姉妹坂 vol.089 「モデル…しようかな~~。」
「いや~~。それにしても今年の器楽部は良いですね~~。うん。実に良い。」
職員室の自分の席で宗雄。
「これは…ちょっと…、私も…、画題…、テーマ…変えようかな~。」
「えっ???我孫子先生、また新しい絵…、描くんですか…???」
部活から帰ってきた甫。
「あ~~、湯上先生…。確か、湯上先生の生徒ですよね、矢島…可羊子。」
「えぇ…。」
「あの生徒の姉の矢島可南子。ピアノ…滅茶苦茶凄いですよね~~。まるでプロ並みですよ~。」
甫、
「はぁ~~。そうですか~~。」
「モデル…しようかな~~。」
「はい…???…あっ、すみません。ありがとうございます。」
お盆の中からお茶を甫の机の上に置く聖。
「あら。あらあらあら。」
そう言いながら宗雄に近づいて、
「どうぞ~。我孫子先生…。お…茶。」
宗雄、
「あっ、ありがとうございます。」
甫の顔を見ながら宗雄、
「いえね。器楽の部員をモデルに…って…。」
何故か宗雄の傍を離れない聖。何かしら、宗雄の傍で体を揺らしながら…。
「良いと思いませんか、湯上先生。」
宗雄の傍を離れず体を揺らしている聖を見て、必死に笑いを堪えている甫。
「…???…どうかしました…???湯上先生…。ダメですか、器楽部…???」
真剣に甫を見ている宗雄。
口を真一文字に、そして思わず宗雄の右を指差して目を閉じて顔を逸らす甫。
宗雄、
「えっ…???」
そして自分の右側を見て、
「おっと…。」
何故か意味不明に科を作っている聖。
「えっ…???えっ、えっ、えっ…???…何してんですか…迫田先生…???」
ポカンと宗雄。
その瞬間、鼻の孔を大きく、頬を膨らませ、
「もう!!!」
いきなり踵を返して歩き出す聖。
宗雄、
「えっ…???えっ、えっ…???」
甫を見て、
「僕、何か…変な事…言いました…???」
甫、
「かっかかかかかか。」
聖、怖い顔をして歩いて行く途中で夏妃、すれ違い、
「…???」
宗雄の少し後ろの自分の席に…。近くの宗雄の顔を見て、
「迫田先生…、もの凄い怖い顔で…???…我孫子先生…、何か…ありました…???」
宗雄、オデコに3本の指を当てて、
「ん~~。」
そして今度は椅子に座ったまま腰を下ろし、左大腿に右肘を当てて、その右手を顎に。
「ん~~。可笑しな人だ…。」
夏妃、
「せんせ…。我孫子せんせ…。もしもし。ロダンになってますけど…。」
その瞬間、宗雄、
「…ん…???」
体を元に戻して、ニッコリと満面の笑顔で、夏妃を見て…。
「お~~。夏妃先生~~。はい。…大丈夫です。はい。」
何度も瞬きをしながら夏妃、
「そ…、そうですか…。はい。うん。うんうん。はい。」
甫、ポカ~ンと…。
「…なんで…、そうなる…???」
部活を終え職員室に戻ってきた一華、
「あっ。丁度良かった。湯上先生。」
甫、
「あ…、はい。」
「ちょっと…よろしいかしら…。」
「あ~~。はい…???」
一華、隅のブースに…。
甫、
「…???」
宗雄、
「…ん…???」
椅子を後ろにスライドさせて、
「夏妃先生…。寿美先生と…。湯上先生…???」
後ろを振り返っている夏妃、
「さ…、さぁ…???…なん…とも…???」




