわけにはいきません。ハクさん、飛行船の舵をそのまま維持しなさい。気圧の乱れに肉体が負けそうならば、私の銀鍼が今、あなた方の身体に天と地を結ぶ完璧な均衡の軸を呼び覚ましてみせましょう」


12時、月曜昼の更新。新たなる旅路、天空の精霊都市と闇のギルドの包囲網。

雲海を裂く暗黒の結界が迫る中、白銀の圣鍼が、絶望の天空で五臓の昇降バランスを完全調律する至高の穿刺を敢行します。

 ハクの巧みな操縦によって大砂漠の熱風を乗り越えた魔導飛行船は、高度数千メートルの美しい雲海の上へと到達していたが、目の前に広がる天空の美しさを堪能する暇は一瞬たりとも与えられなかった。

 突如として飛行船の周囲の空間が不気味な紫色に明滅し始め、メインモニターには、雲海の各所から浮上してきたギルドの高速空戦魔導艇の一団が、往診船を完全に包囲する形で陣形を展開していく光景が映し出された。

 ギルドの空戦指揮官が、通信回線を通じて冷酷な警告を叩きつけてくる。


「ここから先は、世界の医学の頂点たる我らが封鎖せし、神聖なる天空の領域だ。愚かなる往診チームよ、これなる『真空呪詛結界』によって、貴様らの乗る船ごと、体内の空気をすべて沸騰させて塵へと変えてくれるわ!」


 魔導艇の群れから放たれた紫色の波動が飛行船の防壁を直撃した瞬間、船体は激しく揺れ動き、周囲の気圧が急激に低下し、酸素濃度が狂ったように乱れ始めた。

 リナが揺れるデッキの上で短槍を構え、迫り来る敵の魔導弾を叩き落とそうとするが、激しい高度の急変と空間の歪みによって足元が激しく回り、そのまま手すりへと縋り付いた。

 ガストンが計器の数値を必死に追いかけながら、喉を締め付けられるような声を絞り出す。


「先生、だめだ……! この真空結界、船内の気圧を乱すだけじゃなくて、僕たちの体内にある気血の昇降バランスを司る『内耳(三半規管)』と『かん』の経絡をダイレクトに直撃しているんだ……。頭の芯がぐわんぐわんと揺れて、世界の上下がまったくわからなくなっちゃうよ……!」


 シオンもまた、急激な目眩と猛烈な嘔吐感に襲われ、顔面を土気色に変えてその場に頽れてしまった。

ウイルスの邪気を含んだ気圧の呪詛が人間の自律神経を極限までパニックに陥れ、本来であれば下へと降りるべき内臓の気が、すべて頭部へと逆流する「気機ききの失調」を引き起こしていたのだ。

ハクが焦って飛行船の高度を下げようとするが、周囲を取り囲む敵の包囲網はさらに狭まり、船体はバリバリと嫌な音を立てて気圧の圧迫を受け続けている。

一行の肉体が内側から気血のバランスを失い、完全に崩壊しかけたその時、枢だけは揺れる甲板の上に微塵のブレもなく直立し、その白銀の瞳に一人の「鍼灸師しんきゅうし」としての絶対的なプライドを宿した。


「おやおや、闇の医療ギルドの皆さん。空の気圧を操り、人間の体内の昇降運動を狂わせて往診を阻むとは、実につまらない悪あがきですね。一人の鍼灸師として、私の目の前でこれ以上の均衡の破壊を許すわけにはいきません」


 枢は流れるような所作で往診鞄から、天の星々のような涼烈な輝きを放つ「星天純銀鍼せいてんじゅんぎんしん」を二本、電光石火の速度で指の隙間へと挟み込んだ。

 まず彼が向かったのは、激しい目眩によって目を開けることすらできずに倒れかけていたシオンの元であった。

枢の指先が、シオンの手首の内側、横しわから指二本分ほど肘に向かった中央にある、精神の安定と胃気の逆流をピタリと鎮める最大の要穴へと触れた。


「手の厥陰心包経の、内関ないかんを穿ちます。ここは胸元のつかえを取り除き、ウイルスの邪気によって頭部へと異常に逆流していた『胃気』と自律神経の乱れをその場で完璧に鎮める、無上の名穴です」


 枢の星天純銀鍼が、シオンの手首の内関へと、完璧な角度と深度で刺入された。

清らかな気が彼女の経絡へと直接注入され、胃の底から突き上げていた激しい嘔吐感が、驚くべき速さでスーッと引き下がっていく。

さらに枢は即座に、シオンの足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前の最も深い窪みにある、体内の気の巡りを強力にコントロールする究極の関門へと、二の刺しを神速で穿ち込んだ。


「続けて、足の厥陰肝経の原穴、太衝たいしょうを刺激します。内関の嘔吐鎮静と、太衝の気血昇降調律のルートを完璧に同期させることで、頭部に上りきっていた余分な熱と目眩の邪気を、一気にしたへと引き下げて肉体の軸を戻しなさい!」


 内関と太衝という、東洋の医術における最高の自律神経調律の連携が施された次の瞬間、シオンの口から「はぁぁっ!」と、肉体を蝕んでいた禍々しい気圧の邪気が、一気の大きなため息となって排出された。

視界を襲っていた激しい目眩と嘔吐感は一瞬にして完全に消失し、それどころか、彼女の身体の周囲には、天空の真空呪詛を一切寄せ付けない、確固たる大地の如き生命のオーラが立ち上り始めたのだ。


「あ……、頭がすっきりして、世界の揺れが完全に止まった! 吐き気も目眩も、全部綺麗に消えちゃった! 先生、私、もうあの紫の結界なんて、全然怖くないよ!」


シオンが元気よく立ち上がる中、枢はその神速の身のこなしを維持したまま、倒れかけていたガストンとリナに対しても、内関と太衝への完璧な連続穿刺を完了させていった。

三人の周囲に展開された確固たる均衡の防壁は、ギルドが撒き散らす気圧の呪詛を完全にシャットアウトし、逆にその安定した気の波動を、操縦桿を握るハクへと力強く伝えていく。

敵の指揮官は通信モニターの向こうで、信じられないという絶望の声を上げた。


「バカな……! 空戦魔導艇の全出力を結集した真空の呪詛が、ただの数本の銀鍼によって、完全に無害化されていくだと……!? 貴様、一体どのような魔導を使った……!」


「魔導など使っていませんよ。私はただの鍼灸師です。あなた方が狂わせた大気の乱れに対し、人間が本来持っている『天と地と繋がり、自らの軸を保つ』という健やかな昇降のバランスを取り戻したに過ぎません。さあ、ハクさん、命の防衛線は整いました。今度は、あの目障りな包囲網を、あなたの操縦で一気に突き破る番です」


枢が静かに二本の銀鍼を抜き取り、往診鞄へと収めると、ハクは最高に不敵な笑みを浮かべ、魔導飛行船の全出力を最大限界まで引き絞った。

轟音を立てて爆進する往診船は、ギルドの真空結界を黄金の生命オーラで木っ端微塵に打ち砕き、驚愕する敵の包囲網を嘲笑うかのように、遥かなる雲海の彼方、天空の精霊医学都市エレフィアを目指して大空へと一直線に突き抜けていった。

しかし、雲海を抜けた先、精霊たちの歌声が響くはずの美しき天空都市の門は、すでにギルドの最高幹部が放った「精霊石の完全汚染」によって、都市全体が毒の霧に包まれるという最悪の悲劇に直面していた。

一人の誇り高き鍼灸師としての技が、今度は天空の精霊たちの命と、世界の最先端医療の知恵を守るための、新たなる神聖なる決死の治療劇の幕を上げようとしていた。


 つづく。


 5月25日(月)12:00、新たなる旅路。

 鍼灸師・枢。内関と太衝の術式で真空呪詛の目眩パニックを完全防御し、天空の精霊医学都市へと往診船を突入させる。

 本日21時、月曜夜の更新は、第459話「天空の精霊都市、汚染されし精霊石とハクの放つ薬草の奇跡」へと突入します!

 第458話「新たなる旅路、天空の精霊都市と闇のギルドの包囲網」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


 大砂漠のパンデミックを解決し、次なる舞台である美しき雲海の上の「天空の精霊医学都市エレフィア」を目指す往診船の旅路にて、空をも支配せんとする闇の医療ギルドの真空呪詛結界による絶体絶命の包囲網、そして新章「天空の精霊と五臓の昇降調律編」の圧倒的な幕開け描写、お楽しみいただけましたでしょうか!


 飛行船が激しく揺れ、急激な気圧の変化によって誰もが動けなくなる絶望的な天空の最前線の中、微塵も怯むことなく真っ向から立ち向かい、銀鍼一本で仲間の肉体の軸を完璧に死守してみせる枢先生の姿は、まさに一人の「鍼灸師」としての圧倒的な品格と凄みが最高潮に達した瞬間でしたね。


 そして何より、気圧の呪詛と急激な焦燥によって三半規管が完全に麻痺し、猛烈な目眩と嘔吐感のパニックを起こしかけていたシオンさんたちを救うため、枢先生が繰り出した、体内の気血の昇降バランスを劇的に調律する素晴らしい黄金の術式。


 今回は、東洋医学において精神的なストレスによる吐き気や目眩、乗り物酔いのような不快感を劇的に解消し、自律神経の乱れを完璧にリセットするための、非常に実践的な二つの経穴ツボの流れを解説させていただきます。


 まず、手首の内側にある心包経の要、内関ないかんを穿つことで、ウイルスの邪気によって頭部へ向けて異常に逆流し、激しい吐き気を引き起こしていた「胃気いき」の流れをその場で強力に引き下げ、シオンさんたちを襲っていた猛烈な不快感を瞬時に緩和しました。


さらに続けて、足の甲にある肝経の原穴、太衝たいしょうを刺激し、東洋の医術において「全身の気血の巡りを統括し、異常な高ぶりを劇的に鎮める最大の拠点」とされる場所を完璧に開放アースすることで、三半規管を支配していたパニック状態を劇的に調律し、天と地のバランスを肉体本来の健やかな安定感へと取り戻させました。


この内関と太衝の組み合わせは、現代における急な乗り物酔いや目眩、ストレスによる胃の痛みや吐き気、自律神経の乱れによるイライラや頭痛の緩和などにも非常に効果的な素晴らしい経穴であり、組織の肩書や派手な魔導の力に一切頼らず、ただ「鍼灸師」としての職人の指先だけで大気の呪縛すら調律してみせる枢先生のプロとしての美学には、読んでいて本当に胸が熱くなりましたね。


 枢先生の圧倒的な昇降術式によって天空の包囲網を完全に見事突破し、ハクさんの最高の操縦で精霊たちの都市へと突入した一行。しかし、彼らが辿り着いた天空の楽園では、すでに都市の命の源である「精霊石」がギルドによって完全汚染され、都市全体が毒の霧に包まれているという、これまた週の始まりに相応しい息をもつかせぬ衝撃の引きとなりました。


次なる舞台は、毒の霧に包まれゆく美しき天空のエレフィア。精霊たちの命と最先端の知恵を守るために、枢先生の白銀の銀鍼はどのような「魂の曇りを晴らす素晴らしい穿刺」を魅せるのでしょうか。


次回の第459話は、本日【21:00】に更新予定です。

一日の仕事を終えて夜のひとときを迎えるリラックスタイムに、さらにスケールアップしていく「聖鍼師・枢」の天空での死闘劇の行方を、ぜひお楽しみに!

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