姉妹坂 vol.076 「まっ。…なんとか…なるっしょ。」
航、数秒そのまま立ち尽くしたままで…。
そして、髪をグシャグシャとさせながらも、
「う~~ん…。」
そして、
「まっ。…なんとか…なるっしょ。」
そう言って、くるりと体を廊下の方に。
「ごちそう…。」
「航~~。」
史帆。
「左近さんも、和樹さんも…、璃子さんの代わり、探してると思うから…。」
歩きながら、
「大丈夫、大丈夫。」
そのままドアを開けて消えていく航。
洋、充希、史帆の顔を見て、
「史帆…、おま…。」
「璃子って、あの…リーダーの…???…凄い、綺麗な人…、しかも…物凄いキーボード、上手な…。」
そんな両親の顔をチラ見して史帆、お味噌汁を啜りながら…。
「うん。事故にあって、左腕、故障。片麻痺だって…。多分…もう…、動かないんじゃ。」
洋、
「え~~~???…んじゃ、ライズ、大変なんてもんじゃないだろう…。アマでも都内であれだけ人気なバンド…。」
「もしかして…、このまま、解散…なんて事あったら…。あの子…。」
充希。
「ん~~。…多分…解散は…ないとは思うんだけど…。キーボードなくっても…バンド自体は…できるし…。」
史帆。
「でも…、あのリーダーの人、とにかく物凄い素敵な人だから…。」
既に洋も充希も史帆に連れられて何度かライズのステージやリハを観ている。
航の場合、勉強はそこそこ。
けれども、子供の頃から野球と音楽、しかもギターは小学高学年から始めて、
中学時代からいろんなバンドから声を掛けられてもいた。
そのために洋も充希も、本人が好きなのなら、
若いうちにとにかく好きなものを好きなように伸ばすと言う考えの持ち主でもあったのだった。
「ごちそうさま~~。」
自分の食器を持ちながら流しに。そして洗って。
「ヨッシ。」
史帆。
「あんにゃろ。」
洋、
「ん~~???」
「子供の頃から、照れ屋で余り本当の事…話さないからね~~。」
口をへの字にしながら…。
「まっ。とうさんとかあさんが向かっても、…。無理っしょ。」
「史帆。」
充希。
廊下に向かいながら史帆、
「ふん。」
そして階段を上がろうと、チャイム。
史帆、
「…ん…???…かあ…さ…。」
一瞬、顔を傾げて、
「まっ、いっか…。」
そのまま玄関に。
「は~~い。」
外から、
「紗枝で~~す。」
史帆、思わず、
「ビンゴ!!!ニシッ。」
ドアを開けて、
「バァ。」
「わぁ~~。史帆さ~~ん。」
紗枝、両手で大きなお皿を持って。
「ちょっ、ちょっと。紗枝ちゃん。」
そのまま紗枝の肩を抱きながら。
紗枝、
「おっとっとっとっと。…史帆さん、うちのかあさん、持って行けって…。」
史帆、
「うんうん。分かってる、分かってる。」
そのまま紗枝の肩を抱きながら階段に、
そして紗枝の持っている大きなお皿を受け取ってドアの向こうに、
「かあ~さん。紗枝ちゃん、ご馳走持ってきたから、ここ、置いとく~。」
傍にあるキャビネットの上に皿を置いて…。
紗枝、
「えっ、えっ…???」




