第三話
――カランカラン
んっ……あ、誰か来たみたいです!
お菓子の袋だらけだ……早く机の上、片付けなきゃ!
入ってきたのは、全身プレートアーマーに身を包んだ、いかにもな戦士っぽい大柄な人!
えっ……その胸の紋章……まさか!?
「お久しぶりです!アベリアさん!」
ヘルメットをパカッと外すと、現れたのは銀色の長髪が美しい、気品ある女性。
この人は……!
「キルエラ!久しぶり!元気だった?」
「はい、お陰様で!」
彼女の名前はキルエラ。転生者です!
私の昔からの友人で、今は王都で騎士として活躍中。
しかも、神聖十二英将と呼ばれる、この世界にたった十二人しかいない、超エリートの称号を持つ凄い人なんです!
「今日はご挨拶も兼ねて一つ相談事が……」
「キルエラ程の人が相談なんて珍しい……まあとりあえず座って!」
「目の前、失礼します」
イベリスさんには毎日行ってもらってますが、ここから王都は少し遠いのです。
なのに、わざわざ足を運んでくるなんて、一体どんな相談なのでしょうか。
「最近王都の方でとある事件が起きてまして……」
「事件……?」
「はい……実害がある訳ではないのですが……何者かが高速で動き回り、人々にチラシを強制的に配っているのですよ。それが国民から苦情殺到で……」
……ん〜と?
「それがですね……こちらの相談屋の宣伝チラシのようでして……何か知ってますか?」
「あぁ……」
――カランカラン
またもや誰かが来たようです。
「アベリアさん!!今日も王都でビシバシ配ってきましたよ!!お店のチラシを!!」
イベリスさん……でした。
「……イベリスさん。ごめんなさい。私は助けられそうにありません……」
「現行犯逮捕……かな」
「え……なんで……」
――こうして、イベリスさんは王都の方へ連行されていったのでした。
〜次の日〜
「もう!アベリアさん、私の事見捨てたでしょ!」
「いやいや、そんなことはないですよ〜」
神能を王都内では使わないことを条件に、イベリスさんは無事釈放。
正直なところ、彼女が神能を使っていたのはここから王都へ向かう時だけだと思ってたんです。
……うん、これは私、悪くないです!はい!
「じゃあアベリアさん、今日は港町で配ってきますね!王都じゃないからセーフですよね?」
「イベリスさん……あなたって人は……」




