姉妹坂 vol.008 「もしかして…、どっきりさせたかったかな~~。」
通りを歩きながら、営業部の社員の的場忠志、
「矢島課長の評判はもう~部署内では有名ですよ~。」
龍平、
「えっ…???…いや…、どんな評判…。至って、普通だけど…。」
そう言いながら、少し照れての龍平。
「業績不振の岡山の倉敷支店。しっかりと立ち直したとか…。」
「なになに、そんな事…、誤解だよ。あそこには、出来る社員が、しっかりといる事。ただ、それがどうしても、噛み合わなかっただけの話し。」
「でも、凄いっすよ。矢島課長が向こうに行って、だんだん業績右肩上がり。」
「まぁまぁ、その話は良いから、急ご、待たせたら申し訳ない。」
「あっ、はい。」
昼休みである。
「矢っ島~~。」
園加。
可南子、
「…ん…???」
「ほらほら、机、くっつけよ。お弁当、お弁当。」
そして廊下側の愛寿美も、
「…んで、こうやって…。」
別の席でお弁当を食べている子の机を動かして、3つの机を合わせて。
「はは。うんうん。良い良い。」
可南子。
「でも…、びっくりした~。ふたりがこのクラスにいるって…。」
「おばあちゃんから聞いてなかったの…???」
園加。
「ううん。」
愛寿美、
「もしかして…、どっきりさせたかったかな~~。かかか。」
そんな愛寿美に可南子、
「どっきり…???」
「うん。だって、可南子んちのおばあちゃん、一週間くらい前かな…。私んちに電話くれたのよ。」
弁当を食べながら愛寿美。
「うんうん。私んちにも、矢島のおじいちゃんから…。」
園加。
可南子、
「はっ…???」
「なんか~。私たちの同級生の学校、調べてるって。誰がどの高校にいるのかって…。」
園加。
「それでだよ~。私たち、可南子たちがこっちに帰ってくるって知ったの。」
その愛寿美の話しにようやく可南子、納得。
「な~るほどね~~。だから、今まで何も言ってなかったんだぁ~。おばあちゃんもおじいちゃんも…。」
そしてふと考えて、
「…ん…???…っていう事は~。…もしかして…、他のクラスにも…。」
「…と…、思うでしょ。」
園加。
「かかか。可南子…。残~念ながら、3年のクラスには、AとDにひとりづつ、私らの同級生いるくらい。」
愛寿美。
「…あと…は~。うん。ほら、可南子の妹の可羊子。可羊子の1年だったら、小中と、私や園加も知ってる子たちいるよ、何人か…。今年の新入生ね。」
「うそっ。そうなんだぁ~~。へぇ~~。ふんふん。」
「わぁ~~。美味しそう~~。」
そう言って可南子の頭の上からの声。
その声に園加、愛寿美、
にっこりと、
「矢島、委員長の小塚彩萌。」
園加。
「我らがプリンセス」
そう言って、舌をペロリと愛寿美。
「そ~んな事、ないよ~~。ぜ~んぜん。」
そう言いながら右手を振って、両手を後ろに、
「小塚彩萌です。よろしく。矢島さん。」