姉妹坂 vol.005 泉川学院高等学校。3年C組。
東京都目黒区自由が丘にある泉川学院高等学校。
3年C組。
「今日からこのクラスの新しい仲間になります、矢島可南子さん。どうぞ、よろしく~~。」
可南子を生徒全員に紹介しているのが、担任となる竹脇栞奈である。
ざわざわとしている教室内。
緊張しながら可南子、
「はじめ…まして。こんにちは。今日からこの学校に転校してきました、矢島…可南子と…申します。よろしくお願いします。」
ペコリとお辞儀をして。
栞奈、
「矢島さんのお父さんが…。」
その時、
「矢っ島~~~。おっかえり~~。」
いきなり後ろの席から女子生徒の声。
可南子、
「へっ…???だ…れ…???」
「ほっほ~~。さすが。友達…いたか~~。」
栞奈。
「お~~い。待ってたぞ~~。」
そして別の席からも、声。
「おやおや。さすがは。元々は、自由が丘だからね~~。」
少し、戸惑いながらも頭の中で子供の頃の記憶を辿って…、可南子。
後ろの席の女子生徒を…。その時、ハッと思い出したその顔、頭の中で、
「園加。」
そしてチョコンと右手を出して手を振る。
その近くで男子生徒、
「なんだ、来美の知り合い…???」
可南子の小学時代の友達の来美園加である。
そんな園加も可南子に手を振る。
そして、右手で頬杖をして、左手を高く上げて、
「お~~っす。」
ふたり目の可南子と幼馴染みの、中島愛寿美である。
可南子、思わず目を見開いて口を開け、
「あ~~~。」
そして、頭の中で、
「…わ~~。アズもいたんだ~~。」
そして、愛寿美にも手を振る。
「矢島さんはお父さんの転勤で小学の時に岡山県の倉敷市に引っ越しされました。それから7年を経て、この自由が丘に戻って来られました。皆さんの中にもご存じの方がおられるかもしれません。仲良くお願いします。」
そして再び全生徒の前で、
「よろしくお願いします。」
と言ってお辞儀をする可南子。
栞奈、
「じゃあ、矢島さんの席は、あそこ。さっき、おかえり~~、って言ってくれた…。来美園加さんの前の席。」
可南子、その声に従い、
「あっ、はい。分かりました。」
そしてその席に…。
園加、
「矢島~~。ひっさしぶり~~。凄~~い、可愛ゆくなってる~~。」
そんな園加にニコニコして、
「凄い久し振り~~。まさか、会えるなんてびっくり~~。」
園加の顔を見ながら椅子に座って可南子。
「ほら、アズもあの席にいる。」
廊下側で可南子に手を振る愛寿美。
にっこりと愛寿美にも手を振る可南子。
「良かった~~。園加もアズもいるクラスで…。」
「ふふ。おっかえり~矢島。」
可南子、
「うん。ただいま。」