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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第五章 : 神代再編・枢復活編】

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第405話:破滅の避雷塔の鍼灸往診、傲慢のライデンを「神門除電の慈愛鍼」で安らぎの鼓動へ

轟雷の断崖の頂、天を裂く無数の稲妻を吸い込み、巨大な放電体と化した「破滅の避雷塔」。

そこには、肉体を数億ボルトのプラズマへと変換し、自身の存在を破壊の意志そのものへと昇華させた雷の武神ライデンが、怒りと悲しみの混ざり合った瞳で浮遊していました。

彼は、かつて愛する者を守れなかった己の「無力」を呪い、自らを雷に変え、さらには世界中の「脆弱なもの」を焼き払うことで、傷つくことのない最強の世界を創り上げようとした、哀れな破壊神。

塔の内部では、電磁場が空間を歪め、触れるものすべてが一瞬で炭化して光の塵へと散っていく、絶対的な拒絶の領域が展開されていました。


「おやおや。シオン。このお方の気配は、あまりに眩しく、そしてあまりに誰かに触れてほしいという寂しさが爆ぜていますね。ガストン。絶縁防壁を最大展開しなさい。ここでは一瞬の油断が、そのまま魂の消滅に繋がりますよ。ライデン様。そんなに激しく鳴り響いて、一体誰を呼んでいるのですか。破壊は、強さではなく、ただの泣き声に過ぎません。私が今、その荒ぶりすぎた光の魂、一鍼の安らぎで確かな『人の心』へと還してあげましょう」


枢先生は、網膜を焼くような閃光が飛び交う絶望の中で、一本の碧玉鍼を、武神の激しく放電する胸の中央へと構えました。

15時、午後の往診。破滅の避雷塔、神門除電の鍼灸往診。

聖鍼師・枢。銀鍼一本で、傲慢な武神を完治させます。

 西に傾き始めた太陽が、雷雲を不気味な黄金色に縁取り、影を長く、鋭く引き伸ばす時刻。

 ライデンは、自身の肉体そのものを巨大な雷撃の槍へと変え、枢たちの「存在」を蒸発させようと迫る。

 彼が咆哮すれば、空気中の分子が励起し、肺に吸い込む空気さえもがプラズマとなって、枢たちの内臓を内側から焼き焦がそうとする。

 それは、弱さを切り捨て、強さのみが世界を統べるという「孤独な神格化」の暴力だった。


 「先生、生体電位が測定不能です! ライデン自身の精神が、完全に『雷』という物理現象に同化しちゃっているんだ! しんの気が暴走して、万物を温めるはずの『火』の気が、すべてを焼き尽くす殺意の雷に化けちゃっている! 彼は、自分の後悔を放電することで、世界中の『絆』を焼き切ろうとしているんだ! このままじゃ、先生の指先さえも、彼に触れた瞬間に光の塵になっちゃいます!」


 ガストンが、過負荷で煙を吹く計測器を抱え、涙を流しながら叫ぶ。

 シオンが黄金のフラスコを二百十個、破壊衝動を「慈愛の波動」へと中和する「情愛共鳴の陣」に沿って一斉に砕き、枢の周囲に「雷の攻撃性を奪って柔らかな生命エネルギーへと再構築する、極高密度の沈静触媒」を多重展開した。


 「枢、これが私の錬金術の到達点、そして『心の再結合』だ! 私の触媒で一瞬だけ彼の『雷の衣』を『人の肌』へと押し留めるが、持続時間は瞬きほどだ! 武神の魔導は、彼の『自己破壊願望』を動力にしているんだ。君が彼の『心の門』を穿ち、焼き切れかけた魂に『許し』を与えなければ、この断崖は永遠に命を拒む処刑場のままだぞ。……。行け! 君の鍼で、この眩しすぎる悲鳴を完治させるんだな?」


 「もちろんです、シオン。おやおや。ライデン様。もう、自分を焼き続けるのはお止めなさい。あなたが本当に壊したかったのは世界ではなく、愛する人を守れなかったあの日から、止まったままの自分自身の心だったのでしょう。今、私がその眩しすぎる孤独の核、一刺しの静寂で確かな『鼓動』へと繋ぎ止めてあげましょう」


 くるるが、肉体を炭化させるほどの熱波と、神経を麻痺させる高周波の嵐の中を、気を「深い慈愛の水」に変え、一歩ごとに落雷を鎮めるような確かな足取りで進む。

 彼の指先に挟まれた一本の碧玉鍼――『神門除電しんもんじょでん』が、シオンの沈静触媒を自身の「気」の濾過回路に通し、プラズマの爆発を一瞬で「穏やかな体温」へと熱変換させているのだ。


 枢は、精神を蔵し、心の火を制御する手首の要所を見据えた。


 ――バリバリバリッ……、トォォォォォォォォォンッ!!


 一刺し。

 枢は武神の光り輝く手首、暴走する心の火を鎮め、存在に安らぎを還す最重要穴――『神門しんもん』へ、母の抱擁のような慈愛を込めた碧玉鍼を刺入した。

 二刺し、三刺し。

 続いて、気の流れを落ち着かせ、動悸を鎮める胸の『壇中だんちゅう』、そして逆上した気を足元へと引き戻す足の**『湧泉ゆうせん』**へと、荒波を鎮める凪のような圧倒的な手技で鍼を打ち込む。


 「おやおや。思い出しなさい。あなたが持っていた力は、誰かを傷つけるための雷ではなく、大切な人の手を温めるための、その小さな手のぬくもりだったはずですよ」


 枢の鍼から放たれた波動が、武神の肉体を支配していた「破滅の魔導」を、内側から溢れ出す「穏やかな涙」へと転換していく。

 シオンの沈静触媒が枢の気と共鳴し、塔を覆っていた放電の嵐が、あたかも夕暮れの静かな雨のように、一瞬で「生命の安らぎと魂の再起」へと書き換えられた。


 パシッ……、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ!!


 武神の肉体を構成していたプラズマが、内側から溢れ出した「愛する記憶」によって収束し、そこから現れたのは、折れた剣を抱きしめ、子供のように肩を震わせて泣きじゃくる、一人の傷だらけの剣士の姿だった。

 避雷塔が光の粒子となって溶け落ち、そこにはかつて彼が守りたかった、平和な村の「風の音」が、確かな静寂の色を持って再生していた。


 「あ、……ああ、……。静かだ。……。……、温かい。でも、……なんて優しい痛みなんだ。先生、……俺は、……。……、壊したかったんじゃない。ただ、……あの時守れなかった俺を、誰かに『お前は悪くない』って、言ってほしかっただけなんだな……」


 ライデンが、枢の足元で光を失った自らの「拳」をじっと見つめ、人間としての「脆い生」を噛み締めながら、安らかな慟哭を上げた。


 「先生、……。バイタルが、赤ん坊のような純粋なリズムを取り戻しています! 暴走していた心の気が、……。……、先生の気を避雷針にして、全身の細胞を『愛』として再結合させることに成功した! 先生の鍼が、…………、破壊という名の『自己喪失』を完治させちゃったんだ!」


 ガストンが、断崖の頂に本物の虹がかかり、焦土から小さな白い花が芽吹く光景を見て、枢の背中に、世界を再び「愛」あるものへと繋ぎ止めた救世主の姿を見た。


 「もう大丈夫ですよ。あなたが自分を許すと決めたその瞬間、あなたの雷は世界を照らす、最も明るい希望の光へと変わるのですから」


 枢の処置は、焼き切れかけた魂を救い出し、慈愛と平穏を取り戻させる、鍼灸師としての「再会」の往診だった。


 「バ、バカナッ。……。万物の理を焼き、存在を破壊の意志へと還元するあの絶望魔導を、…….……ただ数本の鍼による心経の電位調整だけで、……存在の根源から完治させてしまったというのか!! コレガ、完全復活した枢と、シオンによる、世界の悲しみさえも完治させる『慈愛の往診』だというのか!!」


 ガストンは、柔らかな陽光が降り注ぐ断崖の上で、剣士の震える背中にそっと手を置き、温かな眼差しを送る枢の姿に、言葉を失うほどの慈愛を感じた。


 枢は、碧玉鍼を静かに引き抜き、嵐が去り「安らぎの地」へと生まれ変わろうとするボルト・エッジの地平を眺めた。


 「シオン。轟雷の断崖の往診、これですべて完了です。おやおや。……。ですが、南の最果て、奈落の森では、まだ自分の『苦悩』を芸術にするために世界の『生命』を完全に腐敗させようとする『毒の魔女』が、狂おしい瞳でこちらを睨んでいますよ」


 南の最果て。奈落の森。

 すべての美しさを「偽り」として嘲笑い、猛毒によって世界を腐敗の沼へと沈めようとする魔女が、武神が救われた報を聞き、自身の毒杯を、さらに深く濁らせていた。


 「ふん、……。……枢。いよいよ解毒の往診だな。……。……何もかも汚して回る、偏屈な芸術家気取りに、…….……。本物の『穢れなき美しさ』というものを、教えてやろうじゃないか」


 第405話。

 聖鍼師・枢。

 彼は沈黙を強いたのではない。

 焼き切れそうだった心の中に、明日を信じるための「確かな温もり」を再点火し直したのだ。

 断崖に愛の歌が響き渡り、一行は次なる往診地、奈落の森「アビス・ガーデン」へと、風と共に旅立つ。


 聖鍼師一行。

 18時、夕暮れの往診は、奈落の森、大椎による解毒の完治へと突入する。

5月10日(日)15:00、雷の武神の孤独を完治させ、世界に慈愛の平穏を還した「神門除電の慈愛鍼」を最後までお読みいただき、ありがとうございます。


今回、極限の精神暴走を完治させるために枢先生が意識した術式を解説します。

まず、雷と化した心に静寂を与え、魂を再構成するための起点とした、手首の要穴**『神門しんもん』への慈愛穿刺。枢先生は、雷の武神ライデンを「重度の自己嫌悪と、心経の機能暴走に陥った、孤独な力の亡者」として診立て、その核心を突くことで、荒れ狂っていたプラズマエネルギーを一気に生命の鼓動へと転換させました。


次に、過熱した気の逆流を鎮め、精神の安定を図るためのアンカーとした、胸の『壇中だんちゅう』。このポイントを気の調和路とすることで、枢先生とシオンは、武神の「心」を完治させることに成功したのです。

最後に、浮き上がった虚無の気を大地へと引き戻し、存在の根を張らせるための最終回路とした、足の『湧泉ゆうせん』。この往診を経て、枢先生は轟雷の断崖に、再び「瑞々しい慈愛の流転」を取り戻しました。


本日の夕方、第406話は【18:00】**に予定しております。


奈落の森。そこでは、肉体さえも猛毒の霧と化し、一切の生命を拒絶する毒の魔女メデューサが待ち受けていました。枢は、その過剰な腐敗衝動を一瞬で「清浄な息吹」へと変え、魔女を元の「一人の美しさを愛した少女」へと還すための「大椎解毒の完治」に挑みます。

「おやおや。魔女様。そんなに世界を汚していては、あなたが一番守りたかった清らかな色も見えなくなってしまいますよ。シオン。このお方のエゴ、少しばかり毒素が強すぎるようです。私の鍼で、その腐った沼を、瑞々しい生命の『泉』へと還してあげましょうか」


18時、夕暮れの往診。奈落の森、大椎解毒の鍼灸往診。

聖鍼師・枢。銀鍼一本で、傲慢な魔女を完治させます。どうぞお見逃しなく。

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