第3話【合体師、町で裁かれる!?】
「ベルナークの町か……やっと着いたなぁ」
ユルは合体素材リュックを背負ったまま、石畳の大通りを歩いていた。
ポタージュと新たに同行した仲間のボルトも一緒だが、町の入り口で妙に緊張していた。門の前でユルとボルトが目を合わせながら言う。
「ここ、合体禁止条例のある町なんだって……」
「え、マジで!?」
「マジで。公式看板にも書いてあるし、入口で合体素材持ってると通報されるって」
「…オレ、めちゃくちゃ通報されそうな格好じゃん!?」
その町は、かつて“暴走合体事件”で大損害を被った歴史を持つ。
以来、「合体」という言葉に住民全体がアレルギー反応を起こすレベルで拒否反応を示す、ちょっと過激な町だった。
「でもまあ、旅の途中だし、一泊くらい大丈夫っしょ!」
軽い気持ちで宿屋に入ろうとしたユルだったが――
「合体師だな!?確保せよ!」
「ひぃッ!!」
あっという間に町の治安騎士が取り囲んだ。
ベルナーク、中央広場にて
「よってこの者――合体師ユル・ミルトンを“不穏素材持ち込み罪”および“井戸破壊未遂罪”により告発する!」
「いや!ここでは井戸破壊してないよ!?過去の井戸での話だよ!?」
「証拠写真がある!この者の所持する武器《ゲコスラッシュMkII》の跳躍痕と、井戸の天井の破片が一致している!これを見ろ!おらおら!!」
「ひえええぇッ!?過去の素材で追及されるのかよぉ!?」
一触即発の中、騒ぎを聞きつけて広場に現れたのは――冷たい風とともに現れた、一人の女性騎士。
「もういい。こいつは私の監視下に置こう」
そう言って治安隊を一喝したのは、ノワール=R=ヴァイスラント。
ベルナーク元騎士団の英雄であり、過去の事件で知ったユルを最も警戒する一人でもある。
「な、なんでノワールがここに!?え、再会イベント!?ここで!?」
「ユル・ミルトン。あなたは……なぜまた私の前に現れる?」
「なんか“因縁ありそうな顔”しないでよ!無実だってば!!」
仮釈放(ノワールの監視付き)
「ノワールさんってユルの元上官とか? 恋仲? 命の恩人?」
ボルトがニヤニヤしながら尋ねると、ポタージュも興味津々。
「ちょっと意外な美女登場って感じよね。で?どんな“合体”を⋯」
「言い方ッ!!誤解がすごいよそのセリフ!」
「……私はただ、“世界にまた合体災害が起きぬよう監視する”だけよ」
「うわ、仕事で来てる!流石はプロだな!」
こうしてユルたちは、ベルナークの町で**滞在許可(ただしノワールの監視付き)**を得る。
だがこの町にはまだ大きな問題が残っていた。
ーーそして始まる新たな事件ーー
夜、町のとある倉庫で謎の爆発。
跡に残されたのは、「未承認合体痕跡」
現場には“人工モンスターの痕跡”があった。
現場に居合わせたユル一向。
「これって……オレの仕業じゃないよね!?いやマジで!?」
「素材は全部違うわ……これは“別の合体師”の仕事」
「別の合体師!?」
そう――ユルとは異なる思想を持つ、“完全融合派”の合体師組織が、ひそかに活動を始めていた。
そしてその一人が、この町に潜んでいるという。