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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第一章:王都の毒を穿つ聖鍼】

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第36話:黒い証拠と、震える貴族たち

お読みいただきありがとうございます!


暗殺者の自爆、現場に残されたカフスボタン。

くるるの翡翠眼は、その持ち主を一瞬で特定します。

「治療ついでに白状してもらいましょうか」

恐怖に震える伯爵を、神門、太渓、人迎のツボで「完璧に診察」する枢の無双劇。

1,600文字超、真犯人へと迫る痛快な展開をお楽しみください!

 バルコニーに響いた自爆の轟音は、平和な祝宴の終焉を告げる弔鐘ちょうしょうのようだった。

 駆けつけた騎士たちが騒然とする中、くるるは爆風に煽られた前髪を静かに払い、掌の中にある「黒い宝飾品」――蛇の刻印が入ったカフスボタンを見つめていた。


「枢様……! お怪我はございませんか!?」

 血の気の引いた顔で駆け寄るセレスティアラ王女に、枢は小さく首を振る。

「私の心配より、広間で腰を抜かしている貴族たちの心配をした方がいい。……さて、この『忘れ物』の持ち主を、今から探しに行きましょうか」


 枢が翡翠眼ひすいがんを薄く見開くと、カフスボタンに残されたかすかな「魔力の残滓」が、紫色の糸となって大広間へと伸びていた。

 広間に戻ると、そこには恐怖でパニックに陥り、過呼吸や眩暈めまいで倒れ込んでいる貴族たちの姿があった。


「ああ、恐ろしい……暗殺者が出るなど……!」

「誰か、治癒師を! 胸が、胸が苦しいのだ!」


 嘆き悲しむ彼らの中心で、一人、あからさまに動揺して顔を伏せている男がいた。バルモン侯爵の側近であり、王宮の財政を司る財務次官、エドガー伯爵だ。

 枢は迷いなく、その男の前で足を止めた。


「伯爵。ずいぶんと呼吸が乱れていますね。……顔が青白く、手足が冷え切っている。これは典型的な『心胆気虚しんたんききょ』、つまり極度の恐怖による気の失調です」

「な、何だ貴様は……! 放っておいてくれ、私は今、気分が悪いのだ!」


「医者が患者を放っておけるはずがない。……まずはその動悸を止めましょう。手首の横紋、小指側の窪みにある**『神門しんもん』**。ここは心の気を落ち着かせ、不安を鎮める聖域です」

 枢が伯爵の手首を掴み、神門を強く圧迫する。


「ひぅっ……!? あ、熱い……?」

「気が通い始めた証拠です。……さらにもう一点。足の裏、土踏まずの少し上にある**『湧泉ゆうせん』**。先ほど陛下にも使いましたが、あなたの場合は生命力ではなく『地に足を着ける気』が不足している。……動かないでくださいよ」


 枢は伯爵を無理やり椅子に座らせると、その足首を掴み、くるぶしの内側にある**『太渓たいけい』**というツボを鋭く刺激した。ここは腎の原気が集まる場所であり、パニックに陥った精神を強制的に現実に引き戻す効果がある。


「あ、が……っ! はぁ、はぁ……。……不思議だ。胸のバクバクが、消えていく……」

「落ち着きましたか? ……では、落ち着いたところで『本題』に入りましょう。……伯爵、あなたの右袖、カフスボタンが一つ足りないようですが?」


 枢が掌を開き、血のついた黒い宝飾品を見せる。

 刹那、伯爵の顔が土気色から一気に「死人の白」へと変わった。


「そ、それは……! どこでそれを……!」

「暗殺者が命懸けで守ろうとした『上』の証拠ですよ。……どうやら、あなたの胃腸が弱っていた理由は、仕事の疲れではなく、この不吉な石を身につけていた『呪い』のせいだったようですね」


 枢の指先が、伯爵の喉元にある**『人迎じんげい』**というツボに触れた。ここは頸動脈が通る場所であり、血圧を司る要所だ。

「……嘘をつこうとすれば、血流が激しく乱れ、私の指にすべて伝わります。……さあ、誰に命じられて暗殺者を手引きしたのですか? あなたの背後にいるのは、バルモン侯爵か、あるいは教団の『導師』か」


「い、言えん! 言えば、私は消される……!」

「言わなければ、今ここであなたの経絡をすべて封じ、一生、自分の呼吸さえ自由にできない身体にします。……医者として、最善の『リハビリ』を提案しているつもりなのですが?」


 枢の翡翠眼が、冷酷な光を放ちながら伯爵の瞳の奥を覗き込む。

 逃げ場のない「診察」。周囲の貴族たちは、救世主であるはずの枢が放つ、死神のような威圧感に、ただ息を呑んで見守るしかなかった。


「……あ、ああ……。わかった、話す……話すから、その手を離してくれ……!」


 伯爵の口から漏れたのは、王都を襲ったパンデミックさえも「序章」に過ぎないという、王宮を揺るがす戦慄の計画だった。

 枢は確信した。癌の転移先は、この国の最高枢密院にまで達している。


「……王女様。本格的な『開腹手術』の準備を。……この国の膿を、一滴残らず絞り出します」


 枢は再び往診バッグを担ぎ、闇に沈む王宮の奥廊下へと視線を向けた。

 聖鍼師の「逆襲」が、今、加速していく。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


枢さん、ついに嘘発見器まで鍼とツボで代用し始めました(笑)。

『人迎』は頸動脈の拍動を感じる場所なので、嘘をついて動揺すると本当に指先に伝わるんですよね。


「枢さんの診断から逃げられる奴なんていない!」

「いよいよ黒幕の正体が見えてきた……!」


1日6回更新、本日ラストを飾る第37話は**【21:00】に更新です!

伯爵の口から語られる、驚愕の黒幕とは!?

ぜひ【ブックマーク】**をポチッとして、夜の更新をお待ちください!

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