姉妹坂 vol.015 飛び跳ねて喜ぶ女子高生たち。
「しっかし、センス良いよな~~。海野~~。」
3年の押野響、
「絶好調って感じだね。頼むぞ~~。」
泉川学院高等学校の名セカンドと言われた響きから肩をポンと叩かれ航、
「ありがとうございます。」
そして、スィングの練習をしていたこちら、3年の渡瀬啓、
「ははは。また来た~~。堀~~。」
野球部主将の堀越有紀、
「ん~~???おぅ、おぅ。ははは。ようこそ。だ~~ね~。」
「おやおや。また海野君目当てですか~~。羨ましいですね~~。ファンが多くて。はははは。」
有紀と話をしながらの野球部顧問、広瀬慶喜。
バックネット裏には女子高生数人がスマホを持ちながら集まってきている。
「しっかし…、去年までのうちらは何だったんだ。いやいや…。」
キャッチボールをしている、こちらも3年の内村翔。
そして数分後、
「ヨ~シ、それでは会田君~~、海野君に代わってくれますか~~。」
顧問の広瀬。
そしてキャッチボールをしていた航が3年の会田正一と代わって、
キャッチャーの井之村邦展3年の構えたミット目掛けて投げた瞬間、
いきなりキャッチャーミットに、「バシン!!!」
瞬間、
「キャー――――――ッ!!!!」
飛び跳ねて喜ぶ女子高生たち。
「これだ…。」
翔。
「耳痛ぇぇぇぇぇぇ。」
「…ったく…。こっちは手が痺れてるぜ。おぅ~~。」
邦展。
「ははは。良い光景だわ。」
主将の有紀。
「他のメンバーにも、刺激になるってね~~。ははははは。頑張れよ~2年、1年~~。」
笑いながら響。
「相変わらず、凄い声だね~~。さすがだわ航は。」
にこやかに微笑む敦司。
霞的の一の黒に突き刺さる矢。
ゆっくりと弓を下ろしながら、
「ふぅ。」
憲央。
「良い感じじゃん、憲~~。」
隣で見ている彩萌。
「な~に言ってんの~~。委員長には負けるって~~。いつも通り、冴えまくってんじゃないっすか~~。」
弓を左脇に抱えて憲央。
「まぁ、彩萌は小さい時から体が武道漬けだから…。」
そう言いながらクスクスと口を塞ぎながら笑う和久史江。
「ほぃ。…で、私~~。」
憲央の前で、胴造り(どうつくり)から弓構え(ゆがまえ)、そしてゆったりと両腕を上げて、
そこから静かに流れるように弓を左右均衡に引き分けられ、
一瞬、空気の流れが止まったかと思った瞬間に、弓から放たれる矢。
霞的の二の黒に突き刺さり、遣羽が小刻みに震える。
「武道漬けって~のは…ないでしょ。史~。」
そんな彩萌にあっかんべぇをする史江。
「ははは。しっかし、和久ちゃん。相変わらず面白いね。」
カラカラと笑う憲央。