姉妹坂 vol.229 「ごめん、ごめん、遅れちゃって~~。」
「はは…、なんだか…この曲、聴いていると…、筧さん…、歌ってくれないかなって…思っちゃうね~~。」
彩萌。
「かかかかか。同感~~。」
彩萌の両肩に両手を置いて紗枝。
彩萌、首だけ後ろを振り向き、
「紗枝~~。」
「ごめん、ごめん、遅れちゃって~~。」
茉優。
「憲、席、取ってくれてありがとね。」
憲央、
「おぅ。来たか。」
「へぇ~~。可南子、弾いてるのって、あれ…???」
紗枝。
「うん。何だか、校長が知り合いから譲ってもらったシンセサイザーだって。」
彩萌。
「へぇ~~。でも…可南子なら…文句なしだね~~。」
茉優。
「うん。」
「さて…。時間的に…、ラストの曲かな~~。」
憲央。
ジブリの楽曲の演奏が終了して、少し静まる体育館。
そして指揮の位置から離れる一華。器楽部メンバーに拍手を送りながら…。
そして弓香、椅子から立ち上がり両手を広げて客席にお辞儀をして、
シンセの可南子に合図。
静かにシンセから流れるメロディ。
数秒後、メンバーの楽器が少しずつ重なる。
「わお。最後に、これ、持ってくる。へぇ~~。」
ドラムの菜穂子が小刻みに。客席のあちらこちらで、
「コード・ブルー。ドクターヘリだぁ~~。」
「いやいや。聴かせてくれるねぇ~~。」
「おほっ。いい感じじゃん。コード・ブルーか~~。なんとか、間に合ったか。」
左近。
「あぁ。…の…ようだ。はは。」
和樹。
体育館の観客たちを眺めながら、
「しっかし、立ち見もこれだけいるって…。さすがだね~~。」
左近。
「コード・ブルー、エンディングだぜ。」
和樹。
「茉優ちゃんたち、いたか…???」
左近。
「いや。まだ、何処にいるのか…。」
その時、立ち見から抜け出した和樹、偶然にも教師席にいる宗雄と遠い位置から目が合い、
そんな宗雄が指差す方向。
「あ~~、いたいた。茉優ちゃんたち。」
和樹。
そして左近に、
「ほらほら。前の方に…。」
左近、
「あ~~。なるほど。定岡君が背ぇ、高くて分かりやすいや。」
演奏が終了して拍手喝采。
「今回も…素敵に作品、演奏したのかな。」
左近。
椅子から離れる客たち。学生やら一般の客やら、人たちでごった返しになる。
体育館の周りを見渡すように紗枝と茉優。
茉優、
「来て…ない…かな…???」
史江、
「ん~~???誰か…???紗枝…???茉優…???」
憲央、
「ん…???」
彩萌と可羊子、そして航はピアノとシンセサイザーのあるところに…。
弓香、
「海野~~。腕…、大丈夫~~???」
そんな弓香に航、にっこりと右手でOKサイン。
人々が体育館を出て行く流れの中でそのまま立っている左近と和樹。
「あっ。いた~~。」
と言って手を振る茉優。
「お~~。なんと。左近さんと和樹さん。」
史江。
「うん。ふたりとも、今日はアルバイト、休みだって。文化祭、呼んじゃった。へへ。」
茉優。
「ふ~~ん。」
頷く史江。そして、数秒後、
「えっ…???へっ…???なんで茉優…、左近さんと和樹さん…???連絡先…???はい…???」




