姉妹坂 vol.027 芽久、「先生…。」
徐々にピアノの音が耳に心地良く届く中、音楽室のドアを開く。
いきなり芽久、
「わっ、早い。菊池君。」
いきなり芽久の視野に入ってきたひとりの男子生徒、菊池英吾。
「あっ。先輩。」
マリンバの手入れをしながら…。
音楽室に入ってきた女子生徒にお辞儀をする英吾。
そのままピアノの方に歩きながら4人。
芽久、
「先生…。」
園加、愛寿美、笑顔で、
「一華せ~んせっ。」
ピアノを弾きながら一華、
「あら。」
園加と愛寿美を見て、そして愛寿美の隣にいる女子生徒を見て、
柔らかに微笑んで、弾いている手を止めて、
「芽久ちゃん…。それに、来美さん…。中島…さん…???」
おっとりとした声で芽久、
「あの~~。先生…。」
愛寿美が、自分の右にいる可南子を芽久の傍に。
一華、その女子生徒を見て、
「確か…。転校生の…。」
可南子、お辞儀をして、
「昨日転校してきた、3年C組の…矢島…可南子です。」
そんな女子生徒に一華、
「こんにちは。矢島さん。音楽を教えてる、寿美一華です。」
芽久、
「あの…、あの…。」
一華、
「うん。どしたの、芽久ちゃん。」
静かな声で芽久、
「この…、矢島…さん。器楽部…。いいですか…???」
一華、
「うん…???」
少し目をパチクリさせて…。
可南子の隣の園加、
「先生。」
その園加に優しく右手の平を前に。
「芽~久ちゃん。」
芽久、
「は…、はい。先…生。矢島…さん…。器楽部に…入りたいって…。」
低い声で、ようやく…。
一華、
「うん。分かった。ありがと、芽久。」
そして、初めて見る女子生徒に、
「矢島さん…???」
可南子、
「はい。転校前の学校…。…いや。中学からずっと…、ピアノ…弾いてて。それで…。」
園加と愛寿美の顔をチラチラと見ながら…。
一華、
「ふ~~ん。」
そしてゆっくりと椅子から立ち上がり、
「そっ。」
可南子の肩に手を置き、
「じゃ。」
そのまま身体を、今まで自分が座っている椅子に落ち着かせて…。
可南子、
「えっ…???」
にっこりと優しそうに一華、
「ふん。な~んでもいいから、弾いてみて~~。自分の好きな曲でいいよ~。」
芽久は一華の傍でおろおろと…。
園加と愛寿美は、半ば緊張しながら。
可南子、
「いい…ん…ですか…???」
一華、にっこりと、
「うん。どうぞ~~。」
可南子、
「えっ…、え…と…。」
一華、
「硬くならなくとも大丈夫。いつものまんまで…。」
可南子、
「あっ。…はい。」
園加、
「やっちゃえ、矢島~。」
愛寿美、
「うんうん。」
可南子、
「じゃ…。」
そして、姿勢を正して、深呼吸をして、ゆっくりと鍵盤に左手を。
そしていきなり、「バーン。」
それから静かに左手が音を奏でる。それから右手が…。
一華、
「!!!!」
教室の隅、英吾、
「すごっ。」




