姉妹坂 vol.007 矢島家の隣に住んでいる山田家の主婦。
「…ったく~~。あんたたちときたら、行儀悪いのなんの。留美ちゃん、ごめんね~~。どれどれ。私にも…。」
可織。
留美子、
「ほいほい。どうぞ、どうぞ~~。」
可織、
「ん~~。ん~ん~。イケるね~~。かかかか。」
「な~にさ。母さんだって。」
そして、
「はいはい。お茶、お茶。」
留美子、矢島家の隣に住んでいる山田家の主婦である。
名前を山田留美子。夫の山田聰共に、
矢島家の良き話相手になっている。
…と言うより、龍平と可燐、そして娘たちが岡山に引越しした後は、
留美子と聰が、ある意味、可燐と燐太郎の娘と息子同様に付き合っていた事になる。
可燐、
「留美子~、母さんと父さんの事、ありがとね~~。ものすっごい、感謝してる~~。あんたと聰さんがいなかったら、大変だったもん。」
お茶を飲みながら…。
「かかか。何を言っとる、姉さん。逆に私たちの方がお世話になってるってのに。」
今でも可燐の事を留美子は、「姉さん」と言っている。
可燐には、小さな頃から年の離れた妹のように、可愛がってもらった経緯もある。
「まぁな。留美ちゃんがいてくれたお蔭で母さんの愚痴…聞かずにも済んでるからな~~。かかかか。」
笑いながら燐太郎。
「もしかしたら、俺といるより留美ちゃんといる方が…長かったか…、母さん…???」
その声を聞いて可燐、
「ほんと~~???かかかかか。」
可織、
「な~に言ってんですか~~。かかかか。…でも、留美ちゃんと聰さんには、感謝しても、し尽くせないね~~。いっつも、一緒だったもん。雄喜と、恵美なんて、もう~私らにとっちゃあ~ひ孫みたいなもんだもんね~。」
山田夫婦には、長男の雄喜と、長女の恵美がいる。どちらもまだ、幼稚園に通っている。
「…で。その孫の可南子と可羊子は、今…、どんなかな~~???ふふふ。」
留美子。
その声に可織、
「帰ってからの…お楽しみ。」
にっこりとして…。
「まさか、小学校の頃の幼馴染が何人かいる高校に転校するとは、思ってないんじゃないかな~~。」
燐太郎。
「でも…、私らだって、びっくりしたんだからね~~。」
可織。
「はははは。全くだ。」
可織も、燐太郎も、龍平たちが帰ってくると連絡があった時点で、
すぐに行動を開始したのが可南子と可羊子の転校先だった。
無論、ふたり娘に適応した高校を探した訳でもあるが、
出来るだけ、ふたりの昔の仲良しの友達に連絡したところ、
その多くが偶然にも、地元の泉川学院高等学校の生徒だった事が分かったのだった。
その結果、トントン拍子に事が運ばれて行った。
「どうしてるかな~~。」
可燐。
「課長、こちらです。」
お得意先を回りながら龍平、
「はい。ありがとうございます。」
龍平の役職は、課長のままである。