姉妹坂 vol.054 「そし…て~~。それから…。」
「へぇ~~。学校でそんな事が…。」
リビングで龍平。
「ふん。何やら物凄い注目されてたって…。お姉ぇの器楽部。」
可燐。
「ふ~~ん。まっ、可南子のピアノは結構、セミプロ並みのセンス…あるからな~~。泰子仕込みってやつ~~。なぁ、かあさん。」
2階の方…、天井を見ながら龍平。
「そし…て~~。それから…。」
真一文字に口を…。可燐。
「ねっ、おばあちゃん。」
そんな可燐の声に可織、
「ふ~~ん。まぁ…ね~~。」
龍平、
「は・あ…???…おばあちゃん…???かあさん…???ねね、おじいちゃん…???」
燐太郎、
「あっ、いや…。私は…、何も…。可燐…???かあさん…???」
可燐、
「ぷっ。」
可織、
「ん…もぅ~~。…ったく、これだから…。男の人って…。」
…と、夫の右膝をペンと叩いて。
燐太郎、
「あたっ。何…???」
「ほんとうに、分からなかったんですか~~???」
龍平、可燐に…、
「へっ…???なになに…。かあさん…???」
体を可燐の方に寄せて。
可燐、
「絶対に。ぜ~~ったいに、可羊子には…。」
そして口に人差し指一本。
龍平、
「うんうん。」
「あの子はあの子なり、考える子だから。」
「分かってる。分かってる。うんうん。」
そんな龍平に可燐、
「これ言ったら、お姉ぇにも、怒られるから…。」
そう言いながら龍平に耳打ち。
「……。」
龍平、
「…うんうん。…ぶっ。…うそ――――――――っ!!!!」
可燐、いきなり、
「シ――――――――っ!!!!」
可織も、
「龍平さん。シッ。」
「なんなんだい、3人して…。」
燐太郎。
可織、
「んもう~。」
また燐太郎の右膝をペン。
今度は顔を顰めて燐太郎、
「いや。だから、痛いなぁ。」
そして燐太郎に耳打ち。
「ん~~…???うん。…え゛~~~~!!!」
「いや…。だから、シ―――――――ッ。おじいちゃん。」
可燐。
そして4人共に、天井を向いて、
「ふ~~~ん。」
燐太郎、
「可南子より、可羊子が…先…か…???」
可燐、龍平、可織、
「おじい…ちゃん…。」
「あっ。そう言えば、カヨ。」
2階の部屋で可南子。
「ふん…???」
ベッドの上で可羊子。
「帰りにさ。海野君…だっけ…???会ったよ。」
「ふ~~ん。」
ベッドの上に胡坐を掻きながら参考書にペンを…。
そして、
「…いしょっと。」
今度はうつ伏せに。
「ふたりでいたけど…。もうひとりって…、誰…???」
「多分…。同じ野球部、敦司君…かな~~。」
「ふ~~ん。」
そして思いがけずに笑って、
「くく。おもしろい男子だね、その…敦司君…???」
「ふ~~ん…。…ん…???」
いきなり身体を起こして。
「いや…。って言うか、私まだ、話し、してないよ。気付いて見れば…。うちの男子と…かかかか。あはははははは。」
可南子、
「うそ。マジで。」
「うんうん。マジ、マジ。もしかして。転校してから、男子と話したの…、かかかか。定岡先輩と松森先輩…だけ…。かかかか。そうだ、そうだ。他に話してないや。」
可南子、
「…信じ…られない。」