姉妹坂 vol.043 「凄ぇもん、見ちゃったんだ。」
5人、
「…ん…???」
「凄ぇもん、見ちゃったんだ。」
憲央。
可南子、可羊子、
「凄いもの…???」
「新任の先生。…ふふ。委員長~。」
彩萌、
「あ~~あ。そっか~。」
園加、愛寿美、
「何々、彩萌~~???」
「高1の時、弓道の顧問になった、今はうちらのクラスの先生。栞奈先生。」
彩萌、
「うんうん。」
「先生の弓道…。あれ見てビックリ。」
可羊子、
「あ~~。」
「女の人がこれ…やる…???」
彩萌、
「うんうん。」
「しかも、委員長まで…。」
彩萌、
「はは。」
「おんもしれぇ~~って…。それからだね。」
5人、
「へぇ~~。」
店から出てからも…。
「しかも、彩萌って、空手、やってんだもん。」
歩きながら憲央。
「先生も旧家の生まれ。武道から茶道、華道まで。ますます面白くなってきちゃってさ。」
園加、
「きゃっははは。そっちか…。」
「いや。だって、やってみたくなる要素、ありありじゃん。」
「しかも、彩萌も先生も可愛くって、綺麗だし、それに史や、ほらほら、紗枝に茉優。」
園加。
彩萌、
「ば~か。」
「いや…。でも…、彩萌には好きな人…。」
その声に5人、
「えっ!!!!」
彩萌、
「ばか、憲っ!!!!」
園加、愛寿美、
「え゛――――――――っ!!!!」
可南子、可羊子、目をパチクリ。
憲央、
「あ…れ…???」
彩萌、いきなり顔をくしゃりと…。
園加、愛寿美、
「委員長――――――――っ。いたんだ―――――――っ。好きな人―――――――――っ。」
彩萌、いきなり大きな声で、
「のりお―――――――っ!!!!」
憲央、
「や~~っべっ。」
そして、
「悪りぃ。俺、ここで。行くわ。」
5人に両手を合わせて。
その場で立ち尽くす5人。
「……。」
園加、
「あ…や…め…???」
愛寿美、
「い・い・ん・ちょう…???」
可南子、
「あ・や・め…さん…???」
可羊子、
「……。」
彩萌、目を吊り上げて、遠くの後姿の憲央を見て、
「あんのヤツ~~~。」
園加と愛寿美、そして可南子、体を寄せ合い、
「こわっ。」
園加、
「こりゃ、明日、憲、蹴りいれられるぞ…。」
愛寿美、
「ぷっ。」
可南子、小さな声で。
「あ…ははははは。」
園加、
「ところで、彩萌…。その…???」
可羊子、園加に手を差し伸べて、変顔。
「園…加…さん…。そんな…、火に油…注がなくとも…。」
愛寿美、可南子、
「かかかかかかか。」
4人に振り向いて彩萌。吊り上げた目からにっこりと、
「な~に~、園加~~。」
愛寿美、
「何か…、別の意味で…、恐い。」
可南子、
「ぷっ。」
数時間後、彩萌、園加、愛寿美、それぞれ、
「じゃあね~~。明日~~。」
可羊子、
「今日は、ありがとうございました~。」
彩萌、
「カヨちゃん、明日ね~。」
「は~~い。ありがとうございま~す。」
そして帰り道。
「結局、彩萌さんの好きな人…。」
可南子。
「くく。訊けなかったね、お姉ぇ…。かかか。」
その時、すれ違うひとりの若者。
「へっ…???今の…???」
可羊子。