第23話:海底の死闘、喉を塞ぐ『黒い棘』
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治療を開始した枢を襲う、深海の抵抗と宰相の魔の手。
集中を乱せば姫の命はないという極限状態の中、宮殿の扉を突き破って現れたのは……。
愛(?)と執念の「魔導潜水艇」、海底に爆走します!
「……っ!!」
ミーナ姫の体が弓なりに跳ねた。声にならない悲鳴が気泡となって口から漏れる。喉元に深々と刺さった金鍼が、周囲の濃密な魔圧を強引に吸い込み、パチパチと青白い火花を散らし始めた。
枢は、金鍼を握る指先に全神経を集中させていた。鍼を通じて伝わってくるのは、想像を絶する「抵抗」だ。
(……重い。深海の水圧そのものが、呪いを守る壁になっているのか)
呪いの正体――『黒い棘』は、まるで意思を持っているかのように、枢の銀鍼を押し返そうと暴れ回っている。鍼を伝って枢の腕にまで黒い紋様が広がり、激しい痛みが走るが、枢は眉一つ動かさない。
「(……これだけの呪い、ただの自然現象なはずがない。誰かが、彼女の歌声に意図的に毒を混ぜた……。誰だ。誰が、彼女の歌声をそれほどまでに恐れた?)」
枢が鋭い視線を向けた先。そこには、金鍼が呪いを捉えた瞬間に明らかに動揺を見せた人物がいた。宰相バルカだ。
「き、貴様、何をボサっとしている! さっさとその棒を抜かんか! 姫様が苦しんでおられるではないか!」
バルカが叫び、護衛兵に指示を出そうとしたその時。
宮殿の重厚な扉が、外側からの凄まじい衝撃で吹き飛ばされた。
「枢様ーーっ!! 待ってくださいましーーっ!!」
濁流と共に飛び込んできたのは、奇妙な透明の球体――王宮宝物庫から持ち出された、一人乗りの「緊急脱出用・魔導潜水艇」だった。その中に乗っていたのは、髪を振り乱し、必死の形相で操縦桿を握るセレスティアラ王女だった。
「王女様!? なぜここに……! 地上の魔法具でここまで潜るなど、正気ですか!」
「助手をおいて、勝手に行かせませんわ! ……枢様のいない王宮なんて、ツボのない鍼、お灸のないもぐさと同じですもの!」
支離滅裂な叫び。だが、彼女の瞳は本気だった。彼女は潜水艇のハッチを強引に開けると、加圧バリアの隙間から枢の元へと駆け寄る。
「枢様、後ろを! その宰相、袖の中に黒い魔石を隠していますわ! 姫様の呪いと同じ、禍々しい色の……!」
「なっ、この小娘……!」
正体を見破られたバルカが、顔を鬼のように変形させた。
「……ええい、邪魔だ! 聖鍼師もろとも、海の藻屑となれ!」
バルカの袖から放たれたのは、深海の毒を凝縮した影の触手。それが、集中を解けない枢の背後から襲いかかる。
「枢様、避けてーーっ!!」
王女が枢の前に立ちはだかろうとした瞬間、枢の口角がわずかに上がった。
「……王女様、言ったはずですよ。ここは私の『診療所』だ。……不衛生な不審者は、立ち入り禁止です」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
王女セレスティアラ、まさかの自力追跡!
「枢様のいない王宮なんて……」という彼女の叫び、作者もお気に入りのシーンです(笑)。
ですが、事態は風雲急を告げる展開へ。
正体を表した宰相バルカの影が、枢の背後に迫ります。
「王女様、ナイスガッツ!」
「ここで終わるの!? 早く続きを!」
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次回、第24話は明日**【08:00】**に更新予定。
深海編、堂々の完結! 黄金の鍼が、海底に奇跡の歌声を響かせます!




