第14話《演劇部と合体小道具! 世界初の“喋る舞台”爆誕!》
フュズが加わり、飛行バケツで無事帰還したユルたちは、
ベルナークの町に一時帰ってきていた。
空には春の気配。
旅の疲れがじんわりと癒える、のどかな朝――
ボルト:「ユルー! 朝飯ー! あと演劇部がなんか変な依頼出してたー!」
ポタージュ:「“合体師様、小道具が足りません”って……なんのこっちゃ?」
ねむも:「…芝居…しゃもじ…すやすや…」(寝言)
【依頼:演劇部の“舞台補修”】
依頼主は、ベルナーク自警団団長の娘であり、村演劇部の座長でもあるマルメロ・バルブレア。
黒髪三つ編みのメガネ文学少女。演劇に命を懸けるタイプ。
マルメロ:「舞台は命。小道具は魂。いま必要なのは“迫真の剣”なのです!」
劇のタイトル:《風の王女と罪の剣》
お約束のファンタジー劇。内容はどこかで見たような展開。
だが、毎年地元民に大人気の“村春の定番行事”。
【合体準備! 素材を選べ】
ユルは素材箱を漁る。
ボロい剣のレプリカ(芯に針金)
壊れかけのオルゴール(音がやばい)
村祭りの拍手人形(ノリだけ良い)
感情魔素が染み込んだ演劇用セリフ帳(泣き落とし強化済)
→ 合体完了!
合体スキル発動!
【感情セリフ帳】+【演劇剣】+【オルゴール】=《語る剣・シナリオソード》爆誕!
【事件発生! 喋る小道具、舞台を乗っ取る】
リハーサル中。
王女役の女の子が剣を構えると、剣が喋った。
シナリオソード:「それでは、シーン7“宿命の一閃”を始めます!」
王女:「ちょ、待って今そこじゃ――」
シナリオソード:「斬るぞ? 斬るぞ? 斬っちゃうぞ~?」
喋る舞台セット軍、次々に覚醒!
◆ 照明くん
拍手センサーで激しく点滅、俳優の影が踊る
「見よ! これがスポットライトの本気だ!」
◆ 王の椅子
「わしを動かしたいのか? ならば演技で勝負じゃ!」
魔導書型道具(演出魔法本)
セリフに反応して勝手に演出魔法を暴発
「感動? 涙? よし、雨を降らすか(雷付き)!」
【暴走劇場! ユル、即席舞台チューニング作戦!】
ユル:「こうなったら、全部巻き込んで舞台ごと合体するしかない!」
合体スキル発動!
【喋る小道具全員】+【舞台台座】+【ポタージュの冷たい視線】=
《舞台融合体・ギガシアターくん》完成!
→ 喋る舞台、ついに人格と自我を得て動き出す。
【クライマックス:本番スタート】
舞台全体が喋るため、
役者が何も言わなくてもセリフが流れ始めてしまうという地獄絵図。
→ だが、観客は大爆笑。子どもたちも喜び、
王女役の子は「むしろこれが正史」と割り切って乗る。
最終的に、即興ミュージカル化して幕が下りる。
【舞台の最後】
シナリオソード:「台本どおりじゃなかったが……
なんか、楽しかったな……」
→ ゆっくり光の粒になり、消えていく。
マルメロ、涙ぐむ。
「まさか……こんなにも舞台に命が宿るなんて……!」
【依頼完了!】
報酬
スキル【合体:情熱素材特化】
合体図鑑《情動アイテム編》更新
街に貼られたポスター《喋る剣と叫ぶ照明》
マルメロからのお礼:劇台本【『次回作:フュズのなまえ』】(伏線)
【フュズの一言】
フュズ:「…ぼく、しゃべる道具、すこし……わかる。
だって、ぼくも、“言えなかった言葉”を、持ってたから……」