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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜最強の聖鍼師・連城枢は、経絡を正して魔王を懐かせ、聖女の呪いも指一本で完治させる〜』  作者: 鍼灸師いのぴー
【第一章:王都の毒を穿つ聖鍼】

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第18話:深淵の玉座と、不機嫌な支配者

お読みいただきありがとうございます!


魔王城に到着したくるるを待っていたのは、殺気立つ魔族たちと、最悪に不機嫌な魔王でした。

世界を滅ぼす支配者に対し、聖鍼師が最初に放った「診察結果」とは……。


ここから物語は、初の本格的な「前後編」に突入します!

魔王城。そこは空を焦がす紫色の稲妻と、生存を拒絶するほど濃密な魔力が渦巻く異界の地だった。

 案内された玉座の間。重厚な黒曜石の扉が開くと、そこには巨大な獣の骨を組み上げた椅子に深く沈み込み、片手で額を押さえる一人の男がいた。

 彼こそが、世界を恐怖に陥れる魔王・ヴァルゼス。だが、今の彼から放たれているのは支配者の覇気ではなく、周囲の空気を凍りつかせるような、極限の「不快感」そのものだった。


「……来たか、人間。我が頭痛、一向に引かぬ。……貴様の腕がまやかしであれば、この城のいしずえとなってもらうぞ」


 玉座の両脇を固めるのは、魔王軍四天王にも引けを取らぬ高位魔族たちだ。一斉に放たれた殺気のつぶては、物理的な風となってくるるの髪を揺らす。並の人間ならその圧力だけで心臓が止まるような状況だが、枢は面倒そうに鼻を鳴らすと、手慣れた仕草で往診バッグのベルトを解いた。


「驚きましたね。魔王ともあろうお方が、これほどまでにセルフケアを怠っているとは。呆れて言葉も出ません」

「……何だと?」

「まず、その椅子です。威厳を優先したのでしょうが、座面が硬すぎて仙骨を圧迫し、腰から背中の経絡を完全に塞いでいる。さらにこの部屋の照明……壁の魔石が放つ波長が鋭すぎて、視神経が悲鳴を上げていますよ。これでは脳が休まるはずがない。……魔王陛下、あなたに足りないのは魔力ではなく、患者としての自覚です」


 静まり返る玉座の間。側近が逆上して剣を抜こうとしたその時、魔王ヴァルゼスが低く笑った。その笑い声には、痛みによる狂気が混じっている。

「……面白い。全人類が私に命乞いをする中、最初に処刑台の上で説教を垂れたのは貴様が初めてだ。……やってみろ。ただし、無駄に終わればその指、二度と鍼を握れぬよう一本ずつ噛み砕いてくれる」

「黙って座っていてください。まずは診断バイタルチェックからです」


 枢は躊躇いなく魔王の背後に回り込み、その強靭な首筋に細い指を添えた。

「――っ!? 貴様、何をする……!」

「動かない。……やはり、『風池ふうち』と『完骨かんこつ』が鋼鉄のように固まっている。魔王軍の総指揮による脳疲労、そして絶え間ない魔力制御による交感神経の暴走……。東洋医学で言うところの『肝風内動かんふうないどう』。脳内が嵐のような状態です」


 枢が親指で一点、首の付け根にある急所を鋭く突くと、魔王の巨躯がビクンと跳ね、喉の奥から獣のような呻きが漏れた。

「あ、が……っ。な、何を、した……! 脳が、焼けるような……!」

「『響き』ですよ。死んでいた神経に、無理やり私の気が届いた証拠です。……さて、陛下。あなたに必要なのは破壊の力ではなく、徹底的な『放熱』だ。……月光銀草の鍼を出します」


 枢が取り出したのは、蒼白く発光する特殊な鍼。

 それを魔王の頭頂部――天の気が集まる『百合(百会)』に向けて、一点の迷いもなく構える。


「これより、あなたの脳内に溜まった余剰魔力を放熱します。……一気にいきますよ。噛み砕く暇など与えません」

 魔王の瞳に、初めて「恐怖」に似た戦慄が走る。

 支配者のプライドすらも、枢の持つ一寸六分の銀鍼の前では、ただの「コリ」に過ぎなかった。

(後編へ続く)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


魔王を相手にしても、枢の「患者へのダメ出し」は健在です。

椅子が硬い、照明が眩しい……そんな庶民的な(?)指摘が、実は魔王の体調不良の根源だったりします。


果たして、枢の鍼は魔王の「魂のコリ」を解きほぐせるのか!?

次回、往診編・完結!


「魔王相手に説教、枢さん強すぎる(笑)」

「続きが気になって眠れない!」


と思っていただけましたら、ぜひ**【ブックマーク】や、下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして**応援をお願いします!

ブクマが増えると、枢の鍼のキレがさらに増します!


次回、第19話は**【21:00】**に更新予定!

解き放たれる魔王の『本気』と、聖鍼師の『真髄』をお見逃しなく!

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