第2話【合体は旅のスパイス!】
始まりの村を後にして、
ユル・ミルトンは現在、徒歩で移動中である。
「おっしゃー、ついに旅のはじまりだ!地図もある、食料もある、合体素材も……たぶん足りる!」
その背には、パンパンに膨れた合体素材入りリュック。
中にはカエルの卵、ヒノキの枝、ナゾの石ころ、乾燥トカゲ、バナナの皮、そしてなぜか村長の眼鏡が入っている。
「旅ってやっぱ、“偶然の出会い”が醍醐味なんだよね~。つまり――」
彼は背後の草むらを見つめ、
ガサッと動いた何かに即座に飛びかかった。
「おっしゃ、来た!野生の合体素材!!」
――そして、キジと焚き火を合体しようとしたところで、
突然、派手な爆発音とともに土煙が舞い上がった。
「わわっ!?だ、誰かいるのか!?」
「くそっ……!なんでこの辺りは、爆発する花が普通に咲いてるんだよ……!」
そこにいたのは、眼鏡をかけたエプロン姿の少女。
片手には鍋、もう片手には――なぜか大根。
「あれ?君、旅人?初めて見た顔ね」
「君こそ!なに爆発させてるの!?その……大根で!?」
「自己紹介が遅れたわね。私、ポタージュ・リーファ。一応、旅する料理人よ。旅先で素材を拾って、即興で料理するのが趣味なの。あと、副業で爆発する料理も研究中」
「爆発の部分は副業であってほしいなぁ……」
ユルはふと、彼女の鍋を見た。
中には「煮えすぎたカボチャ」と「火薬のかけら」がグツグツ煮えている。
「これ、合体できそう……!」
「えっ?」
こうして始まった、合体師と料理人の即席パーティー。
ユルは、ポタージュの料理道具と自前の素材を組み合わせ、**爆発するスープ玉(遠距離調味用)**や、自動的に回る焼き鳥ランチャーなどを次々と開発。
「……ねえ、あなたって、合体師って名乗ってたわよね?」
「うん!“合体は人生のスパイス”って信じてるから!」
「いや、スパイスの分量が狂ってるのよ全部!」
とはいえ、爆発騒ぎに巻き込まれながらも、
ポタージュはどこか楽しそうだった。
「悪くないわね。合体師。次の町まで付き合ってあげるわ」
「マジ?やった、初めての旅仲間ゲット~!」
こうして始まった、
合体師と料理人の“スパイシー”な旅。
次の目的地は――合体師が出禁にされたという**“規律の町ベルナーク”**。
ユルの無軌道な合体スキルが、次なる町をどう巻き込むのか。
予想不能な冒険は、まだまだ続く!