姉妹坂 vol.068 「さて。ウチも、頑張らねば。夏休み前の演奏会。」
器楽部の部活中、一華、ピアノを弾いている可南子を見て、
「な~~るほどね~~。矢島さんをライズに…。璃子の代わりに…か…。思い掛けない事…、考えるよね~~。航も。」
そして、個々のパートを確認しながら、バランスを見るように。
そして、半分空いている窓を全開にして外を…。
左側ではサッカー部。片や右側では野球部。
どちらも生徒たちの掛け声が聞こえてくる。
一華、
「うん。サッカーも野球も、強いっ…ちゃ~~強いんだよ。ウチは。頑張れ、頑張れ。」
そして、そんな窓に背中を向けて腰を凭らせるように。
「さて。ウチも、頑張らねば。夏休み前の演奏会。」
風に運ばれて耳に届く、様々な楽器の音色。
キャッチボールをしている航、時折音楽室を見ながら…、
「ふ~~ん。あれだけ…弾けるんだけどな~~。…もしかしたら…、璃子さんより…キーボード、上手いんじゃ…。」
頭に過る横内璃子の顔。そして、思わずため息突いて、
「はぁ…。」
そして、次に頭の中に過る顔、
「矢島…可南子…かぁ。」
その時、
「航!!!!」
叫ぶような声。
「へっ???わっ!!!」
瞬間、顔の前のボールに自然にグラブが出て、
「バシッ!!!」
目を真ん丸く、
「あ~ぶね~~。」
「な~に、ボ~~ッとしてんだよ~~。」
数メートル前で敦司。
「もしかして…、矢島の姉ちゃんの事…、考えてっか~~。かかかか。まっ、弓香ちゃんには、及ばねぇけどな~~。」
そんな敦司に、
「うるせぇ、ばか。聞こえんだろ。」
そして、いきなり投球ホームで敦司目掛けて。
「わわわわわ。わ―――――っ!!!」
敦司の顔目掛けた剛速球。自然に顔に動いたグラブで敦司、
「わっ!!!」
そして、グラブに、「バシン。」
「や~べぇ~~。キャッチボールで、剛速球投げる事ねぇだろ。や~べ、やべ。」
その時敦司、
「…ん…???…て事は~~航、あいつ…???」
そして航にボールを投げ返して、
「かかかか。図星だってか~~。やめとけ、やめとけ。矢島の姉ちゃん、かなりの優等生らしいぜぇ~~。」
敦司のボールを受けて、また、
「関係~ねぇ~だろっ。ふん。」
いきなり地面をジタバタさせる敦司、
「やややや。だから、や~めろっ…。きたきた~~。ギャッ。」
また顔の前でバシン。
ベンチで顧問の広瀬の隣でキャッチボールの部員を見ながら有紀、
「な~にやってんだぁ、あいつら。」
広瀬、
「ん~~???はははは。ナイスキャッチ、敦司。ジタバタしながら良く取った。」
笑いながら…。
ガクッと両肩を落として有紀、
「…先…生…。」
「まだ…、彼女たちは…、来てませんね~~。」
バックネットをチラリと見て。メガネの中でにっこりと広瀬。
有紀、
「いや…。だから…、先…生…。」
職員室。部活から戻ってきた出雲。
こちらも部活から戻って自分の席に着いたばかりの栞奈に、
「はい、栞奈。お疲れ~。」
「あ~、出雲先生。お疲れ様です。」




