姉妹坂 vol.070 午後から頭の中から消えない昼休みの航の顔と声。
「お…俺。何とか矢島先輩に、お願いしたいんだ。璃子さんの代わりに…。」
午後から頭の中から消えない昼休みの航の顔と声。帰り道の可南子。
器楽部に入部してからは、帰り道は殆ど一緒の5人。
弓香、芽久、そして菜穂子と摩耶。
「どうした~、可南子~~。」
弓香。
入部2、3日目辺りからは、「矢島さん」から「可南子」と言う呼び名に変っている部員たち。
「うん。何だか少し…、元気なさそう…。」
小さな声で芽久。
いきなり可南子の肩に腕を掛けて、
「まっさか…、もう…好きな彼氏…出来たとか…???」
ニタニタと笑いながら菜穂子。
「へっ???うそっ???」
素っ頓狂な声を出す弓香。
目を見開いての芽久。
慌てて可南子、懸命に左手を顔の前で振りながら、
「いやいやいやいやいやいや。ないないないない。全くない。」
そんなオーバーなリアクションに、変顔の弓香、菜穂子、摩耶、
「ぷふ~~~。」
少し考えた風の可南子。
そこに自然に耳に入ってくるランニング中の野球部員の掛け声。
反射的にその野球部に目を向ける可南子。
「お昼休みにね。」
自然に口から出るその言葉。
弓香、摩耶、
「お昼休み…???」
可南子、
「うん。」
芽久、
「あ…。そう言えば…。」
昼休みの出来事を4人に話し出す可南子。
話の途中で、弓香、菜穂子、摩耶、
「え゛―――――――――っ!!!!!」
目をパチクリさせる芽久、
「うそ…。」
摩耶、
「マジか…、海野航。」
「なんと、可南子…バンドのキーボード~~~。」
びっくりの弓香。
菜穂子、
「あ…、あ…、有り得ないでしょ。おぃおぃ。1年。」
芽久、
「矢島…さん…。これから…受験勉強…。」
弓香、
「うんうん。そうそう。しかも夏休みまで演奏会、それに秋にも演奏会。部活としては忙しいし。練習だって…。それに受験だって…。それに、一華先生も…ダメって…。」
可南子、俯きながら、
「うん。」
「ねね、可南子~~。」
今度は摩耶。
「それに、一番はお父さんとお母さん。確かに妹さんは知ってるかも知れないけど…。お父さん、お母さん、許さないでしょ。」
「うん。……だと、思う。」
少し4人の前を歩いて、
「ん~~。」
遠くを見るような目をして弓香。
「ん~~。」
そして今度は下を向いて、
「ん~~。」
「…って、何よ、弓~~???」
菜穂子。
芽久、
「…弓香…さん…???」
その場で4人に振り返り弓香。
「可南子~~。一華先生。可南子にエール…送ってるかも…。」
可南子、きょとんと。
「……???」
菜穂子、摩耶、
「エール…???」
「一華先生…。もしかしたら、可南子、ライズに入って欲しいのかも…。」
菜穂子、摩耶、
「え~~――――――――っ!!!」
芽久、
「弓香…さん…。」
可南子、いきなり、「ドキン。」




