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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第二章:鋼鉄の帝国と腐敗の科学】

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第45話:憲兵の強襲、銀鍼は魔導か医術か

お読みいただきありがとうございます!


帝国編、開始早々トラブル発生!

くるるの神技を「違法魔導」と見なす憲兵隊が、魔導短銃を突きつけます。

魚際、陶道、大杼……人体の反射を利用した、聖鍼師流の対兵器術。

そして、騒動の最中に現れた「隻眼の将軍」の目的とは。

1,600文字超でお送りする第45話、どうぞお楽しみください!

 「そこまでだ、異邦人。……許可なく市民に『処置』を施すことは、帝国保安法に抵触する」


 暴走した魔導義手を鮮やかに鎮めてみせたくるるの前に、カチリと金属的な音が響いた。現れたのは、蒸気機関を背負った重装鎧に身を包む三人組の男たち。ガレリア帝国軍・都市憲兵隊である。

 彼らが構える「魔導短銃」の銃口は、容赦なく枢の眉間に向けられていた。


「……許可、ですか。目の前で心停止を起こしている患者を放置することが、帝国の法なのですか?」

 枢は、往診バッグから銀鍼を片付けながら、冷ややかな視線を憲兵に向けた。その翡翠眼ひすいがんは、憲兵たちの重装鎧から漏れ出す、不安定な魔力の拍動をすでに分析している。


「口を慎め。貴様が使ったのは、登録されていない『未定義の指向性魔導』だ。……その細い鉄の棒、魔力を増幅させる触媒だろう? 没収し、出頭を命ずる」


 憲兵の一人が、枢の銀鍼を奪おうと手を伸ばした。

 だが、その手が枢に触れる直前、枢は流れるような動きで相手の手首を掴み、その親指の付け根にある**『魚際ぎょさい』**というツボを鋭く指圧した。


「ぐ、あぁっ!? 腕が……痺れて……!」

「魚際は肺経の熱を鎮める場所ですが、強く突けば一瞬で腕の神経伝達を遮断します。……不潔な手で私の鍼に触れないでいただきたい」


 枢が手を離すと、憲兵は銃を落とし、自分の右腕がまるで麻痺したかのようにだらりと垂れ下がるのを恐怖の表情で見つめた。

「き、貴様ぁ! 公務執行妨害に加え、兵士への魔法攻撃……罪状を追加するぞ!」


 リーダー格の憲兵が激昂し、背中の蒸気機関を噴射させて枢へ肉薄する。重装鎧による怪力の一撃。回避の難しい狭い路地。

 後ろで見ていたリナが「枢さん!」と悲鳴を上げる。


 だが、枢は微動だにしない。

 彼は相手の突進の勢いを利用するように、憲兵の鎧の隙間――首筋から背中にかけて、三本の銀鍼を電光石火の速さで叩き込んだ。


「……あなたの鎧、出力が上がりすぎですね。……首の後ろ、第一胸椎の下にある**『陶道とうどう』。そしてその両脇の『大杼だいじょ』**。……これらは骨と気の巡りを司りますが、あなたの『不完全な機械』と連動しすぎて、骨格に過度な負荷がかかっている」


 枢が鍼の柄を指先で弾くと、キィィィィィィィンという高周波の音が響き、憲兵の重装鎧から派手な火花が散った。

「な、何だ!? 動力炉が……停止した!?」


「停止させたのではありません。……鎧があなたの肉体を壊そうとしていたので、緊急停止のスイッチ――人体の『反射』を強制的に引き起こして、動力の伝達を遮断しただけです」


 枢は動かなくなった憲兵の背中から鍼を抜き、冷然と言い放った。

「……道具に使われているようでは、兵士としても三流。……そして、患者の容態よりも法を優先するなら、治療者としても失格です」


「く……っ、この……! 全員、抜剣しろ! この男を仕留め――」

 憲兵たちが剣を抜こうとしたその時、背後から重厚な靴音が響いた。


「……そこまでにしておけ。その御方は、貴様らが手出ししていい相手ではない」


 現れたのは、仕立ての良い軍服を着た、隻眼の老将軍だった。その胸には帝国の最高勲章が輝いている。

「……カ、カシム閣下!? なぜこのような場所に……」


「……昨夜、王国のアルヴィスから親書が届いた。……『比類なき治療家が帝国へ向かった。彼の鍼は、帝国の歪みすらも治すだろう』とな」


 カシムと呼ばれた将軍は、枢を興味深げに見つめ、口角を上げた。

「……聖鍼師・枢殿とお見受けする。……我が帝国の、魔法と機械に侵された『病的な軍隊』を診ていただく時間はありますかな?」


 枢は往診バッグの蓋を閉じ、不敵に笑った。

「……診察料は高くつきますよ、将軍。……特に、この不衛生な黒煙に包まれた国を救うとなればね」


 帝国軍の最高幹部からの直接の依頼。

 枢の銀鍼は、ついに帝国の核心部へと切り込んでいく。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


枢さん、重装鎧を着た憲兵相手にも全く動じませんね(笑)。

今回使った『魚際』は、実際にも喉の痛みや熱を引かせるのに使われますが、手の神経が集中している場所でもあるので、強く押すと本当に腕の力が抜けるんですよ。


さて、帝国の将軍・カシムが登場しました。

アルヴィス様からの紹介状が効いたようですが、帝国軍の内情はかなり深刻なようです……。


「憲兵をツボ押しで黙らせるの、スカッとする!」

「将軍が出てきて、一気に話が大きくなってきた!」


と思っていただけましたら、ぜひ**【評価(☆☆☆☆☆)】**やブックマークをお願いします!


次回、第46話は本日**【12:00】**に更新予定。

将軍に案内された先は、魔導科学の犠牲者が集う「鋼鉄の墓場」。

そこで枢が見る、帝国の残酷な真実とは……?

お昼休みの更新も、どうぞお見逃しなく!

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