姉妹坂 vol.216 「だめ。」いきなり可南子。
ベンチに座った航の周りを取り囲むように野球部員たち。
左手の甲が真赤に…。
有紀、
「海野…。」
そして広瀬を見て、
「先生…。」
広瀬、
「まずいな…。」
航の左手、指の関節を触って…。
航、
「うっ!!!」
ベンチに駆け寄る球審、
「泉川さん…。」
「すみません。ピッチャー交代、お願いします。」
「大丈夫ですか…。」
「いや…。今は…何とも…。」
ベンチからまだ誰も出て来ない。ざわつく観客席。
「だめ。」
いきなり可南子。
傍の可羊子、
「へっ…???」
彩萌、史江、
「可南子…。」
「私、行ってくる。」
いきなり椅子から立ち上がり、階段を駆けて。
可羊子、
「お姉ぇ…。」
弓香、
「ふふ…。うん。」
摩耶、菜穂子、可南子の後ろ姿に、
「急いでよ。」
ベンチ内に志帆、
「すみません。失礼します。航!!!」
入口に振り返る野球部員、
「???」
広瀬、
「あな…た…は…???」
志帆、
「航の姉です。」
部員たち、
「お~~~。」
広瀬、
「すみません…。」
航、
「姉貴…。」
志帆、
「航。」
広瀬、
「有紀、すまないが、残り、おまえ、指揮、取ってくれ。」
有紀、
「分かりました。先生…???」
「私はこれから病院に。…もしかしたら…。」
志帆、航の左手を触って…。
航、
「痛…。つぅ~~。」
「海野君!!!!」
ベンチに入ってきた可南子。
航、
「せんぱ…。」
志帆、
「あ…な…た…???」
広瀬、
「君…は…???」
敦司、
「矢島…せんぱ…。」
志帆、
「もしかして…、可南子…ちゃん…???」
可南子、真剣な顔で、
「はい。矢島可南子です。…海野…君…???」
広瀬、
「これから…病院に…。もしかしたら…、折れてるかも…。」
少し目を潤ませて可南子、
「一緒に…、いいですか…???」
志帆、
「あ…な…。」
そう言って、志帆、すぐに頭をコクリと、
「うん。じゃ、一緒に、行こ。」
部員たち、
「???」
敦司、
「はは。せんぱ…。」
航、
「せんぱ…。」
「海野君に、何かあったら、私…困る。」
可南子。
志帆、
「くく。…だ~~ね。バンドの…パートナー…だもんね。」
部員たち、
「へぇ~~~。」
広瀬、
「じゃ、みんな、後は頼む。有紀。」
有紀、
「はい。」
広瀬、
「じゃ~~。お姉さん、矢島君、いいかな…。私の車で。」
志帆、可南子、
「はい。お願いします。」
「おっ。出てきた。」
信一。
彩萌、
「どう…なってる…???」
史江、
「ピッチャー…???」
「あっ、会田だ…。」
憲央。
「海野…???」
通路を歩きながら史帆、ポーチからスマホを。同じく可南子も。
広瀬、そんなふたりを見て、航を見て、
「ふふ…。」
彩萌、
「…ん…???電話…???」
充希、
「…ん…???もしかして…、志帆…???」
彩萌、
「もしもし…、可南子…???」
充希、
「志帆、航…???」
可南子、志帆、
「これから、病院に行く。」
彩萌、
「うん。分かった。気を付けて。」
充希、
「航…、どうなの…???」
洋、
「かあさん…???」
「航、病院に行くって…。」
「えぇ~~~???」
「志帆、何処の病院…???」
志帆、
「先生…病院…???」




