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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第二章:鋼鉄の帝国と腐敗の科学】

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第130話:白き大天使の傲慢、翡翠の聖鍼師は跪かず

お読みいただきありがとうございます。


ついに姿を現した七大天使の一柱、アズラエル。

神の放つ圧倒的な「死の霧」が空中回廊を侵食し、すべてを「停止」させていくなか、くるるの翡翠眼が静かにその本質を捉えます。


回避不能の絶望を前に、聖鍼師が下す「診断」とは。

天界の法典を穿つ至高の一刺しをお届けします。


本日は土曜日。更新時間は、

【8時、10時、12時、15時、18時、21時】

の全6回を予定しています。

 大天使アズラエルが放つ「死の霧」が、空中回廊のすべてを白く染め上げていく。

 それに触れた石材は意思を持たない粘土のように崩れ、カザンやサロメの魔力さえも凍りつかせる圧倒的な神威。だが、その絶望の真っ只中で、くるるだけは不敵な笑みを浮かべたまま、一歩も退かずに立っていた。


「……愚かな。……法典に抗うことが、どれほど無意味か、まだ理解できないのですか」

 アズラエルの瞳に、冷徹な光が宿る。彼女が指先を掲げると、天の頂から巨大な光の杭が、法典の裁きとして降り注いだ。


 ドォォォォンッ!!

 爆音と共に回廊が砕け散るが、枢は最小限の動きでそれを回避し、懐から一本の銀鍼を取り出した。

 その銀鍼は、かつてザインが遺した不完全な遺品。だが、枢の手にあるそれは、どの神具よりも鋭い光を放っている。


「……無意味かどうかは、私の鍼が決めることですよ、アズラエル様。……あなたは『死の管理』に夢中で、自分自身の身体が上げている悲鳴に、気づいていないようだ」


「……悲鳴? 私が? ……笑わせないでください。私は完璧な、天界の法典そのもの……」


「……いいえ、完璧などという状態は、身体組織の観点から言えば『停滞』と同義です。あなたの背中、三番目の翼の付け根……。そこにある魔力の奔流が、わずかにリズムを狂わせている。それが、天界という巨大なシステムが抱える『病』の正体だ!」


 枢が、一気に距離を詰めた。

 アズラエルが放つ高密度の障壁を、枢は恐れることなく突き進む。彼の翡翠眼ひすいがんには、神の障壁に生じた「淀み」が、明確な経絡とツボの形として浮かび上がっていた。


「……なっ、障壁を素手で……!? 人間が触れてよい領域ではないはず!」


「……素手ではありませんよ。人体の、そして世界の理を貫く一本の鍼。これこそが、あなた方神々をも救う、最強の術式だ!」


 枢の指先が、流れるような動作でアズラエルの眉間、『印堂いんどう』のわずか数ミリ横を突いた。


 ツボとしての『印堂』は、本来は精神を鎮める場所。だが枢が狙ったのは、その奥に隠された「法典の中枢」を一時的にオーバーロードさせるための、禁忌の裏ツボだった。


「聖鍼流、神域往診――『印堂いんどう法典ほうてん強制再起動リブート』!」


 キィィィィィィンッ!!

 脳内を直接かき回すような高い衝撃音が、回廊に響き渡る。

 アズラエルの身体が激しく痙攣し、彼女が操っていた「死の霧」が、逆流するように彼女自身の体内へと吸い込まれていった。


「……が、あ、……あああああああっ!? 何だ、この熱い奔流は……! 法典が……書き換えられていく……!?」


「……書き換えているのではありません。本来の『気』の流れに、戻して差し上げているだけですよ」


 枢が、倒れ伏すアズラエルの喉元に、静かに指先を添えた。

 それは、死を与えるための暴力ではなく、相手の脈を診る聖鍼師としての指先だった。


「……これだけの激痛、よく耐えていましたね。……天界の法典などという重荷、私の鍼で解いてあげましょう」


 枢の放った言葉が、アズラエルの魂を貫く。

 圧倒的な強者であったはずの大天使が、一人の人間の前で、ただの「患者」として震えていた。


「……さあ、施術の続きを始めましょうか。神様と言えど、私の往診料は高いですよ?」


 枢の背後に宿る翡翠の龍が、天界の空を飲み込むかのように咆哮した。

 リナ、カザン、サロメの三人も、枢の放つ圧倒的な「生」のエネルギーに呼応し、再び立ち上がる。


「……へっ、神様を往診なんて、最高にロックじゃねえか、枢!」

 カザンが折れた槍を掲げ、笑う。


「……助手の私たちが、しっかりサポートしてあげるわよ。ね、リナちゃん!」


「……はい! 枢さんの指先が、新しい世界を拓くのを……私は信じています!」


 物語は、天界の秩序を破壊する「神域治療」へと突入する。

 指一本で救い出す、最強の聖鍼術。

 止まることのない往診が、天を揺るがしていく。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


姿を現した大天使アズラエルとの直接対決。

神の放つ「死の霧」を真正面から受け流し、逆に神を「患者」として往診台に乗せてしまうくるるさんの姿をお届けしました。


今回登場した**『印堂いんどう』**。

眉間の真ん中にあるこのツボは、ストレス緩和や脳の休息に効果があるとされています。枢さんはこれを、天界の管理システムそのものを一時停止させるための「リセットボタン」として利用しました。


次回、第131話は本日**【10:00】**に更新予定です。


枢の一刺しによって、法典の呪縛が揺らぎ始めたアズラエル。

しかし、天界は彼女の「不具合」を許さず、さらなる処置を下そうとします。


面白いと思っていただけましたら、評価やブックマークをよろしくお願いします。

本日、土曜日の全6回更新。引き続きお楽しみください。

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