姉妹坂 vol.031 「どお、矢島さん。」声を掛ける彩萌。
「凄い、背ぇ高~~い。」
可羊子。
「うん。定岡先輩、180cmはあるもんね~~。」
レミ。
「ひゃ~~~。」
3年が終了して、次に2年の射込み練習。黙って見学している可羊子。
そんな可羊子に、
「どお、矢島さん。」
声を掛ける彩萌。
そんな彩萌を見ながらの憲央。
「さっき先生から聞いたんだけど、岡山の倉敷で、中学時代に3年間、弓道やってたんだって…???」
緊張しながらも可羊子、
「あっ。はい。でも、やっぱり…高校の弓道は凄いです。それに、友達からも聞いたんですけど、インターハイって…。」
彩萌。
「うん。今、それに向かって練習頑張ってる。」
チラチラと憲央の姿を見ながら可羊子。
そんな視線に気付いて彩萌、
「とにかく…。栞奈先生が弓道の顧問してから、部員が増えて嬉しい。矢島さんも頑張って。可南子さんの妹さんだよね。」
その声に目をパチクリさせて可羊子、
「あ~~。はい。」
「うん。…じゃ。」
「あ、ありがとうございます。」
3年の場所に戻って、女子部員と話ながら。そして男子部員とも話しながら彩萌。
「憲。もしかして…転校生の彼女、気にしてない…???」
にっこりと彩萌。
「なんだか、部員の男子の殆どが、彼女に視線投げてるけど…。」
そんな彩萌の声に憲央、
「はぁ~???…かかか。そんなはずないでしょ。…ただ、転校生で、弓道に入部なんて、相当珍しいな…。って思ってはいるけど…。」
「ふ~ん。」
「彩萌。彼女、どんだけできんのよ、弓道…???」
史江。
「ふ~~ん。中学で3年はやってたって。」
キョトンと彩萌。
その彩萌の声を聞いて憲央、史江、
「お~~~ぅ。」
いきなり憲央の左肘を突っついて史江、
「憲~~。どうする~~???」
憲央、
「はぁ~~あ…???…ったく、ふたりで、何言ってるかな~~。」
「この…色男が~~。」
意地悪そうに笑う史江。
「かかかか。」
「まっ、でも…。転校生自体、珍しいもんね~~。しかも…、姉妹でなんて…。憲も…彼女、面倒見てあげて。男子の中じゃ、あんたが一番なんだから、ここじゃ。」
憲央の右肩をトントンと叩いて彩萌。
憲央、
「お…、俺が…???」
「当然、史もね~~。」
目を細めて、にっこりとしながら彩萌。
「はいはい。分っかりました~~。優等生部長に言われれば、しゃあないでっしょ。ふん。」
2年生の射込み練習が終了し、1年。
練習中に史江、紗枝と茉優に声を掛けて、
ふたり共に頷き、そして彩萌の右肩をトントン。耳打ち。
そしてまっすぐにふたり共に、
「先生。」
栞奈、ふたりの声ににっこりと頷き、ふたりを勧める。
「矢島さん。ちょっといいかな…。」
可羊子、
「あっ、はい。」