姉妹坂 vol.080 ベッドの中で璃子、「うん。ありがと。」
都内の某総合病院、リハビリテーション病棟の一室。
「さて…と。」
腕時計を見て左近、
「そろそろ、時間だわ。んじゃ、行くわ。」
ベッドの中で璃子、
「うん。ありがと。」
テーブルの数枚の楽譜を右手で持って。
「ほい。…んじゃ、明日からこれ、練習入る。さすが璃子、いい感じ。」
その左近の声に、
「どういたしまして。」
「それにしても、こんな状態で、良くこれだけの曲、書けるよな~~。」
「まね~~。音感だけは、任せなさい。シシ。」
書類封筒に数枚の楽譜を入れて左近、
「璃子~~。」
「…ん…???」
左近の顔を見て璃子。
「ははは。だ~いじょうぶだって~~。幾ら、先生が、あんな診断出したって、リハビリ、やってんだから~~。それに、当分の…私の代わり…、ちゃ~んと見つけてるし~~。」
「あ~~。」
少しためらいがちの左近に、
「何…その顔…???…あ~~はっはっはっ。航~~???」
「…ん…???ん~~。まぁ…。あいつ、とにかく璃子の事、心配してさ…。おまえ、あいつの事、めちゃくちゃ可愛がってんだろ。」
「うん。あの子は凄い。私がいない間、しっかりと…育ててよね~~。ほぃ、時間時間、看護師来るよ~~。」
「おっ。じゃな。」
椅子から立ち上がり、手を振って病室を出る左近。
「さてと…。」
オーバーテーブルのボイスレコーダーの録音ボタンを押して、
「ふんふん~、ふふん~ふ~~。」
ベッドの中で龍平、
「やけに、静かだったよな~~ふたりとも~。」
隣のベッドで可憐、
「うん。何か…あったか…???…まぁ…、あのふたりの事だから、心配ないって思うけど…。」
「学校…いい感じだって、おばあちゃん、言ってるけど…。」
「ふん。もうすぐ…期末~~。さて…。ふふ。」
「でもさ…、かあさん。」
「…ん…???」
隣のベッドを見て可憐。
「可南子…。3年…だよな~~。」
「うん。」
「あいつ、どの大学…。」
そして、こちら…。ベッドの中、可洋子、
「お姉ぇ…???」
可南子、
「ん~~???」
「寝た…???」
「んんん~~。…って、眠れる訳…ないし…。」
可羊子、
「どうする~~???」
そんな可羊子の声に可南子、
「ふぅ~~。分かんないよ。まさか、いきなり…。バンドにって、言われても…。」
「ん~~~。」
「大学受験、発表会、演奏会。…あるよな~~。」
「ん~~。お姉ぇ。3年だもんね~~。」
そして、可南子の方に体を向けて可羊子、
「ねね。」
「ん~~???」
「でもさ…。一華先生…。応援するって…。で、最後に、自分に素直にって…。」
可南子、
「うん。私も聞いた。」
「それ…と…。」
「何…???」
「定岡先輩も…、彩萌さんも、紗枝さん、茉優さんも…。応援…するって…。」
その可羊子の声に可南子、
「ふふ。そっか。」
そして、
「カヨ~~、あんた…、もしかして…。」




