姉妹坂 vol.028 園加、愛寿美、「すげ――――――――っ!!!!」
園加、愛寿美、
「すごっ。」
芽久、
「……。」
何故か、鼓動が高くなる。
一華、矢島可南子と言う女子生徒のピアノを聴きながら、
「……。」
そして、弾いている可南子の顔を見ながら、
「…ふふ。いい顔してる。」
そして演奏が終わり、園加、愛寿美、
「すげ――――――――っ!!!!」
園加、
「凄い、凄い、矢っ島~~。」
愛寿美、
「凄い、凄い、私なんて、涙出ちゃったよ。可南子、可南子、凄い、凄い。」
「…って、この曲、知ってるけど…、なんだっけ…???アズ…???」
園加。
「ショパンの…。」
低い声で芽久。
一華、
「そう。ショパンの…。それから…???芽久。」
芽久の右肩に手を添えて…。
「ショパンの…、幻想即興曲。」
一華、
「うん。当たり。」
そして、
「矢島さん…???」
可南子、一華の顔を見て、
「はい。」
「アンコール。」
可南子、
「はっ…???」
「なんでもいいよ。アンコール。」
園加、愛寿美、
「やた―――――――っ!!!」
そして一華の隣の芽久、にっこりと、
「うん。」
可南子、そんな声に、
「え~~~~ぇぇぇぇ。」
園加、愛寿美、何度も首をコクリと…。
可南子、一華の顔を見て…。
「それ…じゃあ…。」
また鍵盤に向かってゆっくりと…、弾き始める…。
流れ始めるメロディを聴きながら一華、
「ん~~。ほぅ~~。」
園加、
「…ん…???この…曲…???」
「矢島さん…、この曲…、知ってましたか…???」
一華。
「はい。好きな曲なんです。」
可南子。
「あっ、思い出した。」
愛寿美。
「ドラマで…、綾野剛がピアノで弾いてた。」
「Babyの曲。」
低い声で芽久。
「そう。ドラマ、コウノドリのメインテーマよね。」
一華。
「な~~んだか癒される~~。」
ピアノに凭れるように聞き入る園加。
その隣りで、
「こんな風に弾けたらな~~。」
そして、目を閉じてピアノに背を向けて感傷に浸る愛寿美。
…と、そこで目を開けて、いきなり、
「えっ…。」
目の前に勢揃いしている器楽部の部員たち。
その部員たち数名が一斉に、口に人差し指を立てて、
「シ―――――ッ!!!」
思わず左手を口に当て、右手で園加の背中をツンツンと…。
園加、愛寿美の方に顔を向け、愛寿美の右手人差し指を見て、
「いっ。」
目の前の部員たち、今度は園加を見てニッコリと。
園加と愛寿美、お互いに。恥ずかしいような顔をして寄り添いながら…。
そこで丁度、演奏が終わり、拍手喝采。
その拍手に驚く一華と可南子、芽久。
一華、
「えっ???」
一華、
そのまま振り向き、
「あっ。」
そして腕時計を見て、
「おやおや。」
可南子、
「先生…。私…。…すみません。」
ピアノ椅子から立ち上がり、一華に謝る可南子。
そんな可南子に一華、
「あ~~、あ~~。いいの、いいの。」




