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Opening
幼い頃、誰もが読んだお伽話。
異世界に迷い込んだ少女が、もといた世界に帰るため様々な冒険をする、あまりにも有名なファンタジー。
“オズの魔法使い”
帰る家を見失った少女。
痛みを感じない、脳の無いカカシ。
心を知りたいブリキのキコリ。
そして、臆病者のライオン。
この話に登場する彼らは、皆一様になにかが欠けていて。
その、欠けた空白を埋めようと必死にもがいていた。
そして、彼らは最後にそれぞれの望んだカケラを手にして、物語は終焉を迎える。
少女もカカシもキコリもライオンも。
皆それぞれの空白を埋めて、舞台に幕を降ろす。
これからする話も、正にそんなお話。
僕ら、欠けた少年少女が過ごした怪異なる青春。
現代に息づくファンタジーが、この物語の根幹だ。
結末も、お伽話のようにいくといいけれど。