姉妹坂 vol.215 マウンドに集まる部員たち。
一球目、二球目とボール。そして初めて内角低めにスライダー。
信一、
「憲…、初めてストライク。けど…今までのボールも…きわどくねぇ…???」
憲央、
「ん~~。」
そして四球目、少し内角高めにボール。
「スリーワン。」
信一。
後ろで史江、
「ねぇ~~。信一~~。」
信一、
「ん~~。しっかし…海野のヤツ、ここに来てもボール、走ってるよな~~。」
「うん。多分…150は…出てるんじゃ…。」
憲央。
「早いの…???」
久し振りに声を出した可羊子。可南子の隣で…。
「うん。早い。しかも…バッター、全くスィング、してねぇし…。」
憲央。
「絞れ…ないのかも…。」
信一。
「おっと。」
バッターが少し後ろに。
「きわど…。これでも…ストライク。」
憲央。
「内角スレスレ…か…。」
「さて…。フルカウント。」
信一。
「海野~~。」
可南子、
「何々、打たれるの~~???」
憲央、
「かかかか。可南子~~。そういう…訳…じゃ…。え~~~???」
信一、
「あ~~りゃ…。かかかか。そう来るか~、海野~~。」
「あ~~。バッター…振っちゃった~~。」
彩萌。
可南子、
「えっ???えっ???海野君、勝った…???」
憲央、
「勝った~~と言えば…。かかかか。」
信一、
「ここで…チェンジアップ…ってか。」
「凄い、ボール、ゆっくりに…見えた。」
弓香。
「タイミング…ずらされたね~~。」
信一。
「振らされた…って奴か。」
「ふぅ~~。あとひとり。」
憲央。
「…とは言っても、これからクリーンナップ。」
史江、
「さっぱり分かんない。信一~~。」
後ろで信一の首を絞める。
紗枝、彩萌の後ろで、
「かかかか。3、4、5番の事、言うんだよ、史~~。」
史、
「3、4、5番…???」
「うん。ほら。」
その瞬間、憲央、
「おい!!!!!」
いきなりマウンド上でのけぞる航。
彩萌、
「何、今の…???」
すかさず地面に転がったボールをショートの赤城条一がファーストに送球。
ツーアウト。泉川学院高校の観客席は総立ち。
可南子、
「海野君!!!」
マウンドに集まる野球部員。
信一、
「何???何がどうなった…???」
「ピッチャー強襲。」
憲央。
紗枝、
「ピッチャー返し…。」
「海野…、ボール、グラブで受けられず、グラブの外側で止めた感じになった。」
憲央。
「うん。あれじゃ…間に合わないや。顔…すれすれだもん。」
彩萌。
可南子、
「海野…くん…。」
可羊子、
「お姉ぇ…。」
「大丈夫か…、ピッチャー。」
あちらこちらから…。ゆっくりと椅子に座り直す観客たち。
マウンドから顧問の広瀬、他の部員たちと共に。
内外野とマウンドに集まる部員たち。グラブをしたままの航。
観客席の生徒たちの傍を駆け足で階段を上る志帆。
紗枝、
「志帆さん。」
「うん。とにかく、行ってくる。」
弓香、彩萌、
「お姉ぇ…さん…???紗枝…???」
紗枝、
「うん。」
紗枝、志帆の後姿を見て、
「わ~君…。」
ベンチ内、
「会田君、ピッチャー、交代だ。」
広瀬。
3年の会田正一、
「はい。分かりました。海野…。」




