姉妹坂 vol.202 バッグからハンカチを出して鼻を押さえる可織。
サンバの楽曲が5分続く。演奏終了、いきなり観客席から拍手喝采。
その拍手が鳴り止まない内に、いきなりドラムでテンポ。
すぐにキーボードが小刻みなメロディから柔らかいメロディを。
観客席から、
「凄っ。あんな小さな子がここまで…。」
そしてエレキギターのストローク。軽快なポップである。
「わっ。今度は筧さん。可愛い声~~。かかかか。」
可羊子。
憲央、敦司、
「やるな~~。凄いよ。」
「それにしても、可南子凄~~い。3台のキーボード。使いこなしてる~~。」
弓香。
「さすがだわ。うん。」
菜穂子。
バッグからハンカチを出して鼻を抑える可織。それを左隣で見ている燐太郎、
「はは。かあさん…。」
その声に可織の右隣で演奏を聴いている可燐も、
「ん…???」
左隣を見て、
「ははは。おかあさん…。」
可織、
「だって…、お姉ぇ…。あんなに…。」
そして小さな声で、
「すご…い。…ははは…、涙出て、止まらない。」
可燐の右隣の留美子も、
「さすがだわ。凄い。」
そして入口の方を見て、
「兄貴、遅いね~~。」
可燐を姉貴と言い、龍平を今や、兄貴と言う留美子。
「忙しいんでしょ。きっと。」
可燐。
凜太郎の隣の席が、空いたままになっている。
2曲目の楽曲が2コーラスのサビに入っている。
弓香、
「凄っ。ここまで声…出るんだ。筧さん。」
摩耶、
「練習…してんだね~~。」
そんなライズのメンバーの演奏を観客が見えないステージの袖で見守っているひとりの女性。
「たいしたもんだわ、美和。さすがだね~~。しっかり歌いこんでる。」
傍にはふたりの女性から付き添われて。
「うん。OK。…それにしても、あの子。矢島可南子。や~る~~。航、とんでもない子、連れてきたね~~。」
璃子である。
そして、頭の中で、
「…ふふ。左近、こりゃ、あのふたりに…、ぞっこんになるかな…。」
2曲目終了。美和、
「ありがとうございます。…あの…、私、あんまり、お喋り、得意じゃないので…、ベテランに任せます。」
そして左近にマイクを渡して、こそこそと後ろに下がる美和。
いきなり観客、大笑い。
「ちょ…、ちょっと待ってよ、いきなり後ろに下がられても…。」
左近。
また観客大笑い。
「こんにちは、みなさん。ライズと言うバンドです。」
観客席のどこからか女性の声、
「おかえり~~。」
左近、
「あっ。嬉しいですね~~。ありがとうございます。ちょっと…なんだかんだ、ありまして、メンバーチェンジで…。新星ライズ。今、歌ってくれたのが、新星ライズのメインボーカリスト。筧美和。よろしく。」
「美和~~。おかえり~~。かわいい~~。」
今度は後ろの立ち見から、女性の声。
美和、両手を振って、丁寧にお辞儀をして。
観客、拍手。
左近、
「そして…。みなさんから見て、左側…。」




