姉妹坂 vol.185 思わず変顔になり、「な…。な~~んでもないよ。」
電車の中、シートに座っている可南子。
その前で、つり革に捕まり、窓の外を見ている航。
可南子、上目遣いで航を見て、今度は下を見て。
頭の中で、
「…海野君…、好きな女の子って…、いないのかな…???」
そんな風に考えて、また航を見て、下を見て…。
「…美和さん…かぁ…。綺麗だもんね~~。グィグィ。グィグィ。…と~~。」
自然に左拳が前に、小さく左右に振りながら。
「…私なんて…。いやいやいや…。無理無理無理無理、絶対無理。絶対、あんな風には出来ない。」
今度は握り拳を開いて、ひらひらさせながら。かと思えば今度は腕組みをして…。
「…やっぱり、大人なんだよね~~。」
…と、変に納得して…。そして頭を少し後ろに…。
その瞬間、
「あっ。」
目の前に、窓の外を見ていたはずの航の目と…。
航、可南子を見て頭を傾げながら…。
「どうか…、した…???左手で、なんだか…???」
可南子、思わず変顔になり、
「な…。な~~んでもないよ。」
途端に顔を下に向けてペロリと舌を…。
「えぇ…。もうみんな、食事終えて、部屋で休んで…。」
栞奈、スマホを耳に。電話の相手は校長の西園寺である。
自宅のリビングで、
「日中はごめんなさい。メールに気付いたの夕方過ぎだったの。とにかくおめでと。個人、決勝進出。開始早々、良い感じじゃない~~。」
栞奈、スマホの向こうに、
「ありがとうございます。」
「明日の団体、良い感じで臨めそうじゃない~~。」
「はい。」
「あぁ、田所先生と湯上先生には、伝えておきましたから。ふたり共、喜んでましたよ。合宿に同行した甲斐があったって。」
栞奈、ニッコリと笑って、
「先生たちには、本当にお世話になりました。よろしくお伝え下さい。」
「あっ。そうだ栞奈。有森君…???…あの子、どうなった…???」
その西園寺の声にも栞奈、にこやかな声で、
「大丈夫、間に合った。うん。だからなんとか予定通り、男子団体、期待、出来る。」
「そう~~。うん。良かった。」
ソファーに座ったまま、右手で左二の腕を押さえながら西園寺。
「そして。」
「えぇ。彼女。矢島可羊子。この大舞台で、どんな弓道見せてくれるか、楽しみ。」
「ふふ…。田所先生も、矢島さんには一目惚れしたようだった。剣道部に欲しいですよ~~。ですって。」
「うんうん。合宿中もそうだったから…。彼女を見る目。半端なかったわ~~。」
「そっか~~~。…ん~~。観に行けないのが残念ね~~。」
部員たちの部屋。レミ、
「カヨッチ…寝た…???」
レミの隣で静かに顔を天井に向けて眠っている可羊子。
「凄っ。明日、出ない私が緊張してんのに、もう寝てる。」
そんな可羊子の寝顔を見ながら…レミ、
「…ん…???」
目を閉じている可羊子。口が、
「ニ…。シシシ。…ん~~ん。ヤン。」
レミの方に寝返りをして…。
「く~~。」
レミ、
「は…ぁ…???」




