姉妹坂 vol.016 可織と可燐、「お帰り~。早かったね~~。」
そんな部員たちを後ろで見つめる栞奈。
部員たち全員が射込み練習を終え、基礎練習に。
道場の隅からゆっくりと前に歩く栞奈。
壁際で女子部員のひとり。
「先生…行くよ。」
となりの部員、
「うん。」
足踏みから胴造り。
史江、
「綺麗~~。」
黙って流れを見つめる彩萌。
栞奈、呼吸を整えて、弓構えから打越し、
そして引分け、会へと繋がる。
動く事のない胴造り。
放たれた矢は真っ直ぐに中白と一の黒の中間。
離れから、その胴造りは動かないそのままの状態で、
体は「大」の字の姿勢の残身となる。
「なんだか…、涙…出てきた、私。」
別の1年の女子部員。
「うんうん。私も…。」
隣の女子部員。
「さっすが~~。栞奈先生~~。いぇい。」
右手拳を前に史江。そして拍手。
栞奈、
「ありがと。和久ちゃん。さ、続けよ。」
全部員、笑顔で、
「はい!!!」
体育館の床に体育座りでバドミントンラケットのガットを指で撫でながら、
「矢島、部活…何やるんだろ…???」
園加。
「さ~てね~~。そう言えば、中学と高校で、何やってたか、訊かないで帰っちゃったね~~。」
園加の隣でラケットのガットをパンパンと手の平で叩いている愛寿美。
「バドに…、誘ってみよっか。」
「いいね、いいね。」
けれどもその時園加、
「けどな~~。今から…バドって~のも…。」
「う~~ん…???」
「矢島…、運動…、どんなだろ…???」
「あっ。…そっか。全く6年間。分かんないか…。」
「は~~い、みんな~~。」
両手をパンパンと、顧問の芝波田夏妃。
「集まって~~。」
玄関のドアを開けて可南子、
「ただいま~~。」
リビングで可織、
「おっ。」
可燐、
「帰ってきた。」
留美子、
「ふふ。おっかえり~~。」
燐太郎、
「お~~。」
廊下に出る可織と可燐、
「お帰り~。早かったね~~。」
可南子と可羊子、靴を脱ぎながら、
「ふん。だってね~カヨ~~。」
可南子、スリッパを履いて。
「おばあちゃんと、おじいちゃんに、お礼言わなきゃ。」
可羊子。
その言葉に可織、
「え~~っへへへへ…???」
廊下に出てきた留美子、ふたりの子供が脚にまとわりつきながら。
「きゃ~~。かっわいい~~。」
可南子と可羊子。
「何々、留美子おばちゃんの子供~~???」
子供の頭を撫でながらふたり。
「ん~~。そうだよ~~。雄喜と恵美。今、幼稚園、通ってる~~。」
留美子。
「あ~~ん。かっわいい~~。」
可南子、雄喜の顔を撫でながら。
そしてリビング入って、ふたり同時に。
「おじいちゃん、ただいま~~。」
お茶を啜りながら燐太郎、
「おぅ~、おかえり~。」