姉妹坂 vol.049 航、「おい。器楽の部長、あそこにいんぞ。」
芽久と弓香、そして菜穂子と摩耶と一緒の帰り道。
可南子のスマホにラインのメール着信。
弓香と菜穂子、
「誰々…???」
可南子、
「ん~~。ふふ、同じクラスの園加と愛寿美。」
「あぁ~~。矢島さんが初めて器楽部きたとき、一緒だったもんね~~。」
菜穂子。
「凄いよ~。矢島~。器楽部に入って正解。ははは。だって…。…さっきは、彩萌さんからもライン来てた。」
芽久、静かな声で…。
「矢島さん、凄いよ。…なんでも弾けるんでしょ…???」
「ねね、どんな事からピアノ…習ってたの…???」
弓香。
菜穂子に摩耶も、
「うんうん。」
歩きながらの器楽部の女子たち。
その後ろから、
「あれ…、あれ…???…もしかして…。器楽部…???」
数十メートル離れた女子たちの後方で敦司。
航、
「……。」
お喋りしながらゆっくりと歩いている女子の傍を黙って過ぎて行く敦司と航。
航、
「おい。器楽の部長、あそこにいんぞ。」
敦司の右二の腕を突っつくように…。
少し赤面状態の敦司、
「うるせぇよ。」
航、
「ぷっ。」
「あっ、海野君だ。」
菜穂子と摩耶。
少し前を歩く航と敦司。
「海野く~ん。」
手を振りながら菜穂子、摩耶。
目をキョロキョロとさせながら航、ゆっくりと左後ろを向いて…。
「野球、頑張ってね~~。」
笑顔で菜穂子。
芽久と弓香と可南子、そして摩耶、にっこりとしながら。
「あっ。ありがと…う。」
照れながら航。
可南子、
「海野…君…???」
芽久と弓香に。
「うん。1年生で、いきなりレギュラー。4番でピッチャー。今、野球部で凄い人気。」
弓香。
可南子、
「へぇ~~。」
そして、頭の中で、
「…初めて…顔…見た。」
「ねぇ~。今、野球部、どんな感じ~~???」
その弓香の声に敦司、振り返って、
「あ。あああああ。はい。とっても、良いです。はい。頑張ります。はい。」
頭を撫でながら、赤い顔をして…。
その敦司の声に弓香、可南子、
「えっ…???」
芽久、
「……。」
菜穂子と摩耶、
「ぷっ。くくく。」
航、
「あ・つ・し~~。」
敦司、
「えっ…???いや…。俺…、何か、変な事…言った…???」
「つ~か、答えになってねぇだろ…。」
未だ、クスクスと笑っている女子。
その内、
「海野君、凄いんだって、ピッチャー???」
弓香。
「さすが、部長…。」
小さな声で可南子。
敦司、目をキョロキョロと。
「いや…。凄くは…ないけど…。でも、まぁ…、野球部からは、可愛がられてる…みたいな…。」
女子と歩幅が同じようになりながら、航。
「うん。みんな、海野君は剛速球で、名バッターだって。言ってるよ。」
弓香。
「あぁ…。それ…。うそうそ。俺、小学時代から野球やってるから…。自然にそうなったんだと思うし…。」
「ねね、海野君ってさ。ギター、やってるよね。」
摩耶。
その摩耶の声に、
「あぁ…。」




