姉妹坂 vol.039 いきなり園加、「おんや~~。」
いきなり園加、
「おんや~~。」
愛寿美、
「ありゃりゃ。」
可南子、
「あ~~。」
通りの向こうを歩いている2人連れ。
「なんと。」
園加。
「あれって…。もしかして…、彼女…???」
愛寿美。
「ううん。憲には…彼女…いない…はず。」
彩萌。
園加、
「へっ…???」
愛寿美、
「うそうそうそ。だって…。」
「いやいやいや。だって、見れば分かんじゃん。凄い年上って感じだよ~~。」
そんな彩萌に、
「そう…言われてみると…。」
「シシ。」
バッグからスマホを取り出して彩萌。
「ちょ…、ちょっ…彩萌…???」
園加。
愛寿美、
「委員長、大た~~ん。」
可南子、
「マジで…???」
彩萌、にんまりと、スマホの画面に指でポン。
ズボンのポケットの中で着電のメロディ。
憲央、
「ん…???」
そして、画面を見て、
「はっ…???彩萌…???」
「どしたの~~ノリ~~???電話…???」
憲央の隣で女性。
「あっ、あ~~。友達。」
「ほぅ~~、あんたの彼女か。」
「ちげぇよ。」
「出なくていいの。」
「あっ。…ん…、んじゃ。」
そして指でポン。
「もしもし。あたし~~。隣の人、誰…???」
その声に憲央、
「はぁ~~あ…???」
その声に隣の女性。
憲央、その女性の顔を見て…。
「何、私の顔見てんのよ…???」
「いや…。だって…、電話で、隣の人、誰って…???」
「はぁ~~あ…???…かかかか。」
そして、あちこち見ながらも、
「ちょっと貸して見な。」
そして憲央のスマホを取って、
「もしもし。憲央の姉でございます。そちら様は…憲央の彼女様でいらっしゃいますか…???」
その声にいきなり彩萌、ドキン。
「バカ。姉貴。何…。」
いきなり女性からスマホを取り上げ、
「もしもし。彩萌、おまえ、どっから…???」
スマホの向こう、彩萌、思いっ切りドキンドキン。
「お~~。びっくりした~~。」
他の4人、
「何々…???何何何何???」
彩萌、一旦耳からスマホを離して、
「憲のお姉さん。」
4人、
「え゛―――――――――っ!!!」
彩萌のスマホの向こう、
「もしもし。」
その場に止まったままの憲央。
「何々、そこに誰かいる…???」
彩萌、
「うん。憲のいるその位置から後ろ。ベルって名前の喫茶店にいる。」
そこまで聞いて、後ろを振り向く憲央。隣の女性、
「ノリ~~。」
右手で犬を追う払うように、
「シッシッ。」
そして、
「行っといで~~。姉貴殿は、先に行く~~。あんたに付き合ってても、しゃあないでしょ。それにこれから予定もあるし…。これでも忙しいんだから…。OLは。…彼女殿によろしく~~。」
「いや…。だから、ちがうっつうに~。」
「バ~カ。しっかり顔に書いてんじゃないよ~~。あっ。それから葵と母さんには私から、電話入れとく~~。ほいっ。シッシッ。」
「犬みたいに言うなよ。」
「かかかかか。じゃね~~。」
「何々。どうなってる彩萌~。」
傍で園加。
可南子、
「電話…、繋がってる……。」




