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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼】

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第269話:渇水の記述、深層地脈を貫く「水龍の還流鍼」

照りつける太陽は容赦なく、影から人へと変わった数千の命を、喉の渇きという地獄へと突き落としていました。


第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼、第30話(通算第269話)。


存在を認められ、実体を得た「元・影」の民たち。しかし、彼らが人間として生きるためには、水が必要です。神亡き後の不安定な地殻変動により、王都の主要な水脈は岩盤の深くに沈み、井戸はことごとく泥水へと変わってしまいました。


「……聖者様、……水が……。……せっかく……人間になれたのに、……みんな……喉が……焼けて……死んじゃうよ……!!」


泣き叫ぶ子供たち。しかし、水を求めて大地を穿てば、さらなる地割れを招き、王都そのものが崩壊する恐れがありました。

くるるは、自身の左指を、熱を失った「王都のヘソ」へと突き立てます。


「……水は、……大地の……涙です。……。……私が……、……その……枯れ果てた……涙腺を……、……無理やり……抉り出して……差し上げましょう」


15時、枯渇の王都、水脈の外科往診。

聖鍼師・枢、大地を「切開」し、命を汲み上げます。どうぞ最後までお読みください。

 王都の広場を支配していた歓喜の声は、わずか数時間で「絶望の喘ぎ」へと塗り替えられていた。

 

 影の民たちが実体を得たことで、王都の人口は一気に数倍へと膨れ上がった。それは、この都市が維持できる生命維持能力の限界を、遥かに超越していた。

 特に深刻なのは、水だ。

 神アルキメスという「全能の管理者」を失った大地は、自ら水を循環させる術を忘れ、かつて地下を滔々と流れていた水脈は、巨大な岩盤の歪みによって、地中数百メートルの深淵へと「隔離」されてしまったのだ。

 

「……はぁ、……はぁ……。……枢様、……。……井戸が、……全部……空っぽです。……底には……熱い……泥が……溜まってるだけで……」

 

 ミナが、ひび割れた水桶を抱えたまま、力なく地面に座り込んだ。

 周囲では、新しく人間になった「影の民」たちが、慣れない身体で喉の渇きに耐えきれず、次々と石畳の上に倒れ伏している。

 

 存在を与えた。だが、その命を維持する術(糧)がない。

 それは、聖鍼師としてのくるるが突きつけられた、最も残酷な「処方箋の不備」だった。

 

「……大地が、……。……自身の……水分を……守るために、……経絡(水脈)を……閉ざして……いるのですね……」

 

 枢は、自身の左手で、自身の喉にある**『廉泉れんせん』**を、自身の自身の渇きを精神力で抑え込み、大地の「喉」を探るための意識を研ぎ澄ませるために強く圧迫した。

 

 彼は、王都の最古の井戸――『女神の涙』と呼ばれる、今は枯れ果てた深い縦穴の縁へと、杖を突きながら歩み寄る。

 

 枢の心眼には、地下深く、分厚い花崗岩の層に押し潰され、行き場を失って「悲鳴」を上げている巨大な水の塊が映っていた。

 それは、大地の「結石」だった。

 

「……皆さん、……。……離れて……いてください。……。……今から……、……この……王都の……血管を……、……外科的に……切開します」

 

 枢は、自身の左指を、自身の額にある**『印堂いんどう』**に添え、自身の脳を「地殻探査装置」へと書き換え、水の流れる僅かな「隙間」をミリ単位で特定した。

 

 彼は、懐から一本の、翡翠の輝きを放つ「超長鍼」を取り出した。

 その長さは、通常の鍼の数倍。地中深くまで「気」を届けるための、穿孔の鍼――『碧龍のへきりゅうのきば』。

 

「……冷たい……水が……、……恋しいですね……。……。……私の……を、……代わりに……差し出しましょう」

 

 枢は、自身の左手で、自身の腕にある**『曲池きょくち』**を、自身の自身の血流を極限まで加速させ、指先から放つ「気」の圧力を高めるために強く叩いた。

 

 一本目の超長鍼。

 枢はそれを、枯れ井戸の底、岩盤の「ツボ」である**『大地の湧泉』**へと、自身の自身の翡翠の力を「爆縮の衝撃波」に変えて叩き込んだ。

 

 ――ズドォォォォォォォンッ!!

 

 王都全体が、これまでで最大の地震に見舞われたかのように激しく揺れた。

 

 二本目の鍼を、水脈の「分岐点」である座標へと、枢は自身の右腕を、自身の自身の骨が砕けるほどの衝撃を厭わず、井戸の壁面へと突き刺した。

 

 ――ドクンッ!! ――ドクンッ!!

 

 地下深くから、心臓の鼓動のような、巨大な「水の脈動」が響いてきた。

 

 枢の口から、鮮血が溢れ出す。

 大地の圧力が、枢の鍼を通じて、彼の肉体へと逆流してくる。

 

「……流れて……。……淀みを……捨てて、……。……命の……方へ……!!」

 

 三本目。水脈を塞いでいる「巨大な岩盤の結石」を粉砕するための、一撃。

 

 枢は、自身の左手で、自身の腹部にある**『関元かんげん』**を、自身の自身の命の根源を「着火剤」として燃やし尽くすために、指先が内臓に届くほど深く突き刺した。

 

 ――カァァァァァァァァァッ!!

 

 井戸の底から、翡翠色の光の柱が天を突いた。

 

 次の瞬間。

 

 ――ゴォォォォォォォォォォッ!!

 

 凄まじい水圧と共に、井戸の底から、清冽な「青い水」が爆発的な勢いで噴き出した。

 それは空高く舞い上がり、雨となって、乾き果てた王都の広場へと降り注いだ。

 

「……水だ、……!! ……本当の……水だ!! ……冷たくて……、……甘いよ……!!」

 

 民衆が、空を仰ぎ、口を開けて、大地の恵みを全身で受け止める。

 新しく人間になった者たちも、泥にまみれながら、初めて味わう「生きるための水」に涙を流して喜んだ。

 

 枢は、自身の左手で、自身の胸にある**『玉堂ぎょくどう』**を、自身の自身の自身の止まりかけた心臓を、民衆の歓喜の声という名の「電気信号」で強制的に動かすために強く押さえた。

 

 彼の衣はびしょ濡れになり、右腕は岩盤を砕いた反動で感覚を失っていた。

 それでも、枢は、雨の中で踊る人々を、自身の自身の見えない瞳で慈しむように見つめていた。

 

「……これで……、……。……皆さん……、……。……今夜は……、……温かい……スープが……飲めますね……」

 

 第269話。

 聖鍼師・枢は、大地の「水脈の閉塞」を外科的に切開し、数千人の命を繋ぎ止めるための、本物の「慈雨」を王都にもたらした。

 

 降り続く雨は、神の管理下ではない、大地が自ら流した「喜びの涙」。

 

 枢は、水溜りの中に静かに膝をつき、自身の自身の冷え切った身体を、降り注ぐ雨の温もり(記述)に委ねた。

本日、日曜日15:00の更新を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


第四章の第30話(通算第269話)。

人口爆発による「水不足」という、あまりにも現実的で切迫した危機の解決。

神がいなくなったことで、自浄作用と循環機能を失った大地に対し、くるるが文字通り「身体を張って」水脈を切開し、命の源を汲み上げる姿を描きました。

存在を与えるだけでなく、それを「維持」する責任を負う。これこそが、聖鍼師が王都の「管理者」へと一歩近づいた瞬間でもあります。


今回、枢が大地の水脈を再起動させ、噴水のような慈雨を降らせるために駆使したツボの技術を解説します。

まず、大地の奥底に眠る「情報の乱れ」を、自身の感覚を鋭敏にすることで特定した**『廉泉れんせん』**。喉にあるこのツボを刺激することで、枢は自身の「渇き」を増幅させ、それをセンサーとして地下の水源との共鳴度を高めました。


そして、自身の肉体を「高圧ポンプ」として機能させ、翡翠の気を地中深くまで送り込むための起点とした**『曲池きょくち』。肘にあるこのツボは、気の流れを整え、爆発的な出力を生むための要所。枢はここを叩くことで、腕全体を一本の「鍼」として、硬い岩盤を貫くための強度と圧力を得たのです。

最後に、自身の全生命力を燃料として、大地の「結石(岩盤)」を粉砕するために突いた『関元かんげん』**。丹田の核であるこの場所を自ら穿つことで、枢は自身の存在そのものをエネルギーの奔流に変え、物理法則さえも超えた「生命の還流」を成し遂げたのでした。


次回の第270話(第四章 第31話)は、本日**【18:00】**に更新予定です。


水を得て、ようやく安定したかに見えた王都。

しかし、大地の奥底から汲み上げたのは、水だけではありませんでした。

数千年の間、水の底で熟成されていた「古のウィルス」――肉体を若返らせ、やがて幼児へと退行させてしまう『若返りの甘露』。

「……ミナ、……。……君の……背が……、……縮んで……いないか……?」


18時、若返る王都、逆行する時間。

聖鍼師・枢、失われる「記憶」と「肉体」を往診します。どうぞお見逃しなく!

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