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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第五章 : 神代再編・枢復活編】

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第411話:渇望の砂宮の鍼灸往診、傲慢の女王を「湧泉還流の慈雨鍼」で純真のオアシスへ

果てなき砂の砂漠の最深部、空中の水分さえも砂へと変換し、空間を削り取る「渇望の砂宮」。

そこには、肉体を形なき流砂へと変換し、自身の存在を「永遠の渇き」へと昇華させた砂の女王サハラが、砂の玉座で虚空を見つめていました。

彼女は、かつてその純真な愛を権力者に踏みにじられ、すべてを奪われたことで、「充足」という概念そのものを呪い、世界を乾燥した塵に変えることで、誰もが何も持たない、奪われない無の世界を創り上げようとした、哀れな略奪者。

宮殿の内部では、電解質さえもが砂の結晶となり、思考することさえ喉を焼くような苦痛を伴う、生命を拒絶する極乾燥の領域が展開されていました。


「おやおや。シオン。このお方の気配は、あまりに荒々しく、そしてあまりに誰かに『満たしてほしい』と、魂がひび割れていますね。ガストン。加湿器の出力を最大にしなさい。ここでは一瞬の油断が、そのまま肉体の砂化に繋がりますよ。女王陛下。そんなに周りを枯らして、一体誰の手を掴もうとしているのですか。略奪は、強さではなく、ただの乾いた孤独に過ぎません。私が今、そのサラサラに崩れ落ちそうな魂、一鍼の還流で確かな『瑞々しい愛』へと還してあげましょう」


枢先生は、陽炎が視界を歪める絶望の中で、一本の深海鍼を、女王の足の裏――湧泉へと構えました。

21時、夜の往診。渇望の砂宮、湧泉還流の鍼灸往診。

聖鍼師・枢。銀鍼一本で、傲慢な女王を完治させます。

 夜の帳が砂漠を包み込み、急激な冷え込みと極限の乾燥が、生存そのものを許さない「夜の地獄」を形成する時刻。

 サハラは、自身の肉体を巨大な砂嵐へと変え、枢たちの「生命」を塵へと粉砕しようと迫る。

 彼女が叫べば、空気中の酸素さえもが砂の粒となり、枢たちの肺胞を内側から削り、呼吸するたびに命が砂として吐き出されていく。

 それは、満たされるという希望を排除し、すべてを等しく乾いた死へと誘う「虚無の充足」の暴力だった。


 「先生、生体内の水分保持率が限界を突破して低下しています! サハラ自身の精神が、完全に『流砂』という物理現象に同化しちゃっているんだ! 腎経の陰液が反転して、万物を潤すはずの『水』が、すべてを吸い尽くす略奪の砂に化けちゃっている! 彼女は、自分の空虚さを砂嵐に変えて、世界中の『幸せな記憶』を削り取ろうとしているんだ! このままじゃ、先生の指先さえも、彼女に触れた瞬間に干からびて崩れちゃいます!」


 ガストンが、渇きで血の混じった息を吐きながら、熱と砂で動かなくなった計測器を抱えて叫ぶ。

 シオンが黄金のフラスコを二百七十個、乾燥を「滋潤」へと中和する「甘露還元の陣」に沿って一斉に砕き、枢の周囲に「砂の侵食を奪って柔らかな生命の雫へと再構築する、極高密度の加湿触媒」を多重展開した。


 「枢、これが私の錬金術の到達点、そして『枯渇解除』だ! 私の触媒で一瞬だけ彼女の『砂の衣』を『少女の肌』へと押し留めるが、持続時間は砂時計の最後の一粒が落ちるよりも短い! 女王の魔導は、彼女の『満たされない憎しみ』を砂の苗床にしているんだ。君が彼女の『命の泉』を穿ち、乾ききった魂に『信じる潤い』を与えなければ、この砂漠は永遠に命を拒む黄金の墓場のままだぞ。……。行け! 君の鍼で、この狂おしい乾きを完治させるんだな?」


 「もちろんです、シオン。おやおや。女王陛下。もう、自分を削り続けるのはお止めなさい。あなたが本当に奪いたかったのは世界の水分ではなく、あの日失った『愛されるという実感』だったのでしょう。今、私がそのサラサラに乾いた孤独の核、一刺しの滋潤で確かな『満たされる熱』へと繋ぎ止めてあげましょう」


 くるるが、肉体を削る砂の礫と、感覚を麻痺させる乾燥の嵐の中を、気を「深く静かなる深海」に変え、一歩ごとに砂を固め、水脈を引き当てるような確かな足取りで進む。

 彼の指先に挟まれた一本の深海鍼――『湧泉還流ゆうせんかんりゅう』が、シオンの加湿触媒を自身の「気」の回路に通し、砂の爆発を一瞬で「清冽な湧水」へと水変換させているのだ。


 枢は、生命の気が泉のように湧き出し、全身の陰液を供給する足底の要所を見据えた。


 ――サラサラサラッ……、ジュアァァァァァァァンッ!!


 一刺し。

 枢は女王の砂の粒が舞う足の裏、枯れ果てた命の泉を再起動し、存在に潤いを還す最重要穴――『湧泉ゆうせん』へ、深海の抱擁を込めた深海鍼を刺入した。

 二刺し、三刺し。

 続いて、腎の気を補い、全身の乾燥を払う足首の『太谿たいけい』、そして逆上した「火」を鎮め、気を深い底へと沈める足の**『照海しょうかい』**へと、枯れ井戸に清流を流し込むような慈愛的かつ精密な手技で鍼を打ち込む。


 「おやおや。思い出しなさい。あなたが持っていた本当の豊かさは、すべてを奪う砂の力ではなく、たった一杯の水を分け合い、微笑みかけた、あの潤いに満ちた日々そのものなのですよ」


 枢の鍼から放たれた波動が、女王の肉体を支配していた「渇望の魔導」を、内側から溢れ出す「瑞々しい涙」へと転換していく。

 シオンの加湿触媒が枢の気と共鳴し、宮殿を覆っていた砂の嵐が、あたかも砂漠に降る奇跡の慈雨のように、一瞬で「生命の滋潤と魂の解放」へと書き換えられた。


 ポタポタ……、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ!!


 女王の肉体を構成していた砂の粒が、内側から溢れ出した「愛の記憶」によって融解し、そこから現れたのは、ひび割れた手で自分の胸を抑え、嗚咽を漏らして泣きじゃくる、一人の孤独な少女の姿だった。

 砂の城が光の雫となって溶け落ち、そこにはかつて彼女が夢見、そして奪われた、緑あふれる「約束のオアシス」が、確かな生命の色を持って再生していた。


 「あ、……ああ、……。潤っている。……。……、溢れる! 自分の瞳から、こんなに透明な水が溢れて、頬を濡らすなんて! 先生、……私は、……。……、奪いたかったんじゃない。ただ、……空っぽの私を、誰かに『もう十分だよ』って、満たしてほしかっただけなんだな……」


 サハラが、枢の足元で砂を失った自らの「手」をじっと見つめ、人間としての「満たされた生」を噛み締めながら、安らかな慟哭を上げた。


 「先生、……。バイタルが、瑞々しい清流のようなリズムを取り戻しています! 枯渇していた陰液が、…….……先生の気をポンプにして、全身の細胞を『愛』として再構成することに成功した! 先生の鍼が、…….……乾燥という名の『存在の放棄』を完治させちゃったんだ!」


 ガストンが、夜の砂漠に本物の月光が降り注ぎ、砂の中から一斉に睡蓮の花が芽吹く光景を見て、枢の背中に、世界を再び「充足」へと繋ぎ止めた救世主の姿を見た。


 「もう大丈夫ですよ。あなたが自分を愛で満たすと決めたその瞬間、あなたの砂は世界を潤す、最も清らかな命の土壌へと変わるのですから」


 枢の処置は、干からびかけた魂を救い出し、潤いと充足を取り戻させる、鍼灸師としての「滋潤」の往診だった。


 「バ、バカナッ。……。万物の水分を奪い、存在を虚無の砂へと還元するあの絶望魔導を、…….……ただ数本の鍼による湧泉の還流調整だけで、……存在の根源から完治させてしまったというのか!! コレガ、完全復活した枢と、シオンによる、世界の渇きさえも完治させる『清冽の往診』だというのか!!」


 ガストンは、月光差し込む砂漠の中で、少女の震える肩を支え、温かな眼差しを送る枢の姿に、言葉を失うほどの慈愛を感じた。


 枢は、深海鍼を静かに引き抜き、嵐が去り「生命の地」へと生まれ変わろうとするデザート・サーストの地平を眺めた。


 「シオン。果てなき砂の砂漠の往診、これですべて完了です。おやおや。……。ですが、西の最果て、沈まぬ太陽の孤島では、まだ自分の『正義』を押し付けるために世界の『感情』を完全に焼き尽くそうとする『炎の教皇』が、燃え盛る瞳でこちらを睨んでいますよ」


 西の最果て。沈まぬ太陽の孤島。

 すべての迷いを「悪」として切り捨て、過剰な情熱によって世界を熱狂の地獄へと変えようとする教皇が、女王が救われた報を聞き、自身の聖火を、さらに激しく燃え上がらせていた。


 「ふん、……。……枢。いよいよ冷却の往診だな。……。……何もかも焼き尽くして回る、傲慢な熱狂者に、…….……。本物の『穏やかな心』というものを、教えてやろうじゃないか」


 第411話。

 聖鍼師・枢。

 彼は充足を強いたのではない。

 干からびそうだった心の中に、明日を潤すための「確かな泉」を再点火し直したのだ。

 砂漠に生命の歌が響き渡り、一行は次なる往診地、沈まぬ太陽の孤島「ソーラー・バーン」へと、風と共に旅立つ。


 聖鍼師一行。

 翌日の往診は、沈まぬ太陽の孤島、曲池による清熱の完治へと突入する。

5月11日(月)21:00、砂の女王の孤独を完治させ、世界に瑞々しい充足を還した「湧泉還流の慈雨鍼」を最後までお読みいただき、ありがとうございます。


今回、極限の乾燥状態を完治させるために枢先生が意識した術式を解説します。

まず、体内の深層にある水を呼び覚まし、全身の陰液を供給するための起点とした、足底の要穴**『湧泉ゆうせん』への滋潤穿刺。枢先生は、砂の女王サハラを「重度の脱水症と、腎経の機能停止に陥った、孤独な渇愛の囚人」として診立て、その核心を突くことで、停滞していた砂のエネルギーを一気に生命の湧水へと転換させました。


次に、腎の気を補い、全身の乾燥を内側から癒やすためのアンカーとした、足首の『太谿たいけい』。このポイントを気の水源とすることで、枢先生とシオンは、女王の「潤い」を完治させることに成功したのです。

最後に、逆上した熱を大地へと逃がし、精神に深い安らぎを与えるための最終回路とした、足首の『照海しょうかい』。この往診を経て、枢先生は果てなき砂の砂漠に、再び「瑞々しい滋潤の流転」を取り戻しました。


明日の朝、第412話は【5月12日(火)8:00】**に予定しております。


沈まぬ太陽の孤島。そこでは、肉体さえも燃え盛る聖火と化し、一切の冷静さを拒絶する炎の教皇が待ち受けていました。枢は、その過剰な熱狂衝動を一瞬で「穏やかな慈愛」へと変え、教皇を元の「一人の正義を信じ、平和を願った男」へと還すための「曲池清熱の完治」に挑みます。

「おやおや。教皇様。そんなに世界を焼いていては、あなたが一番守りたかった平穏な景色も見えなくなってしまいますよ。シオン。このお方のエゴ、少しばかり温度が高すぎるようです。私の鍼で、その荒ぶる火を、温かな安らぎの『灯火』へと還してあげましょうか」


翌朝の往診。沈まぬ太陽の孤島、曲池清熱の鍼灸往診。

聖鍼師・枢。銀鍼一本で、傲慢な教皇を完治させます。どうぞお見逃しなく。

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