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第14話:聖鍼師の噂と、王宮に咲く『癒やしの花』

お読みいただきありがとうございます!


魔王軍の猛攻(?)を退け、王宮にようやく平穏な(?)時間が戻ってきました。

第13話は、すっかり「王宮の名物先生」となったくるるの日常をお届けします。


助手気取りの王女様に、こっそり通い詰める魔族たち。

種族を超えて愛され始めた「聖鍼師」の賑やかな一日をお楽しみください!

 魔王軍が撤退してから数日。王都の雰囲気は一変していた。

 一万の軍勢を指一本触れずに追い返した「謎の東洋人」の噂は、風に乗って瞬く間に広がり、今や王宮内ではくるるの名を知らぬ者はいなかった。


「枢様、本日もたくさんの『患者様』が列をなしておりますわ!」

 枢に与えられた客室――今や立派な「連城治療院」と化した部屋の扉を開け、セレスティアラ王女が弾んだ声で入ってきた。彼女は最近、枢の助手(自称)として、毎日のように顔を出している。


「王女様、あまり声を大きくしないでください。治療中は静寂が一番の薬です」


「あら、申し訳ありません。でも見てください、この差し入れの数! 城下のパン屋からは焼きたてのパンが、果樹園からは最高級のリンゴが届いております。皆様、枢様に診ていただきたくて必死ですのよ」


 枢はため息をつきながら、目の前に座る年老いた門番の足首に鍼を打つ。

「……はい、終わりましたよ。その『太谿たいけい』というツボを冷やさないようにしてください。長年の冷えが原因で、腰に来ていただけですから」


「おお……おおお! 足が、足が温かい! 枢先生、あんたは神様だ!」


 涙を流して感謝する門番を見送りながら、枢はふと思った。

(静かに隠居生活を送るつもりだったのだが、どうしてこうなった……)


 現在の彼の生活は、隠居とは程遠い。

 午前中は王宮の文官たちの「眼精疲労」や「腰痛」の治療。

 午後は近隣の住民への往診。

 そして夜は、窓からコッソリ忍び込んでくる魔族たちの「古傷」のメンテナンス。


「枢様、次はどなたを? あ、次は厨房の料理長ですね! 包丁の握りすぎで手首が痛むそうですわ」

 王女が手際よくカルテ(のようなメモ)を整理する。その姿は、高貴な姫君というよりは、新米の看護師に近い。


「王女様も、あまり根を詰めないように。あなたの体質は気が昇りやすい。……少し、こちらへ来なさい」


「えっ、わ、私ですか!? はいっ、喜んで!」

 枢は彼女の手を取り、手の甲にある『合谷ごうこく』を優しく、だが的確に刺激した。


「……あ、ふ……っ」

 王女の顔が、一瞬で真っ赤に染まる。


「ここは万能のツボですが、精神的な高ぶりを抑える効果もあります。……少し落ち着きましたか?」


「……かえって、心臓がバクバクいたしますわ……」


 王女が耳まで真っ赤にして俯く様子を、窓の外からジト目で見つめる影があった。

「……ギルガ様もヘルガ様も、あの男に骨抜きにされおって。だが……あの指先、確かに魔族の『核』を直接癒やす不思議な力がある」

 影から見守るザドゥもまた、枢が自分にくれた「安眠」を思い出していた。


 人間も魔族も、王族も平民も。

 枢の打つ一本の鍼は、種族の壁を超えて、この異世界に「癒やし」という名の新しい風を吹き込み始めていた。


 しかし、そんな平和な光景を、遠く離れた魔王城の玉座から冷ややかな目で見つめる者がいた。


「……『聖鍼師』か。我が軍の幹部を懐柔するとは、面白い男が現れたものだ」

 魔王の呟きが、不穏に響く。

 枢の隠居生活は、まだまだ平穏には程遠いようであった。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


王女セレスティアラ様の助手姿、いかがでしたでしょうか。

手のツボ『合谷ごうこく』を刺激されて赤くなる彼女を見て、枢も少しだけ「平和」を実感しているようです。


しかし、遠く魔王城では不穏な影が……?


「日常回も癒やされる!」

「自分も枢先生に診てもらいたい!」


と少しでも感じていただけましたら、ぜひ**【ブックマーク】や、下の【☆☆☆☆☆】をポチポチッと**お願いいたします!

皆様の応援が、枢の鍼をさらに鋭く(?)します!


次回、第15話は**【21:00】**に更新予定です。

ついに「あの男」が患者として現れる……!? お楽しみに!

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