姉妹坂 vol.069 「…何、鼻の下…伸ばしてるんですか、井川先生。」
「どぅ…???インターハイ向けて、どんな感じ…???」
出雲。
「はい。ありがとうございます。いい感じで、生徒たち、頑張ってますよ。うん。」
栞奈、出雲ににっこりと。
そんな栞奈と出雲の向かいの席で、
何ともほんわか~な感じでふたりを見ている井川透。
3年D組担任。物理教師である。
チラリと見えるそんな透の顔に、クスリと笑顔で返す出雲。
何故か赤くなり、目をパチクリさせながら顔をあちららこちらに向けての透…。
「転校生の矢島可羊子さん、弓道、なかなかのものって話じゃない。」
出雲、栞奈の椅子の背もたれに左手を掛けながら。
「うんうん。矢島さん。凄いよ。かなりのセンス持っているみたい。」
「へぇ~~。まだ私は…授業で、一度しか、見てないんだけど…。でも部活の同じクラスの生徒たち、何だか、今までより元気出て来ちゃったみたい。矢島さんの影響かしらね~~。」
「あらあら。大ベテランの出雲先生からも、そんな事言って頂けて、恐縮です~。」
そこに、こちらも部活を終えての要次。
「おや、おふたりさん、お疲れ様~~。…ん…???…何、鼻の下…伸ばしてるんですか、井川先生。」
透の顔を見て、そして出雲と栞奈の顔を見て要次。
栞奈、そんな要次の声に、
「へっ…???」
自然に向かい右席に腰を浮かせて首を伸ばして、目をパチクリ。
「えっ…???」
そのまま顔を右上の出雲に。
出雲、笑顔で顔を傾げる。そして透の方に目だけサラリと流して。
途端に要次、
「かっかかかかか。な~るほどね~~。出雲先生、いじめちゃ可哀想だ~~。ねぇ~~井川先生~。」
出雲、いきなり、
「ぷっ。」
途端に透、慌てながら、
「なななな。な~に言ってるんですか~~。僕は別に…。いやいやいやいや。」
ぎこちない素振りで、髪を掻き上げて。
「汗…、びっしょりですけど…。」
笑いながら要次。
「だか~ら~~。田所先生~~。」
「はいはい。…まぁね…。美人四天王先生方ふたりを目にすりゃあねぇ~~。特に…。」
自然に出雲の顔に視線を向けて。
「あ~~ら、何処に、その美人四天王先生って、いらっしゃるんでしょうか~~???」
腕組みしながら出雲。
「おやおや。またまた素敵なお声で…。」
栞奈、可笑しさを堪えながら。
「出雲先生…、けしかけないでください。くく。」
「あら。や~~ね~栞奈。」
「はいはい。私は…退散しますか…。お邪魔なようで…。」
鞄と上着を持ちながら席から離れる要次。
「あ~~。待って下さいよ~田所先生~~。」
その時、小声で要次、右手を口元に、
「井川先生。またまた四天王先生のご登場~。」
その要次の声に透、
「へっ…???」




