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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第一章:王都の毒を穿つ聖鍼】

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第31話:呪いの発信源、地下祭壇への「逆往診」

お読みいただきありがとうございます!


王を救ったくるるが次に向かったのは、呪いの発信源である地下祭壇。

「病根は放置しない」

聖鍼師の執念が、闇に潜む教団の者たちを恐怖に陥れます。

太衝、足三里、内関……実在するツボの知識が戦闘を支配する、驚愕の「逆往診」をお楽しみください!

 「……見つけましたよ、不法投棄の犯人を」


 国王の寝所に静寂が戻る中、くるる翡翠眼ひすいがんだけが、床を突き抜け、王宮のさらに深層へと向かう「魔力の残滓」を冷徹に捉えていた。

 先ほど龍雷鍼りゅうらいしんで王を蝕む呪いの糸を焼き切った際、枢はその衝撃をあえて「逆流」させた。それは鍼灸師が神経の伝達を逆送させるように、術者の居場所を特定するための「逆探知」の術でもあった。


「枢様……まさか、今から向かわれるのですか? お体も限界のはずですわ!」

 セレスティアラ王女が心配そうに駆け寄るが、枢は往診バッグを肩にかけ直し、短く首を振った。


「病根を放置して寝る医者はいません。……王女様、この寝室にある『隠し階段』を開けてください。その先が、毒の出所です」


 王女が戸惑いながらも壁の装飾を動かすと、重厚な石壁が音を立ててスライドし、地下へと続く闇の口が開いた。枢は迷いなく足を踏み出す。カビ臭い空気の奥から、ねっとりとした呪詛の気配が這い寄ってくる。


 地下数百メートル。かつて王族が儀式に用いたという廃祭壇に辿り着いたとき、そこには数人の黒装束を纏った男たちが、血を吐いてのたうち回っていた。

「ガハッ……!? なぜだ、なぜ術が弾かれた……!」

「私の『電撃治療』が、よほどお気に召さなかったようですね」


 枢の低い声が祭壇に響く。中央に立つ祭司らしき男が、恐怖に顔を歪めながら立ち上がった。

「貴様……聖鍼師か! 陛下の呪いを解いたばかりか、この結界の座標まで突き止めるとは……!」


「座標を突き止めるなど、簡単ですよ。……あなたたちが陛下に繋いだ『呪いの糸』は、私から見れば単なる不衛生な経絡の延長に過ぎない。……その糸を逆に辿れば、あなたの汚い心音が耳元で鳴っているようなものです」


 枢はバッグから三本の銀鍼を取り出した。

 男たちが一斉に抜刀し、闇に紛れる歩法で襲いかかる。だが、枢の翡翠眼には、彼らの筋肉の収縮から血流の速度までがスローモーションのように映っていた。


「……まずは、その無駄な動きを止めましょうか。足の甲、親指と人差し指の付け根にある**『太衝たいしょう』。ここは肝経の要所であり、気の流れを制御し、怒りや衝動を鎮める要です」

 枢が暗闇の中で鍼を弾く。

「次に、膝の外側にある『足三里あしさんり』**。胃経の万能穴ですが、逆から強い気を刺激すれば足の神経を一時的に麻痺させる急所となります」


 シュッ、という風を切る音と共に、襲いかかろうとした男たちが、まるで糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。

「な……足が動かん!? 何をした!」


「動かなくていいですよ。これから行うのは『精密検査』ですから」

 枢は一歩、また一歩と祭司の男に歩み寄る。男は最後の抵抗とばかりに、全身の魔力を右腕に集め、黒い霧の刃を形成した。


「死ねぇっ!!」

「……お喋りが過ぎますね。手首の内側、関節から指三本分上にある**『内関ないかん』**。ここは心包経に属し、心臓と深く繋がり、吐き気や動悸を抑えるツボですが……」


 枢の手が男の腕をすり抜け、内関の一点に鍼を深く突き立てた。

「……強い電気信号(魔力)を通せば、心臓の鼓動を『一拍だけ』強制的に飛ばすことができます」


「カハッ……!?」

 男の右手の魔力刃が霧散し、彼は胸を押さえてその場に崩れ落ちた。死ぬことはない。だが、心臓が握り潰されるような強烈な圧迫感に、男の精神は一瞬で折れた。


 枢は最後に、祭壇の最奥に鎮座する、王の生命力を吸い上げていた「黒き蛇の偶像」を見据えた。

「……仕上げです。偶像の眉間にある、この術式の『かなめ』……。人間で言うところの**『印堂いんどう』**。ここは奇穴と呼ばれ、精神を鎮める場所。ここに私の気を流し込めば、この歪な術式は完全に自壊します」


 枢が最後の一刺しを偶像に叩き込んだ。

 パリィィィィィン!! という快い音と共に、王宮を数日間支配していたどす黒い気配が、完全に消滅した。


 静寂が戻った地下祭壇で、枢は深く溜息をつき、ようやく自分の肩を回した。

「……これで往診終了です。……さて、王女様。明日からは、陛下に栄養のあるスープと、たっぷりの睡眠をとらせてください。……あ、それと。……私の分の寝床も、できれば用意しておいていただけると助かります」


 その場に座り込む枢に、駆け寄った王女が感極まって抱きつく。

 救国の聖鍼師による、最も長く、最も濃密な一日が、ようやく終わろうとしていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


枢さん、完全に敵を患者扱い(笑)。

『内関』への一撃で心臓を一拍飛ばすなんて、まさにプロの仕業です。

これでパンデミックから始まった一連の事件も、ひとまずの解決を見ました。


「逆探知からの往診、枢さんが無双すぎてスカッとする!」

「ツボの解説があると、攻撃の理屈がわかって面白い!」


おかげさまで累計100UUユニークアクセスを突破いたしました!

本当に、本当にありがとうございます。

もし今回の「精密検査」を気に入っていただけましたら、ぜひ**【ブックマーク】**で応援をよろしくお願いします!


次回、第32話は21日(土)の**【08:00】**に更新予定。

事件解決の宴……と思いきや、枢を待っていたのはさらなる「難題」でした!?


明日からの3連休は3日とも1日6話更新のブースト日です!

大量投下しますが、どうぞお付き合いくださいませ。

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