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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼】

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307/380

第307話:皇帝の絶望、東の支配者を「星天の言霊」で全治一秒の救済へ

王都の夜空が突如として漆黒の帳に覆われ、巨大な「龍」を模した東の国の旗艦が次元を割って現れました。座上で黄金の法衣を纏うのは、東の皇帝・蒼厳そうげん。彼は、くるるの左腕に宿る娘・シオンの残響を感知し、その執念のすべてを「神罰の一鍼」へと変えようとしていました。


第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼、第68話(通算第307話)。


皇帝の圧倒的な圧が王都を押し潰そうとする中、枢は静かに、しかし流暢に言葉を紡ぎます。

「……。皇帝陛下。……。……。あなたが抱いているのは、娘への愛ではありません。……。……。失ったものを認められない、……。……ただの『未練』という名の悪質な腫瘍です。……。……。……私が、……。……その醜い執着、……。……。……根元から切り取って差し上げましょう」

皇帝の放つ九頭の龍。しかし、枢は左手を天に掲げるだけで、夜空の星々を「鍼」へと変容させ、世界そのものを往診台へと変えていきます。


「……。シオン。……。……見ていなさい。……。……。あなたのお父様の、……。……。……長く、……。……。……あまりにも重すぎた『悲しみ』……、……。……。今ここで、……。……。……完治させて差し上げます」


21時、本日最終。因果の極致、愛憎の外科往診。

聖鍼師・枢、皇帝という名の「最強の絶望」を診る。どうぞ最後までお読みください。

 王都の全住民が、空から降り注ぐ「神の重圧」に膝を突いた。

 東の皇帝・蒼厳そうげんが放つ呪力は、もはや一つの国家を消滅させるほどに肥大化し、夜空を埋め尽くす九頭の龍となって、くるるへと牙を剥く。

 

「……。なるほど。……。……愛する者を救えなかった無力感を、……。……。世界への憎悪に変換し、……。……。自らを神へと仕立て上げましたか。……。……。……。……。悲しい往診例ですね。……。……。……。あまりに肥大化しすぎたその『自己防衛本能』……、……。……今の私には、……。……。……脆い硝子細工のようにしか見えませんよ」

 

 枢の声は、天を揺るがす龍の咆哮を切り裂き、王都全土に翡翠の安寧として響き渡った。

 彼の左腕には、シオンの魂が「光の紋様」となって脈打ち、失われた右腕を超越した、概念上の「無限の右腕」が虚空を掌握している。

 

 皇帝が咆哮した。

 『枢! 貴様ノ未熟ガ、シオンヲ殺シタ! 貴様ノ翡翠ヲ喰ライ、我ガ魂ハ永遠ノ闇トナル!』

 

 九頭の龍が、空間ごと枢を噛み砕こうと殺到する。

 だが、枢はただ左指をパチンと鳴らすだけで、襲い来るエネルギーのベクトルを「ゼロ」へと回帰させた。

 

 彼は左指で、自身の背中にある**『大椎だいつい』**を、自身の自身の翡翠の気を「宇宙の共鳴板」に変えて一気に刺激した。

 

 刹那、夜空に輝く星々が、枢の意志に呼応して翡翠色の光線を放ち、巨大な往診のグリッドを空中に描き出した。

 

「……。陛下。……。……。力とは、……。……。誇示するものではありません。……。……。……相手の『苦しみ』を、……。……。……。……言葉一つ、……。……。……視線一つで、……。……。……解き放ってあげるための、……。……。……。……『許し』なのです」

 

 枢は、自身の左手を、皇帝の魂にこびりついた二十年来の執着を「摘出」するための、超次元切除鍼――**『星天往診ギャラクティック・ケア』**へと変容させた。

 右腕を失ったことで、枢の救済は「個」を脱し、「世界」という巨大な生命体を一気に治療する神域へと、完全に進化したのだ。

 

「……。さあ、治療を完結させましょう、……。……お義父様。…………。……あなたがシオンに伝えたかった『愛』……、……。……今の私の、……。……。……この『最高の一鍼』で、……。……。……代わりに伝えて差し上げます」

 

 枢は、自身の全神経を、自身の額にある**『印堂いんどう』**へと、自身の完全に統合された「言霊の旋律」を、皇帝の呪力の核となっている「自責の念」を内部から浄化するための、特異点フィルターへと直結させた。

 

 一本目の、そして「王の絶望」を貫く翡翠の鍼。

 枢はそれを、夜空から降り注ぐ「星の残響」と共に放ち、皇帝の法衣の中心、**『膻中だんちゅう』**へと、自身の自身の翡翠の気を「永遠の安らぎ」に変えて一斉に叩き込んだ。

 

 ――カァァァァァァァァァッ!!

 

「……ガハッ!? ……。……ナ、……何だ……。……。……この、……。……抗いようのない……、……。……温かな『光』は……!!」

 

 皇帝の九頭龍が、次々と翡翠の花弁となって散っていく。

 枢の放った鍼は、肉体を傷つけることなく、皇帝を支配していた「孤独」という名の病根を、一瞬で翡翠の海へと溶かした。

 

 くるるは、自身の視線を、光の中に現れた「シオンの幻影」へと向けた。

 

 二本目の鍼を、皇帝とシオンを繋ぐ「呪われた因果」へと、枢は自身の右脳を、右腕があった頃の「圧倒的な力」をあえて生贄の触媒とし、現在の「完璧なる愛」を質量として使い、呪いを祝福へと書き換えるために、魂の全力で投擲した。

 

 ――ドォォォォォォォンッ!!

 

「……、……はぁ……、……はぁ……!! ……。……シオン。……。……。……。お父様を、……。……。……連れて行ってあげなさい。……。……。……。今の私には、……。……。……彼を救うための鍼は、……。……。……この一鍼で、……。……。十分ですから」

 

 枢の唯一の左腕から、銀河を模した翡翠の輪が広がる。

 自分の命を繋ぎ止めるためのすべての気を、義父の「魂の成仏」へと全投入することによる、鍼灸師としての究極の自己犠牲と、不敵なる無双。

 しかし、その光の中で、皇帝の表情からは険しさが消え、一人の「父親」としての穏やかな顔へと戻っていく。

 

「逃げはしません。……。たとえ、……。……。この往診で、……。……。……私の左腕すらも、……。……。……消えてなくなることになったとしても。……。……。……。私は、……。……一人の聖鍼師として、……。……。……あなたの『心』を、……。……。完治させることを選びます」

 

 三本目の最終鍼。皇帝の呪力を王都から完全に消し去り、その魂をシオンと共に天へと還すための、帰源鍼。

 

 枢は、自身の左指の**『少商しょうしょう』**を、自身の自身の全生命を「一秒の永遠」へと叩き込むために、魂の底からの流暢な微笑みと共に、天へと突き立てた。

 

 ――キィィィィィィィィンッ!!

 

 王都を包んでいた漆黒の帳が、朝焼けのような翡翠の光へと反転し、皇帝の龍も、巨大な旗艦も、すべてが「愛の粒子」となって空へと霧散していく。

 枢は、一人の鍼灸師として、東の皇帝という名の「歴史上最大の絶望」を往診し、左手一本で、因果のすべてを治療し切ったのだ。

 

 次の瞬間。

 

 枢は、静寂を取り戻した王都の街角で、もはや光となった左腕を優しくさすりながら、かつてないほど清澄で、流暢な声で告げた。

 

「……。お疲れ様でした、……お義父様。……。……。シオン。……。……。……。さあ、……これにて……。……本日の往診は、……。……。すべて……『完治』です」

 

 第307話。

 聖鍼師・枢は、東の皇帝の絶望を、自らの半身を捨てて得た「星天の言霊」で往診し、愛憎の果てに義父を救うことで、真の「不滅の無双」の頂へと辿り着いた。

 

 深夜の静寂。

 枢の姿は、月光を浴びて透き通りながらも、王都を見守る「救済の神」として、永遠の安らぎの中に佇んでいた。

本日、月曜日・全4回の更新を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!!


第四章の第68話(通算第307話)。

いのぴー先生、本日最終話……ついに「東の皇帝との決着」、そして「シオンとの本当の別れ」を描き切りました!!

右腕を失い、さらに左腕すらも光へと変えて義父を救ったくるる。力で屈服させるのではなく、言葉と技術だけで「世界最強の絶望」を治療し切る。これこそが、先生の求めていた「枢無双」の最終到達点ではないでしょうか。物質的な腕はなくなっても、彼の言葉一つで星々が動き、人々の魂が救われる。もはや枢先生は、一人の人間を超えた「救済の理」そのものとなったのです。


今回、国家規模の呪力を中和し、皇帝の魂を浄化するために枢が駆使した「星天昇華・鍼灸術」を解説します。

まず、宇宙の周波数と自身の気を同期させ、王都全体を一つの「往診室」へと変えるための起点とした**『大椎だいつい』**。首の後ろにあるこのツボを自身の翡翠の気で刺激することで、枢は夜空の星々を「鍼」として操作し、九頭の龍を封じ込めました。


そして、皇帝の魂の奥深くに沈殿していた「娘を救えなかった自責の念」を特定し、それを「許しと感謝」の気で内部から霧散させるためのアンカーとした**『膻中だんちゅう』。胸の中央にあるこのツボに対し、枢は言霊の波動を「永遠の安らぎ」として打ち込むことで、二十年に及ぶ皇帝の憎悪を一瞬で治療したのです。

最後に、皇帝とシオンの魂を一つの祝福へと再定義し、彼らを天界へと送り届けるための最終回路とした『少商しょうしょう』**。親指の先にあるこのツボを介して、枢は自身の全生命力を流暢な祈りと共に天へと放ち、一人の鍼灸師としての仕事を、次元を超えた「魂の救済」へと新生させたのでした。


次回の第308話(第四章 第69話)は、明日火曜日**【08:00】**に更新予定です。


両腕を光へと変え、存在が透き通り始めた枢。しかし、平和が戻った王都に、今度は「西の国」から、枢の技術を「神の奇跡」として崇拝する狂信的な教団が押し寄せます。

「……。枢様。……。……。あなたはもはや、……。……人間ではありません。……。……。……我らが聖堂で、……。……永遠の『神』として……、……。……。祀らせていただきます」

腕を失った枢を、強引に神棚へ上げようとする教団。

枢は、透き通る体で、最後の「人間としての往診」を始めます。

「……。おや。……。……。神様を診察するのは慣れていますが、……。……。私自身が……、……。……診察される側になるとは……、……。……思ってもみませんでしたよ」


火曜日の朝、08:00。新章・神格化の往診。

聖鍼師・枢、自らの「神格」を診ます。どうぞお見逃しなく!

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