姉妹坂 vol.055 「憲~~~。朝ご飯早く~~。」
「憲~~~。朝ご飯早く~~。私も仕事あるんだから~~。」
キッチンで憲央の姉の葵。
その姉の声に階段をドタドタと降りてくる憲央。
「あれ…???かあさんは…???」
「今日は朝早くから契約農家さん、内藤さんトコ。お手伝い~~。」
その声に憲央、
「ふ~~ん。」
「あきちゃんは、研修で横浜。もう出ちゃったよ。」
ここで言う、「あきちゃん」とは、長女の亜葵蘭の事である。
憲央、再び、
「ふ~~ん。」
「早く、さっさと食べる~~。」
「お店…、繁盛してんの…???」
憲央、いきなり葵に…。
「ふん。結構ね~~。だって、オーガニックだもん。それに、繁盛してもらわなきゃ困る~~。お店の広告、ウチが出してんだから~~。」
定岡葵、憲央の姉、
都内の広告代理店「キャラバン」の社員2年生である。
憲央の両親は、都内でオーガニック系の洋食店「葵沙」を経営している。
父親の正憲そして母親の葵沙。
共同経営者ではあるが、母親が店長である。
「あっ。ねね、憲…、あんた…彼女出来た…???」
その葵の声にいきなり憲央、
「ぶっ!!!」
葵、
「きったな~~。」
「何言いだすんだよ~~。…ったく~~。人が物食べてんのに~~。」
目の前に口から飛び出たものを布巾で拭いながら…。
「ふん。この前、あきちゃんからメール来てたのよ。弟君に彼女出来てるよ~~って。……。まっ、写真はなかったけどね~~。」
その声に憲央、
「あっちゃ~~。この間の…日曜の…。」
「…で、お店に行ったんだって~~???」
そんな姉の声に憲央、
「あっ。いや…。言っとくけど。それって、同じ弓道部の部長からの電話だから。勘違い、すんな。」
葵、
「ほぅほぅ~。…で、それで…???」
「…いや…。それでって…。何…にも…。…それだけ…だけど…。」
「はい…???」
そして、
「ふ~~ん。弓道部の部長さんか~~。」
椅子の背もたれから今度は腕組みをして葵。
「何よ、その…ふ~~んって…。高1の頃からずっとの女子だよ。…んな…。単に、弓道の部員…だっつぅの。」
「ほっほぅ~~。ようやく、あんたにも女から電話くるようになったってか…。かかかかか。」
「いや。仕方ねぇじゃん。部活の事で、連絡だってあるしよ。」
「ふ~~ん。そっか。そっか。」
「姉ちゃんこそ。この前の電話、彼氏じゃねぇのぉ~~。いきなりかあさんの傍から離れて2階上がってったけど…。」
その憲央の声に葵、軽く流すように、
「お蔭様~で。仲良く、お付き合い…させて戴いておりま~~す。」
そしてにっこりと。
憲央、その姉の声に、
「うそ。マジで…???」
「あったりまえじゃないの。あきちゃんにだって、彼氏いんのに。」
憲央、
「えっ。マジで…!!!!」
「だから~~。あんたも!!!…っつぅてんの~~。」




